第77回国民体育大会(いちご一会とちぎ国体)の少年女子2回戦が10月8日(土)に宇都宮市体育館(栃木)で行われた。インターハイ女王の金蘭会高が軸の大阪府は、シードのため今大会初登場。選抜チームの宮崎県に2-0で勝利し、9日(日)に行われる準々決勝(対千葉県)に進んだ
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U20日本代表として、7月の第21回アジアU20(ジュニア)女子選手権大会でMVPとベストアウトヒッター賞を獲得した上村杏菜(2年)や、同大会でベストリベロ賞を受賞した德本歩未香キャプテン(3年)ら、全国屈指の層の厚さを誇る金蘭会高。インターハイに続くタイトルを目指す国体でタッグを組むのは、4月以降に高校生で唯一敗れたライバルだ。
6月の大阪府インターハイ予選、ベスト4リーグ初戦。フルセットの末に逆転負けを喫した相手が四天王寺高だった。セッターの樫木葵(3年)のトスを中曽舞、近藤さら(ともに2年)の両エースが打ちきるバレーに圧倒され、同大会で10年ぶりの敗戦。「予選でうちが負けたし、久々に組みましょう、と言って」(池条義則金蘭会高監督)と、金蘭会高の10名とその勝利の立役者となった2名が手を組み、国体では5年ぶりの頂点を目指す。
日本一をつかんだ選手たちと、そのチームに唯一勝利した選手たちのタッグで、今季2つ目のタイトルへ――。だが、そう思い描くほど現実は甘くない。
ゆっくりと高い軌道のトスの金蘭会高に対し、速いトスの四天王寺高。池条監督は「うち(金蘭会高)のトスが低くなったり、四天王寺のトスが遅くなったり。どっちも中途半端になっていた」と振り返る。8月20日(土)に行われた近畿ブロック大会の初戦(対京都府)は、第1セットを落とし、あとがない状況に。しかし、第2セット以降は二枚替えで投入された四天王寺高の選手たちがアクセントとなり、ともに26-24でセットを連取。続く和歌山県戦で快勝し、第1代表の切符をつかんだ。
だが、その後は9月25日(日)まで第69回大阪私学総合体育大会優勝大会が行われた影響で、同大会が終わるまでは週に1度合わせた程度。指揮官は「できるようになりつつなっていたことが、また一からやり直し」と嘆いたが、「トスの質が違うので、攻撃のテンポを変えられると思います。まだ遠慮している気がするけど、お互いインターハイに出たメンバー。それを強みにしてくれたら」と期待を込めた。
金蘭会としては、日本代表の宮部藍梨(ヴィクトリーナ姫路)が1年生だった2014年度以来の三冠への期待が高まるが、池条監督は冷静に語る。
「もし2回優勝したらプレッシャーを受けてやればいいけど、今はまだ一つ勝っただけですから。また次(春高予選)もあるし、あまり意気込みすぎないでいきたいですね。ユニフォームが違うし、金蘭会というよりは大阪の代表という自覚を持って。『優勝を狙います』なんてでかいことを言わんと、いいプレーをしていければ」
8日の初戦では、金蘭会の選手たちが躍動し、第1セットを先取すると、第2セット15-10の場面。四天王寺高のエース中曽舞とセッター樫木葵が二枚替えでコートへ。樫木のトスを中曽がクロスへ決めると、選手たちは笑顔でコートを走り回った。
インターハイの決勝で戦った古川学園高で構成される宮城県、同3位の下北沢成徳高のメンバーで出場する東京都がライバルとして有力。歯車の合った戦いの先に、今季2度目の歓喜が待っているはずだ。
文・写真/田中風太
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