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春高2025

大森二中男子バレーボール部が湘南で取り戻した「好き」の心。コロナ禍を乗り越えて

  • コラム
  • 2022.09.23

 

 

ハッスルプレーも飛び出した

 

 

ぬぐえない悔しさを抱いた夏

 

 とりわけ3年生たちにとっては、夏の大会がいわば最後の公式戦。やりきれない思いは募り、「最初はバレーボールから完全に心が離れました」と佐藤加雲(さとう・かぐも)キャプテンは明かす。それでも、再びボールを手に取ったのは、湘南藤沢カップがあったからだった。

 

 そもそも大森二中は、学校から歩いていける距離に「大森ふるさとの浜辺公園」があり、そこでビーチバレーボールの練習に励むことももっぱら。また、嶋守監督はビーチバレーボール日本代表で東京2020オリンピック出場を果たした白鳥勝浩を中学時代に指導した過去があり、そんなつながりから白鳥氏が大森二中の部員たちにアドバイスをする機会もあるという。

 

 そうして今年の湘南藤沢カップには3年生を中心にチームを構成し、臨むことにした。この大会は“全中ビーチ”の名称で親しまれる。そう、これもれっきとした全国の舞台だった。

 

 

日頃の練習の成果が随所で発揮された

 

 

3年生たちがコートに。「好きになることができました」

 

 いざ大会本番では初日のグループ戦で2勝をあげ、翌日は最上位クラスの決勝トーナメント進出を果たしてみせた。

 

 「全員で楽しむことを試合では心がけていました。風を読むこと、そのうえでサーブを打つことなどは、普段の練習が生きたと思います」と佐藤キャプテン。また、インドアではレギュラー入りが難しく、裏方に徹していた3年生の塗師尾覇(としお・はる)もリリーフサーバーとして投入され、仲間たちと一緒にコートに立つ場面も。その姿を見た嶋守監督はどこか胸をなでおろしたように見えた。

 

 結果は決勝トーナメント2回戦敗退となったが、全員が笑顔を浮かべる。 佐藤キャプテンの口元から白い歯がキラリ。

 

 「この大会のおかげで、もう一度バレーボールに向き合えました。もっともっとバレーボールを好きになることができました。プレーするのが、楽しかったです!!」

 

 大森二中には嶋守監督が部員たちに捧げる言葉がある。それは「バレーと思うな。人生と思え」。

 

 ぬぐえない悔しさを味わった。一方で、その先に取り戻した感情があった。それが、大森二中の部員たちの人生に刻まれた、この夏の思い出だった。

 

 

遊び心満載のTシャツで全国大会に挑んだ大森二中男子バレーボール部

 

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

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