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春高2025

VC長野 森﨑健史の告白「絶対に守らなきゃいけない」V1残留に導いたチーム最年長選手が語る勝利の重さ

  • SV男子
  • 2022.11.11

 

 

強敵ヴォレアスと真っ向から対峙する

 

アタック決定率100%の活躍でV1残留に貢献

 

 その第1セットは35-37という壮絶な競り合いの末に落としてしまったが、第2セットを25-19で獲得。しかし第3セットは奪われ、敗戦すなわち降格に王手をかけられる。コートチェンジをして、第4セットに臨む前に、森﨑は声を上げた。

 「あと第4、第5セット。あと2セットもできるよ!!」

 

 フルセットの初戦に続いて緊張感が張り詰める中、一進一退の攻防が繰り広げられる。それはメンタルもスタミナも削り取っていくものだ。森﨑自身、持ち味のサーブでは相手の嫌なコースを狙い続けるためにも、適度な力加減で打つことを心がけていたが、それでも第4セットになれば、疲労感がずしり。

 「さすがにガタがきていて、声を出すことで自分も周りも奮い立たせないことにはエネルギーがもたないな、と感じていました」

 

 チーム最年長選手の気迫が仲間に伝播したか。第4セットを25-14の大差で奪い返すと、第5セットもリードする展開に。ヴォレアスの猛追もあったが、15-10で勝ち切ってみせる。2日間の成績は1勝1敗。セット率は同数。得失点差で、VC長野がV1残留を決めた。

 

 

要所でブロックシャットを決めて、全身で喜びを表現する

 

 森﨑はこの第2戦でアタック決定率100%(12本中)をマークしたほか、ここぞの場面でブロックシャットも。松本隆義監督(当時)は試合後の会見で、「長年培った技術を生かしてくれました。それだけでなく、若い選手に相手の傾向などたくさんのアドバイスを含めて声をかけてくれました。非常に大きな存在でした」と賛辞を惜しまなかった。

 

 第2戦が決着した瞬間、コート上ではそれぞれが素直に感情をあらわにしていた。あるものは床につっぷし、あのものは仲間と抱き合う。その輪のそばで森﨑は一人、真っ先に観客席へ数歩進むと、こぶしを突き上げた。

 

 「やったぞ、V1に残れたぞ!!」

 

 力強くにぎられた手に、喜びは詰まっていた。と同時に、森﨑はファンへの思いで胸がいっぱいになった。

 「このシーズンは監督の解任に始まり、途中で選手の離脱もあって、思うように結果が残せませんでした。それでもずっと、この入れ替え戦の舞台まで応援してくださった方々がいたので。皆さんへの感謝の気持ちをガッツポーズで表現しました」

 

 

駆けつけたファンに向けて、こぶしを突き上げた

 

苦難が続いたシーズンで、森﨑の背中を後押ししたもの

 

 振り返れば、前任のアーマツ・マサジェディ氏の解任が発表されたのは2021-22シーズン開幕の1週間ほど前。動揺はもちろん走り、その影響も響いた末に、年末から年明けにかけては主力選手の退団が相次いだ。となると、試合での結果も奮わない。森﨑自身、苦難が続いた。

 「自分はチーム最年長でもありますし、やはりみんなに『頑張ってほしい』と思っていました。けれども、去っていく彼らを止めることができず、チームが崩れていくのはつらかったです」

 

 シーズンが始まってからも、動揺し不安を募らせるチームメートに対して、森﨑は周りにアクションを起こそうと四苦八苦した。だが、一方でそれは、周りの気持ちを受けすぎるあまり、「何とかしなければいけない」という苦悩を生むことに。

「それでいっぱいいっぱいになってしまった自分がいました」

 いつしか体育館に行くことすら、億劫になっていた。

 

 

内定も含めて若手選手が多くコートに立った昨季。ベテランとして仲間と支えた

 

 好転するきっかけをつくってくれたのは、年明けから合流した内定選手たちでありファン、そして自身を取り囲む人たちだった。

 「内定選手たちが純粋に『次は勝とう』と臨んでくれていて、それを聞くと、頼もしいな、自分も頑張らないと、と思いました。それにファンの方々も温かく声をかけてくれて、たくさんの応援メッセージをいただきました。それがなかったら、折れていたと思います」

 

 森﨑は今春から職場を変えて、現在は介護福祉関連の仕事に就いている。昨シーズンのVリーグを戦っていたころは養護学校の教員を務めており、そこでの支えにも背中を押された。

 「土日はバレーボールをして、月曜日から仕事をする中で、子どもたちがいつも変わらずに元気なままで接してくれる姿に救われたのはあります。僕が選手であることを知っている子どももいますし、会場まで応援にきてくれたことも。生徒さんや、理解してくれる職場の方々のおかげで最後まで戦い続けることができました」

 

 応援があるからこそ、バレーボールが続けられるし、続けたい。森﨑の原動力がここにある。

 

 

入れ替え戦を終えて、思わず感極まる場面も

 

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