第75回全日本高等学校選手権大会(春高)が、2023年1月4日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開催される。
男子の日本航空(山梨)が大会連覇に挑む。前回大会はエース前嶋悠仁を擁して鎮西高(熊本)相手に2セットダウンから逆転優勝を果たした。月刊バレーボール2022年2月号の春高報道号でその時の記事を振り返ってみよう。(月刊バレーボール2022年2月号掲載記事を再編集したもの。本部は当時の内容のまま)
------以下、月刊バレーボール2022年2月号より------
勝利に導く得点も、優勝も、コート上でのパフォーマンスも
思い描いた姿をすべて実現した
文/坂口功将(編集部)
前嶋悠仁は自身3度目の春高で、これまで体験したことがない感覚を抱いていた。
「変な気持ちなんです。ワクワクしているし、でも、冷静でいられる自分がいます」
大会序盤は自身のプレーもいま一つだったが不安はなく、準々決勝でついに大爆発。試合後には「絶好調でした」と白い歯をのぞかせた。突然の好転に本人は不思議がったが、この舞台を楽しんでいたことは確かだ。自身初となる春高のセンターコートに立った準決勝では、先発メンバーの入場時にカメラに向かってピースサイン。それは、応援してくれる友人たちからの要望に応えたもので、勝利したあとには“指ハート”のポーズを繰り出し、反響を誘った。
熱さと冷静さ、そして、楽しむ心はプレー面でも追い風になった。決勝では「エースどうしの打ち合いになれば、絶対に打ち負けない」と闘志全開。2セットダウンの窮地に立たされると、「体が動かなくなってもいいから思い切りやろう」と奮い立つ一方、相手ブロックを見極めて得点を重ねた。その姿にセッターの樋口響は、「ほんとうに冷静でした。いつもは硬くなってブロックされることも多かったけれど、ボールを打ち切って、決まればニコニコして、頼りになりました」と語った。
振り返ればいつも、自分の思いをプレーに結び付けてきた。小学生時代は下級生の多いチームで攻守の軸を担い、「自分が1本目を弾いてしまっては試合にならない」と、サーブレシーブやディグを“よりていねいに”返すことを磨いた。それは今のプレースタイルにつながっている。
そして今大会の直前、構内の神社で必勝祈願を行った際には理事長から「心の中で『優勝しました。ありがとうございます』と思いなさい」という言葉を授かった。その真意を、今はこのように捉えている。
「目標に対して、それを達成した先を思い描くことで、ほんとうに実現するのだと。なので、優勝した姿を想像していました」
チャンピオンシップポイントを決めた直後、前嶋はほおに両手を当てハートをつくった。それもまた、決勝前に友人から「最後は何をするの?」とはやし立てられ、考えていたポーズ。
自分がやろうとしたことをすべて実現できた、高校生活最後の大会だった。
前嶋悠仁(日本航空)
まえしま・ゆうと/3年/アウトサイドヒッター/身長180cm/最高到達点330cm/袋井中(静岡)
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以上、月刊バレーボール2022年2月号を振り返った。今大会、日本航空はどんな戦いを繰り広げるのだろうか。
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