第75回全日本高等学校選手権大会(春の高校バレー)京都府大会(準々決勝、準決勝)が11月13日(日)、京都市体育館で行われる。インターハイ王者の東山高とライバル洛南高が、準々決勝で激突。今季はここまで東山高の2勝だが、7月の近畿大会では洛南高が初めてセットを奪った。幾多の名勝負を繰り広げてきた両雄の戦いから目が離せない
今季初対決となった6月のインターハイ府予選では、東山高が完勝した。前年度の春高予選で洛南高がベスト8に終わっていたことから、早い段階でこのカードが実現。会場に緊張感が張り詰めるなか、勝敗をわけたのはサーブだった。
第1セットは花村知哉のサーブで勢いづき、東山高が立ち上がりから6連続得点。相手の守りを崩すと、セッター當麻理人のトス回しがさえた。身長207㎝、高校生で唯一日本代表に登録された麻野堅斗のクイックや、8月に行われた第14回アジアU18(ユース)男子選手権大会でエースとして日本を優勝に導き、MVPに選ばれた尾藤大輝の強烈なスパイクなどで得点を量産。25-14と危なげなく奪った。
第2セットは中盤まで競り合ったものの、サウスポーの麻野が放ったフローターサーブで洛南の守備が崩壊。3連続サービスエースなど7連続得点で突き放し、勝負を決めた。東山高はこの一戦で勢いに乗ると、失セット0で3年ぶりの府予選優勝を飾った。
サーブを武器に、インターハイ府予選で快勝した東山高
そのわずか1ヵ月後の近畿大会、準決勝で再びライバル対決が実現。結果的には東山高が連勝したが、洛南高にとってはインターハイ予選で植え付けられた苦手意識を払拭する一戦となった。
第1セットを20-25で落とし、後がなくなったが、洛南高の細田哲也監督に危機感はなかった。
「自分たちのやることをきちんとやれば、決して怖い相手ではない。自滅だっただろう、ということをインターハイ予選が終わってから話していました。1セット目は相変わらず硬かったですが、予選のような悲惨なゲームではなかったので、『できるやんけ』と。『緊張は1セット目で十分したから、もうええ』と言うと、2セット目は伸び伸びプレーしていましたね」
第2セットは、長浜北中(滋賀)3年生時に全日本中学生選抜に選ばれたルーキー中上烈がチームをけん引。「目標は先輩である大塚達宣(早稲田大4年)選手。ちょっとでも近づけるように頑張りたいです」と語る若きエースは、力強いスパイクを決め、笑顔でコートを駆け回った。さらに、昨年度インターハイを経験したエースの申哲淵も要所で鋭くコースを突いた。第3セットは両エースに攻撃が偏ったところを相手ブロックに捕まって敗れたが、間違いなく秋につながる一戦だった。
「この大会での目標は、優勝などではなくて、まずは東山とやりたいとチームでも話していました。春高前の最後にできたのは自分たちにとって絶対プラスに働くと思います。まだ力を発揮できてないところがあったので、そこは悔しい思いがありますが、自滅さえしなければ、次は絶対に勝てると思います」(申)
1年生ながらチームを引っ張った#15中上(洛南高)
東山高はその後のインターハイで、失セット0で初優勝を飾った。目標に掲げてきた全国三冠への一つ目のタイトルを手にしたが、10月の国体ではまさかの5位。エースの尾藤をチーム事情で欠くなか、準々決勝では平均身長190㎝を超え、圧倒的な高さと強烈なジャンプサーブが武器の愛知県を相手に、勝機を見いだせなかった。それでも、新たな目標である春高での二冠目獲得を目指し、再びチームは走り出した。尾藤に代わって勝負どころで得点を決めた麻野は「尾藤がいない状況だったので覚悟を決めました。予選は厳しい戦いになると思いますが、そこを勝ちきって、自信に変えて本戦で日本一を取ります」と力強く語った。
#2麻野を軸に戦うも、国体で5位に終わり、再出発を誓った東山高
ライバルが全国の舞台で力をつける中、洛南高も下を向かない。申は言う。「インターハイは春高前の大きな全国大会の一つ。それに出られないのはしんどい道かと思いますが、
去年(インターハイ府予選で負けた)東山は逆にこの期間で成長してきました。去年の東山のように、レベルアップしていきます」。
エースとして、申(洛南高)は昨年のインターハイ以来の全国の舞台に導けるか
12日に行われた府大会初戦では、東山高は京都海洋高に、洛南高は舞鶴高専に圧勝した。2度目の対戦から4ヵ月。ひと回りもふた回り回りも大きくなった姿で、ライバル史に新たなページを刻む。
文・写真/田中風太