第75回全日本高等学校選手権大会(春の高校バレー)東京都代表決定戦が11月13日(日)に駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(東京)で行われる。一次予選を突破した下北沢成徳高、八王子実践高、共栄学園高、文京学院大女高が3枠を懸けて戦う全国屈指の代表権争い。準決勝で対戦する八王子実践高と共栄学園高の注目選手を紹介する
八王子実践高・野田祐希 一次予選でサービスエース連発にじむ主力の自覚
今夏のインターハイでは3回戦で就実高(岡山)、準々決勝で東九州龍谷高(大分)を下し、ベスト4に入った八王子実践高。春高でも活躍が期待されるチームとして、春高一次予選は通過点に見えるが、野田祐希の心は違った。「鳥肌が立ったというか。また、代表を決める戦いに行けてほっとしました」。2回戦で実践学園高を下し、胸をなでおろした。
その2回戦では、レフト側からクロス方向への強烈なサーブで、4本のサービスエース。「いろんな(カテゴリーの)試合を見ても、サーブで攻めていることがすごく多い」と男子日本代表などからヒントを得て、磨いてきた武器が光った。そのサーブで相手を崩したことで、身長183㎝のエース瀧澤凜乃、179㎝のミドルブロッカー成瀬ももかの高いブロックがより際立った。
瀧澤や対角の成瀬とともに中学時代から注目を集めてきたが、ここにきて存在感が増す。貫井直輝監督は「今まではミドルブロッカーの2番手のような感じでしたが、『私が一番手になるんだ』という気持ちが出てきたと思います。野田のサーブ、バズーカみたいでしょ? ほんとうにいいですよ」とたたえた。そして、代表決定戦のポイントを聞かれると、指揮官の声量が一段と上がった。「野田がどれだけスーパープレーヤーになるか、ですね!」。
その言葉を耳にした野田は「大きい声だったので。先生と目が合っちゃいました」と苦笑い。しかし、すぐに「自分だけでプレーできているんじゃない。親や先生への感謝もあるので、期待に応えたいと思います」と意気込んだ。
昨年の代表決定戦では準決勝で下北沢成徳高に勝利し、第1代表を決めたものの、今季はそのライバルに3戦全敗で、1セットも取れていない。「まずは(準決勝で)共栄(学園)に勝たないといけませんが、そこで本戦出場を決めて、(下北沢)成徳に勝ちたい気持ちがすごく強いです」。雪辱を晴らし、勢いに乗って本戦に乗り込む。
野田祐希
のだ・ゆうき/八王子実践高3年/ミドルブロッカー/身長177㎝/八王子実践中(東京)出身
共栄学園高・秋本美空 将来有望の器用な長身選手
日本バレー界期待の5ツールプレーヤーが、初めて春高を懸けた戦いに挑む。
身長182㎝のルーキー、秋本美空(共栄学園高)の武器は、高さを生かしたスパイクとブロックだけではない。強烈なジャンプサーブを放ち、後衛ではサーブレシーブ、そしてセッターも務め、高い位置からトスを上げる。誰よりも役割は多いが、「みんなよりボールを触れる機会が多くて楽しいです」と笑顔を見せる。
元日本代表の大友愛さんを母に持つ秋本は、共栄学園中3年生時に全日本中学生選抜認定選手に選出。高校進学後も、1年生ながら春先から主力として活躍し、5月にはU18日本代表に選出された。中学3年生時のJOC杯でも少し経験はあったが、高校からはセッターにも挑戦。それは将来を見据えた中村文哉監督の願いが込められている。
「方向性的には木村沙織選手(元日本代表)のように長身でサーブレシーブをして、オプションでセッターもできる、というふうに育成していこうと思っています。身長が高い割には器用な一面があるので、どうにか日本のために育てないといけないですね(笑) ほんとうに」
今季は秋本だけでなく、木村響稀、宇都木乃愛の両アウトサイドヒッターも含め、スタメンに1年生が多く名を連ねる。指揮官が「安定はしていないけど、伸びしろは相当ある」と太鼓判を押す若いチームが、今季初の全国大会を狙う。秋本は「八王子(実践)に1回も勝てていません。勝って、(下北沢)成徳にも勝ちたいです」と決意。注目の集まる舞台で、輝きを放てるか。
秋本美空
あきもと・みく/共栄学園高1年/オポジット/身長182㎝/共栄学園中(東京)出身
文/田中風太
写真/中川和泉、編集部
準決勝
第1試合(10時5分〜)
八王子実践×共栄学園/下北沢成徳×文京学院大女
第2試合
決勝(第1・第2代表決定戦)/3位決定戦(第3・第4代表決定戦)
※無観客開催
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