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火の鳥NIPPONの卵! U20日本代表 アジア選手権MVP上村杏菜&ベストリベロ德本歩未香(金蘭会高)対談「相手におったらめっちゃ嫌です!」【栃木国体少年女子注目選手】

 

 

第77回国民体育大会(国体)が、10月7日(金)から10日(月・祝)に栃木で行われる。7月の第21回アジアU20(ジュニア)女子選手権大会ではU20日本代表としてアジア一、8月のインターハイでは8年ぶりの頂点に導いた德本歩未香(3年)と上村杏菜(2年/ともに金蘭会高〔大阪〕)の対談をお届け。この夏の歩みを振り返るとともに、大阪代表として臨む国体への思いを語った

 

 

大阪府チームのセーターを着用する德本(左)と上村

 

――アジア選手権大会とインターハイで優勝に貢献した夏。金蘭会中(大阪)時代からチームメイトの2人ですが、それぞれの成長はどう映っていますか?

 

德本 高校生の中で、(上村)杏菜のパワーは絶対にナンバーワン。思いきりがいいし、負けん気もすごい。どのスパイカーにも絶対に負けてないと思います。あとは、チームが苦しいときに「(トスを)自分に持ってきて」と2年生で言えるのはほんまにすごいです。そう言えるスパイカーは少ないと思うので。

 

上村 ありがとうございます!

 

德本 2人とも海外でプレーするのは初めてで、アジア選手権はすごいいい経験になりました。年上の方が多いなかでも杏菜は自分からコミュニケーションを取っていたし、試合でもすごく思いきってプレーしていました。

 

上村 いちばん年下でしたが、山田(晃豊U20日本代表)監督に最後に「末っ子と思えない」と言ってもらえて。年上の方たちのおかげで、すごく話しやすかったです。

 

德本 大会が終わったあとは「インターハイでも優勝しましょう」と話したり、意識も変わりました。中学のときもすごく盛り上げ役でしたが、高校になってもう一段階レベルアップしたと思います。あとは、考えてバレーをするようになったな、とめっちゃ思います。

 

上村 それはほんまに思います(笑)

 

德本 前まではがむしゃらに打つことが多かったですが、U20を経験してからは相手の高さも考えてプレーしていました。

 

上村 中国など海外の選手は大きいですが、自分は小さい(身長168㎝)ので。がむしゃらに打っても止められます。スタッフの方からも工夫が必要だと指示をされて、それから考えてプレーするようになりました。

 

德本 インターハイは2セット目から出ることが多い難しい状況でしたが、決定力がすごかった。苦しいときは「自分に絶対に持ってきて」って言ってくれるから、後衛から見ていても、「おっ、いいね」って思います(笑)

あとは、杏菜が入ったらコートが和んでいい雰囲気になるというか、なぜか笑える(笑)

 

 

インターハイでは中心選手としてチームを牽引した上村(中央)と德本(右)

 

 

上村 はははは(笑)

(德本)歩未香さんは、中学生のときから変わらずエグイです。自分はレシーブが苦手ですが、すごく守備範囲が広くて「マジ⁉ これ捕る⁉」と思うようなボールも拾ってくれる。黒鷲旗やアジア選手権でも、笑えるくらいほんまにすごくて(笑)

 

ほかには「フォロー入った!」とか「いけー!」という声も、スパイカーからすると「よっしゃ、いったろ!」と気合が入ります。今年のインターハイは、歩未香さんの声かけがあったからピンチを乗り越えられた。自分たちがリードされても、焦らんように声をかけてくれて、すっごい頼れるキャプテンです!

 

德本 ほんまに思ってんの?(笑)

 

上村 はい! 

 距離も近いし、なんかお姉ちゃんみたい(笑)初めてのU20の合宿では、先輩方に近づけへんくて、ずっと歩未香さんと一緒にいました。

 

德本 妹やし、愛犬みたいな存在です。

 

上村 ふふふふ(笑)

 

德本 ちょっと手がかかる妹みたいなところがありつつ、見てて飽きひんめっちゃかわいい愛犬というか(笑)

 でも、仲が深まったのは最近やねんな。

 

上村 アジア選手権が終わってカザフスタンから帰国するとき、歩未香さんが空港の出国前の検査で(新型コロナウイルスの)陽性になってしまって。一緒に帰国できなくて、飛行機に乗った瞬間に絶望しました。悲しすぎて「歩未香さーん!」って号泣しちゃって(笑) 横に座っていた堤(亜里菜/明海大1年、姫路)さんが、「大丈夫、大丈夫」ってずっと手を握ってくれました(笑)

 

德本 無症状で陽性になったので、焦っていたんです。そのタイミングでみんなから「杏菜が声を出して泣いてる」ってメッセージがきて(笑)

 

上村 近畿大会で再会したとき、「杏菜、泣いてたんやろ?」って頭をなでられました(笑)

 

 

 

成長のきっかけをつかんだアジア選手権大会©AVC

 

――そんな心強い存在ですが、相手のチームにいると考えたらいかがでしょう?

 

上村 めっちゃ嫌です!

 

德本 お互いに嫌ですね。ほんまに「同じチームでよかった」と思います(笑)

 

上村 それはほんまに思います(笑)

 

 

――国体は、金蘭会高に四天王寺高の3名(樫木葵、中曽舞、近藤さら)を加えた連合チームで臨みます。8月下旬の近畿ブロック予選、初戦の京都戦は2-1(19-25、26-24、26-24)と苦しみながら1位で本戦切符をつかみました

 

上村 朝イチの試合であまり体が動いていなくて、出だしからバタつきました。1セット目にあまり雰囲気が上がらないなか、2枚替えで入った四天(四天王寺高)の子たちに雰囲気を上げてもらって。それから立て直しました。

 

德本 2、3セット目は自分たちのプレーがどう、というよりも「負けられへん」という気持ちだけで勝ったな。四天ではめっちゃ声を出してプレーしていますが、最初は遠慮してて(笑) でも、ミニ国(ブロック大会)の前に「(得点を決めたらコートで)めっちゃ走るから、付いてきてな」って言われて。点が決まると、本領発揮でした(笑)

 

上村 めっちゃ走ってましたね(笑)

 自分はネットから離れて高いトスが得意ですが、四天王寺は速いトスが基本。プレースタイルが真逆なくらい違うから、最初はお互いに合わせにくかったです。でも、自分は高いトスやけど、四天王寺の選手は速いトス、というメリハリをつけるように池条(義則)先生に言われてからはいつもどおりにできました。

 

德本 9月に入ってから、一緒にできる練習が1週間に1回と限られているなかでも、コミュニケーションをめっちゃ取って、いい関係性ができていると思います。大阪私学(総合体育大会優勝大会)が終わるまで(9月25日〔日〕)は、こっち(金蘭会高)に来てもらって練習することができないので、短期間でもっと強化しないといけません。

 

――インターハイを制し、上村選手は「六冠を獲りたい」と語っていました。国体はどんな大会にしたいですか?

上村 インターハイで優勝したので、すごく見られるし、いろんなチームがチャレンジャー精神を持って来ると思います。でも、自分たちもインターハイが終わってから切り替えて、国体の日本一に向けて頑張ってきたので。相手に負けへんように闘志を燃やしていきたいと思います。

 

德本 インターハイで日本一を獲ることができたけど、勢いで勝ったところも少なからずあったので。まだまだ課題が多くて、プレーや連携の面でもっと伸ばしていこうと話してきました。

 この国体は四天王寺の選手もいるので、そのよさも引き出せるようにチームをつくらないといけません。「三冠、六冠」という目標はありますが、それは目の前の一戦を戦いきった先にあるもの。日本一にもう一回チャレンジするという気持ちで、思いきって国体を戦い抜きたいと思います。

 

息の合った2人が優勝に導けるか

 

 

德本歩未香

とくもと・あみか/3年/リベロ/身長152㎝/最高到達点260㎝/金蘭会中(大阪)

 

うえむら・あんな/2年/アウトサイドヒッター/身長168㎝/最高到達点301㎝/金蘭会中(大阪)

 

取材・撮影/田中風太

 

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