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春高2025

「バレーボールで人生が変わった」京都匠ヤングの江口昂太朗が中学生活最後の全国大会で見せた笑顔の理由 帰宅部から主将へ

  • コラム
  • 2022.10.21

 

 

コートに立てば、絶やすことなく声をかけ続ける(写真はPROGRESS CUP)

 

「プレーはそこまでうまくなくても」、自分のやれることを考えた

 

 江口がバレーボールを始めたのは中学に入ってから。小学生の終わり頃に興味を持ち始めたが、入学先の桂川中に男子バレーボール部がなく、クラブチームへの入団を決めた。

 京都匠ヤングには小学生チームもあり、そこから上がってくる選手もいる。小学生時代はいわゆる帰宅部だった江口は、経験がない中で競技に取り組んだ。結果的にレギュラー入りは果たせなかった。それでもユニフォームの番号の下にはキャプテンを示すラインが入っている。

 

中学3年目で自分たちのシーズンが始まった際、みんなで話し合ったすえに、キャプテンを務めることになった。江口は振り返る。

「中学からバレーボールを始めた僕なんかができるんかな、と思いました。キャプテンをやるには頼りない性格ですし、このチームを支えるとなると少し不安といいますか、どきどきしていました」

 

 プレーのレベルからしても、常にコートに立つまでに至らない現実は自分がいちばんわかっていた。けれども、とことん夢中になれたバレーボールの魅力を表現したいと考えた。それが、仲間を励まし、ムードを盛り上げることだった。

 

 今年5月、岡山県で開催されたPROGRESS CUPで江口は力強く口にしたものだ。

 「自分はプレーがそれほどうまくないので、声だけでもいちばんを取ると思って、いつも必死に声を出しています。

それにバレーボールは励まし合うことが大切だと思っているので、ミスしてもいかに切り替えられるか。どんなピンチでも笑って、盛り上がるチームでありたいですし、自分がそうしたいと思っています」

 

 

エースで副キャプテンの①源蓮翔の背中を押す姿(写真はPROGRESS CUP)

 

チームメートから送られた「ほんまにありがとう」の言葉

 

 リリーフでコートに入ると、江口の目はいっそう輝きを増す。周りに視線を配りながら、ラリーが終われば、仲間の肩や背中にそっと触れながら言葉をかける。

 チームにとっての集大成だった全国ヤンクラでも、それは変わらなかった。「初日は全体的に盛り上がりきれなかった。なので、一回一回、チームメートにボディタッチすることで仲を深めて、そのつながりを力に変えたかったんです」と江口。自分がチームにできることを、最後まで貫いた。

 

 そんなキャプテンと、京都匠ヤングはシーズンを完走した。エースの源蓮翔(大谷中〔京都〕3年)は「チームを盛り上げてくれるので、ほんとうにありがたい存在です」と感謝し、川瀬監督も「バレーボールが大好きで、たとえうまくはなくても頑張ってくれました」とほほえんだ。

 

 メダル授与の列で、江口は源から「ほんまにありがとう」の言葉をかけられると、涙があふれ出た。

「このチームで、そして源というエースの副キャプテンと一緒にバレーボールができて、ほんまによかった。バレーボールをやって、一つ人生が変わったと思います」

 京都匠ヤングが卒業していく選手たちに授けるのは「楽しもう。挑戦しよう。感謝しよう」という3つのモットーだ。楽しいバレーボールで、自分ができることにトライし、チームへの感謝で胸がいっぱいになった。そんな充実した時間を過ごせたからこそ、江口は次に踏み出す一歩を決めている。

「これからもバレーボールは続けます!! 高校は周りの高さやパワーもさらに違うと思うので、自分もパワーアップして張り合えるようになりたいです」

 

京都匠ヤングでのシーズンを締めくくった。その首元にはメダルがキラリ

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

 

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