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「札幌のバレーボール選手といえば僕、と」郡浩也がサフィルヴァで抱く思いと芽生えたプロ意識

  

 Vリーグでも選手の移籍が活発化するようになって久しく、2022-23シーズンで活躍の場を新天地に求めた選手もいる。愛知を拠点とするV1男子のジェイテクトSTINGSから本州を飛び越えて、北の大地へ。V2男子のサフィルヴァ北海道で今季プレーする郡浩也もその一人だ。

 

郡浩也(こおり・ひろや/1996年2月6日生まれ/身長195㎝/最高到達点348㎝/都島工高〔大阪〕→日本大→ジェイテクトSTINGS→サフィルヴァ北海道/アウトサイドヒッター)

 

サフィルヴァで今季チーム2番目の得点をマーク

 

 見方によっては金色にも近い、か。濃い黄色を基調としたユニフォームをまとい、郡浩也がコートに立っている。その頭髪も、鮮やかな金色だ。かつて企業チームに所属していたころとはまるで違う様相に、一人のプロアスリートであることを実感する。

 ジェイテクトからクラブチームのサフィルヴァへと移籍した郡。会社員からプロ選手へと転身したことで当然、その胸の内は異なる。

 「自分の中でも、めちゃくちゃ変化があります。以前は企業に勤めながらバレーボールをしていたので、守られていました。プレーや評価に関わらず、例えば給料も一定でしたから。ですが、今はワンプレーが自分の評価につながり、それは自分の収入にもつながってくる。バレーボールに対して、より真摯になりました」

 日本大を卒業後、2017/18シーズンからジェイテクトで5シーズンをプレーした。身長195㎝の大型アタッカーとしてのポテンシャルは魅力的だったが、出場機会を多く得るまでには至らなかった。

 そうして移籍を決断した。サフィルヴァでは現在、レギュラーとしてプレーし、攻守の軸に。年内の戦いを終えた時点で、チームでは外国籍選手のジェイレン・ペンローズ(アメリカ)に続く2番目の総得点をマーク、ブロック決定本数(1セットあたり)はリーグトップの成績だ。

 「出場機会が増えたことで、ほんとうにバレーボールの魅力やおもしろさが僕の中でも高まっています」

 そう話す口元から白い歯がのぞいた。

 

高さを生かしたアタックで得点を重ねる

 

【次ページ】「問題なく馴染むことができた」

 

シーズン初戦でアイシンティルマーレに逆転勝利を収めたサフィルヴァ

 

「問題なく馴染むことができた」と郡

 

 バレーボールを楽しんでいる。そんな様子はコート上での振る舞いからも伺える。「僕はこれでしか表現できない」と話すように、積極的に周りに声をかけて、チームの雰囲気を盛り上げる。また、セット間もプレーの合間も、観客席にいるファンと目を合わせ、さらなる応援を促すのだ。

 「バレーボールは会場を巻き込んだほうが勝つ、と思っているので。会場を味方につけられるように、ちょっとだけ意識しました」

 見ている人をどれだけ惹きつけられるか。それもまた、プロ選手に求められる要素の一つである。

 もっとも、そうして思いきり振舞えるのも、サフィルヴァというチームの持つ風土があってこそだろう。「とても仲がよくて、僕も含めた新加入の選手たちが問題なく馴染めています」と郡本人。今季は郡にペンローズ、また、JTサンダーズ広島から陳建禎といった面々が加わったわけだが、とにかく溶け込んでいるのだ。これには上杉徹監督も、このように語る。

 「元々、サフィルヴァには外からくる選手をとても温かく受け入れる土壌ができていたと思うんです。ここ数年、レンタル移籍の選手も来てくれていましたし、“早く順応させてあげたい”“慣れてもらえるように”という雰囲気づくりが、うちの選手はうまいと感じます」

 

郡やペンローズ(写真左から3番目)ら頼もしい新戦力たち

 

チームが拠点を置く札幌で描く選手像

 

 もちろん、本人たちに前向きな姿勢がなければ、それも難しい。その点、指揮官は高く評価している。

 「ジェイ(ペンローズ)にしても、郡にしても、自らどんどん溶け込んでいこうという姿勢がとても見られます。それが合わさることで相乗効果を生み、今のチームになっている。私も今の彼らの姿勢はすごく好きですね」

 V1のステージを目指すサフィルヴァが掲げるは「高さとパワーで相手をねじふせる」(上杉監督)ようなストロングスタイル。そこに郡たち新戦力は欠かせないピースとなっている。

 そして、新天地に懸ける強い思いがそこにはある。北の大地で目指す選手像を、郡はこう話した。

 「札幌はとてもスポーツが盛んで、メディアにもたくさん取り上げていただけています。その中で、『札幌のバレーボール選手といえば、郡浩也』と言われるくらいの、札幌で応援される選手になりたいです」

 ビールしかり、作物しかり。北海道では、豊穣な実りが金色で表現されることがある。

 

 今、郡浩也の胸はバレーボールへの思いで満たされている。だから、新しいユニフォームもヘアースタイルも、似合って見えるのだ。

 

セット間のコートチェンジで観客へ応援を促す。会場を巻き込んで、ムードを押し上げるのだ

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

柳田将洋/藤中颯志/星野秀知

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【ギャラリー】目指せV1! 2022-23シーズンのサフィルヴァ北海道〔20点〕

 

 

 

 

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