第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」バレーボール競技(以下、栃木国体)の少年男子決勝が10月10日(月・祝)に宇都宮市清原体育館で行われた。長野県代表として出場した松本国際高は今夏のインターハイに続くベスト4入り。だが、3位決定戦では駿台学園高が軸の東京都選抜に0-3(22-25,24-26,15-25)でストレート負けを喫した。現状を見つめながら、残りのシーズンを過ごしていく
今夏、3年ぶりにインターハイに姿を現した松本国際高。優勝した2019年大会以来となるその大会では、ベスト4の成績を残した。その結果自体に壬生裕之監督は「純粋にうれしかった」と明かす一方、最後は勝利で試合を終えたいのも当然。「(インターハイ準決勝の)負けは、次の結果が出て初めて意味があると思っています。失敗は成功のもと、と言いますが、それは失敗を肯定する言葉ではなくて、成功があってこそ『あの負けがよかった』と思えるので。すぐに切り替えて国体に向けて進みたい」と話していた。
とはいえ、成功を手にすることは容易ではないのも事実だ。全国的に見ても、決して大柄なチームとは言えない。それだけに、トータルディフェンスからいかに切り返して、速く、精度の高いコンビバレーを繰り出せるかが鍵を握る。
インターハイ以降は、「今までどおりやっていても、上にはいけないので。例えば、それまでだと前衛の攻撃もレフトはレフト攻撃、クイックはクイックとわけて考えていたのですが、その概念を取っ払い、どこからでも攻撃をできるように取り組んできました」と、今大会でキャプテンを務めた近藤悠斗。単調にならず、複雑な攻撃を徹底して、相手を上回る。それが目指したかたちだった。しかし、それを追求するうえでは安定感が大きなキーワードとなり、不安定になればたちまちゲーム運びがままならなくなる。そんな課題が露呈したのが、今回の栃木国体だった。
準決勝までは失セット0で勝ち上がったが、壬生監督からすれば「綱渡り」。3位決定戦は、サーブで攻めたて、勝山裕太が東京都選抜のアタックを仕留め、一気にムードが上がる場面も見られた。だが、サーブレシーブでほころびが生じ、「思うようにコンビが組めなかった」とセッターの小金葉。2セットを落とし、第3セットは「気持ちが切れてしまった」(壬生監督)と大差をつけられ、ストレート負けに終わった。
「本来であれば、大会前に安定感を身につけて本番に臨むのが理想ですが、常に自分たちの修正だけに追われる大会となってしまいました。もう一度、つくり直します」と指揮官。近藤キャプテンは「レシーブの安定感をもっともっと磨いて、相手ブロックがつけないような攻撃ができるようになりたい」と、自分たちの進むべき道筋を見定めていた。
文/坂口功将
写真/山岡邦彦、坂口功将
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