第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」バレーボール競技(以下、栃木国体)の少年男子決勝が10月10日(月・祝)に宇都宮市清原体育館で行われた。名門・駿台学園高を中心とする東京都選抜は、夏のインターハイで敗れていた松本国際高の単独チームである長野県代表を3位決定戦で3-0(25-22,26-24,25-14)で下し、大会を勝利で締めくくった
今年8月のインターハイでベスト8に終わった駿台学園高。準々決勝の松本国際高戦では、相手の速いテンポの攻撃に対応が遅れ、セットを奪えずに敗れていた。その試合で悔しさをにじませたのが3年生の佐藤遥斗だ。
「最後の1点を決めきれなかった。ディフェンス面でもチームに貢献できませんでした」
決めきること、そして、レシーブを中心とする守備力。それは佐藤がずっと向き合っている課題でもある。
下山中(新潟)時代からエースの役目を担い、駿台学園高に入学後も1年目からレギュラー入りを果たしてきた。だが、準優勝のインターハイや3回戦敗退の春高など2年生時の大会を振り返り、「高校に入ってから決めきれないことがほんとうに多くて。決めきることがいかに重要かを実感しますし、それができることで自信にもつながると思うんです」と話す。
今回の栃木国体では選抜編成とはいえ、チームのエースという立場は揺らぐことはなかった。佐藤はしっかりと腕を振り切り、得点を重ねた。
準々決勝では、東福岡高が中心の福岡県選抜と対戦し、第2セットは30点台に到達する激闘を制する。東福岡高には全日本中学生選抜でともに戦った川野史童の姿もあり、その存在がよりいっそう佐藤のギアを上げた。
準決勝では熊本県代表に敗れたものの、3位決定戦では長野県代表にストレートで勝利。とくに第2セットからは佐藤も、レフトにバックアタック、また以前から時折織り交ぜる、ややセンターエリアに切り込んでのアタックなど多彩な攻撃で得点。第2セットは先にマッチポイントに到達されるも、最後は相手のミスも含めた3連続得点で逆転に成功した。
インターハイでは駿台学園高に勝利していた、長野県代表のセッター小金葉は「ムダなミスがなくなっていました」と印象を語り、中でも、「二段トスや切り返しの場面でエースに見られたミスが減っていて、こちらがサーブで崩してもしっかりと得点されました」と夏からの変化を感じていた様子だった。
それでも佐藤は「課題は残っています」と3位決定戦後にきっぱり。攻守でまだまだ自身のレベルアップを課す。
それは「攻守でバランスがとれて、最後の1点を決めきれる。最後の1本を任される選手になりたい」という思いがあるから。その描く姿をコート上で体現すべく、残りの高校生活を過ごしていく。
文/坂口功将
写真/山岡邦彦
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