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「もうキューバ代表に選ばれないとわかっていたけれど…」ブラジル男子のレアルが明かす帰化の理由、母国と戦う世界選手権初戦への思い

 バレーボールの2022年男子世界選手権が現地8月26日からポーランドとスロベニアで開幕する。男子日本代表がベスト8以上の成績を目指すこの大会。その開幕戦は、リュブリャナ(スロベニア)で行われる日本と同組のブラジルvs.キューバとなっている。その試合に特別な思いを抱いて臨むのが、男子ブラジル代表のアウトサイドヒッター、イオアンディ・レアルだ。

 

Yoandy Leal(イオアンディ・レアル/1988年8月31日生まれ/身長202㎝/最高到達点361㎝/アウトサイドヒッター)

 

ブラジル・スーパーリーガでキャリアを重ねた

 

 レアルはキューバの首都ハバナ出身。バレーボール界におけるキューバといえば、その抜群の身体能力(とくに驚異のジャンプ力)から“鳥人”と称される面々が、これまでも国際舞台を席巻してきた。レアルもキューバ代表の一員として、2010年世界選手権銀メダル獲得に貢献している。

 

 やがてレアルは2012年からプレーの場所をブラジル・スーパーリーガへと移し、リーグ屈指の強豪であるクルゼイロでキャリアを重ねた。2015年には世界クラブ選手権を制して世界一に輝くと同時に、自身はMVPに選出された。クルゼイロで12/13~17/18シーズンの6季を過ごす中、彼の中でブラジル代表への思いが強くなったという。

 

 「ブラジルでたくさんの方々にお世話になり、その恩返しの一つとしてブラジル代表でプレーしたいという気持ちが高まりました。もちろん一度国を出て、帰化をすれば、もうキューバ代表に選ばれないことはわかっていました。ですが、一人の選手として、ブラジル代表で戦うチャンスが大きくなっていることを感じていたのも事実です」

 

<キューバ代表時代のレアル(左端/写真は2010年ワールドリーグ/Photo:FIVB)>

 

世界選手権開幕戦への意気込み

 

 2014年に帰化を申請し、2018年に承認。レアルは2019年の代表シーズンからブラジル代表のユニフォームを着ている。そうして昨年には、自身にとって初めてとなるオリンピック出場を果たした。「東京2020オリンピックの舞台に立てたことはうれしかったですが、金メダルがターゲットだっただけに、やはりいちばんは悔しい気持ちでした(結果は4位)」と振り返るレアル。今は2024年パリオリンピックへ向けて、歩みを進める。

 

 そうして臨む今年の男子世界選手権。初戦は母国・キューバと対戦する。かつては自分も大きな責任感を背負いプレーしたチームだ。

 

 「相手チームには自分の知り合いもいますから。元々、自分がいた国の代表と戦うのは、いろんな意味で複雑です。ですが、そこはプロフェッショナルな気持ちで戦いたい。必ずやいい試合になると思いますし、全力を尽くしたいです」

 

 世界選手権で4度目の優勝を目指す男子ブラジル代表。その一翼を担う“鳥人”は、自身のやるべきことを見つめながら、そう意気込みを語った。

 

<国は違えども、代表の誇りを持ってコートに立つ>

 

(取材・文/坂口功将〔編集部〕 写真/石塚康隆〔NBP〕)

 

2022年世界選手権の第1次ラウンドで

日本代表も対戦するキューバ代表

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