第75回全日本高等学校選手権大会(春の高校バレー)の千葉県代表決定戦が11月6日(日)に明海大学浦安キャンパス(千葉)で行われた。インターハイ予選と同じカードとなった決勝は、習志野高が東京学館船橋高を3-1(18-25, 25-19, 29-27, 25-20)で下し、16年連続39回目の優勝を飾った
優勝し、拳を握る習志野の選手たち
試合直前、習志野高に激震が走った。サーブ練習中、岡田晴太が着地する際にボールの上に乗り、右足首をねんざ。レギュラーのミドルブロッカーの離脱に、対角を務める身長196㎝の小田周平は「まじか…」、大津陸斗キャプテンも「やばい」と動揺した。それでも、すぐに切り替えた。「3年間一緒にやってきて、もう一回公式戦でバレーしたいなと思って。そういう意味でも絶対に勝たなきゃいけないと思いました」(大津キャプテン)。
相手エースの及川彩を止められず、第1セットは18-25と大差で落とした。それでも、どよめく会場とは対照的に、選手たちは冷静だった。オポジットとしてプレーしていた溝口雄大をミドルブロッカーに、岡田拓朗をセッター対角に急きょ組み替えたが、それは国体でも戦っていた布陣。鈴木明典監督には「1年間を通してつくってきた引き出しでした。ローテの2、3周目からは順応してくれていたので、2セット目からはスムーズにいけるという確信を持てました」と勝算があった。
第2セットは小田のクイックを軸に攻めると、中盤に連続ブロックが決まり、試合を振り出しに。第3セットは21-24と先にセットポイントを握られたが、小田が3連続でブロックとスパイクを決めて逆転。ジュースの末にセットを奪った。優勝に王手をかけた第4セットは相手エースにブロックでプレッシャーをかけ、中盤に6連続得点と突き放した。試合後に岡田(晴)は「人前で泣くのは恥ずかしいので、泣かないほうなんですけど。自然と出てきました。勝ってほんとうにうれしかったです」と涙。そして「最高の仲間たちだと思いました」と話すと、また肩を震わせた。
コートに立てない分、声でチームに貢献した#6岡田(晴/習志野)
6月の関東大会で優勝し、好スタートを切った1年だが、インターハイはベスト16、単独チームで臨んだ国体では初戦敗退と結果を残せず。「つらいことのほうが多かったので、非常にうれしいです。関東大会で優勝してからチーム状態が悪くて、ずっと冬だったので。今日やっと春になったと思います」と鈴木監督は笑った。昨年度からのレギュラーで、本戦でも期待がかかる小田は「課題をしっかり修正して、去年の成績(ベスト16)を超えられるようにしたいです」、岡田(晴)は「予選でできなかった分、全力で。120%の力でぶつかっていきたいです」と大暴れを誓った。
なお春高本戦は、2023年1月4日(水)~8日(日)に男女とも東京体育館(東京都)で行われる。
東京学館船橋 存在感抜群のエースはライバルのおかげで成長
敗れた東京学館船橋のエース及川彩は、第1セットから全開だった。強烈にクロスへ打ち込んだ前衛だけでなく、後衛でも存在感は抜群。「強打待ちをされることが多かったので、軟打を多くしてレシーブ陣形を崩すように」と視野の広い攻撃で相手をほんろうし、セットを先取した。しかし、1-2と追い詰められた第4セットは体力の消耗が響き、ミスの連鎖に。「決めきれなかったのでほんとうにくやしいです」と唇をかんだ。
それでも、エースはすがすがしかった。「高いブロックに対してどうやって決めるか。習志野と戦って学べたのでよかったです。大学でもバレーを続けるので、実になったと思います」と3年間の成長を口にした。
習志野の高いブロックに挑んだ#1及川(東京学館船橋)
文/田中風太
写真/石塚康隆
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