春高直前 前回大会の男子決勝を振り返る【月バレ2022年2月号・プレーバック】
- 学生
- 2022.12.23
第75回全日本高等学校選手権大会(春高)が、2023年1月4日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開催される。
男子では大会連覇に挑む日本航空(山梨)をはじめ、今夏のインターハイで初優勝を飾った東山(京都)、今年の国体で初優勝を果たした前回大会準優勝の鎮西(熊本)、堅守が特徴でインターハイ準優勝の東福岡(福岡)など、全国の予選を勝ち上がった52チームで優勝を争う。大会を前に月刊バレーボール2022年2月号の春高報道号で前回大会決勝を振り返ってみよう。(月刊バレーボール2022年2月号掲載記事を再編集したもの。本文は当時の内容のまま)
------以下、月刊バレーボール2022年2月号より------
「しつこく、こだわってきたバレーを選手たちが信じてやってくれた結果だと思います」と目尻を下げる月岡裕二監督。指導歴24年目を数える指揮官が選手をたたえたように、これまでの積み重ねが実を結んだ末の優勝だった
文/坂口功将(編集部)
多彩な攻撃を見せた日本航空(コート奥)
高い守備力とコンビバレーで 粘り強く勝ち上がった
編隊を組んだ戦闘機のごとく、コート上の6人が流れるようなコンビバレーを展開する。悲願の日本一まであと1点、最後は“一番機”前嶋悠仁がスパイクを決めた。
そうして優勝を決めた日本航空のベースにあったのはディフェンス力だ。「日々の練習は守備が7割、攻撃は3割」(月岡監督)と徹底的に守りの強化に努め、そこからキャプテンの前嶋と小林柊司の両エースのサイド攻撃や、利川慈苑と渡邊健のパンチ力あるミドルブロッカー陣の速攻を絡めるコンビバレーを作り上げた。
その総合力の高さを武器に、昨夏には関東大会を制覇。続くインターハイは学校内に新型コロナウイルス感染者が出たことで予選辞退となったが、「いつまでも下を向いていても意味がないぞ」と選手に伝えた月岡監督。そこからの約2ヵ月間、幾多の有力校たちと合計200セットに到達するほどの練習試合を重ね、自分たちの今の力を確かめながら歩を進める。その対戦校からは日本航空の強さを警戒する声が聞かれた。
そうして、再びめぐってきた、全国の頂点を目指すチャンスでチームは思う存分に躍動する。ノーシードからの勝ち上がりは決して楽なものではなく、2回戦から準々決勝まではフルセットの試合が続いたが、競り合いを制する粘り強さこそ、今季のチームを象徴していた。
決勝では2セットダウンとなったが、月岡監督は「この素晴らしい会場で自分たちに与えられた時間なんだよ。もう3セットやろうよ!!」と選手たちを鼓舞。アンストッパブルな活躍を見せる相手エースに対応できなかったオポジットの久保田史弥も、レシーブの位置取りを変えることでトランジションアタックの起点となる。そこからセッター樋口響がコンビを操り、勝負どころでは前嶋キャプテンが決めきった。
体育館は春高と同じ仕様 いつもどおり戦えることの強さ
日々の積み重ねが今回の結果を生んだが、それは同時に、長い年月をかけた熱意の結晶でもあった。日本航空はあらゆる部活動に熱心で、バレーボール部も例に漏れない。6年前には体育館に春高と同じ仕様であるタラフレックスのコートが敷かれ、昨年からは附属中学にもバレーボール部が誕生するなど総力をあげてチームの発展を後押ししている。「長きにわたる学校関係者の皆さんの支えがあって、どんな状況も乗り越えてこられた」と月岡監督は感謝を惜しまない。大会を終えて、前嶋キャプテンも「附属の中学生たちに、春高のコートは『自分たちの学校と一緒。毎日の練習と同じ感覚でプレーできるぞ』と伝えたいです」と語った。
いつもどおりの力を発揮できる、チームをつくってきた指導者たちと選手たち、そして“日本航空”という学校全体の勝利だった。
これまでの戦い
[1回戦]
2{25-20、25-12}0 vs. 一関修紅(岩手)
[2回戦]
2{22-25、25-16、25-16}1 vs. 岡谷工(長野)
[3回戦]
2{23-25、25-17、25-14}1 vs. 川内商工(鹿児島)
[準々決勝]
2{25-22、27-29、25-22}1 vs. 東福岡(福岡)
[準決勝]
3{25-19、25-14、25-19}0 vs. 雄物川(秋田)
[決勝]
3{20-25、23-25、25-23、25-19、15-11}2 vs. 鎮西(熊本)
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以上、月刊バレーボール2022年2月号を振り返った。今大会はどんな戦いが繰り広げられるのだろうか。
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