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春高直前 鎮西(熊本)と松本国際(長野)の今年度男子インターハイを振り返る【月バレ2022年10月号プレーバック】

 

 

 今年度最後の全国大会となる第75回全日本高等学校選手権大会(春高)が、2023年1月4日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開催される。

 

 今夏、香川県で行われた四国インターハイで連覇を目指した鎮西(熊本)は東福岡(福岡)に、2019年に優勝して以来3年ぶりに出場した松本国際は東山(京都)にそれぞれ準決勝で敗れ大会を後にした。大会を前に月刊バレーボール2022年10月号のインターハイ報道号(男子)で両チームの戦いを振り返ってみよう。(月刊バレーボール2022年10月号掲載記事を再編集したもの。本文は当時の内容のまま)

 

------以下、月刊バレーボール2022年10月号より------

 

連覇ならず 大エースとともに前へ

3位 鎮西(熊本)

 

 

東福岡戦では、しつこい三枚ブロックにも高い打点からスパイクを放った③舛本

 

 

 九州大会決勝の再現となった準決勝。第1セットを25-16であっさり先取し、鎮西が再びストレート勝ちを収める予感が漂った。だが、スパイクを決めるたび、エース舛本颯真キャプテンはただならぬ圧を感じていた。

 「ブロックアウトを狙うと(ブロックに)囲まれて、インナーに打つと人がいる。ブロックの上から打っても、そこにまた人がいた。ポジション取りがうまく、ほんとうに打つところがなかったです」

 

 舛本への徹底したマークにしつこいサーブ。ストレスがかかり続けると、「絶対自分にトスが上がるとわかっていたので、助走に速く入りすぎて。プレーが雑になってしまいました」とほころびが生じた。第2セットはフローターサーブで崩され、6連続失点。最終第3セットはエース勝負を挑むも、その壁を打ち破れなかった。連覇への道が閉ざされ、「ずっとマークされていても、そこで決めないとキャプテン、エースじゃない。
自分のせいで負けました」と視線を落とした。

 

 頂点を懸けた戦いは、スタンドから見つめた。「決勝の2チームとはレベルが違いすぎました。松本国際も含め、今のままでは自分たちは劣っていると思います」。その差として挙げたのがディフェンスだ。「自分がマークされているときにほかの選手を使えたら相手もわからなくなる。もっと頭を使えたらと思います」と自覚するも、準決勝は全95本中63本を舛本が打った。安定したレシーブが返せなかったこともその一因。トスを散らしてエースの負担を軽減するためにも、課題の見直すきっかけとなった。

 

 昨年度は全国大会で2度のセンターコートに導いた舛本に、セッター平川天翔は「颯真で勝負して負けたら仕方ない」と全幅の信頼を置く。だが、マークは厳しくなるばかりで、エースだけに頼っていられない。オポジットの平田悠真は「(鎮西は)舛本だけと言われるのが悔しい。そう言われないように努力したいです」と火がついた。タイトルは残り2つ。「向かっていくしかないですね」と語るエースが、仲間とともに試練を乗り越える。

 

選手にとって初の全国 この負けをムダにしない

3位 松本国際(長野)

 

エース③徳留を軸に多彩な攻撃が光った

 

 インターハイでは2019年に優勝に輝いた松本国際。ただ以降2年間は県予選敗退に終わり、今年のチームにとっては3年生も含めて、インターハイ自体が「初めての舞台。全国大会を経験した3年生も数名で、そこから生まれた硬さはありました」と石田桜大キャプテンは振り返る。それでも大会に入ってからは試合を重ねるごとに調子を上がっていく。予選グループ戦を通過後は、「シード校を食うぞ」(石田キャプテン)と息巻くチームが放つ熱量は高く、その手応えを壬生裕之監督は確かに感じていた。

 

 だが、準決勝は試合に入る前から、そして試合に入ってからも「それほど流れに乗り切れていない感じがしました」と壬生監督。理想は、自分たちが先行する展開に持っていくことだったが、実際は東山にリードを許し、追いつきはするものの、追い抜くことができない。「先にリードされて、焦ってしまった」と石田キャプテンが言えば、2年生エースの徳留巧大も「静まり返っていました。ずっと耐えるばかりで、そこから相手に対して一手を繰り出すことができずに終わってしまいました」。持ち味であるコンビバレーも、やや乱れが生じたときには消極的なプレーになってしまい、「大胆不敵になれなかった」と徳留。準々決勝までの勝ち気を失ってしまったのが、準決勝の敗因だった。

 

 とはいえ、全国の舞台を経験できたこと自体が収穫でもある。「これで慣れることができたと思うんです。なので。ここからは大舞台で力を発揮するために、普段の練習から緊張感を持って過ごしたい」と石田キャプテン。壬生監督は「やりたいことができなかったと思っているのは、課題が残っているという証しでもあるので。今大会が一つの自信になってくれればいい。とはいえ『負けて課題が明確になってよかった』とは一切思いません。それは次に結果を出して初めて、『あのときの負けがよかった』と言えるのでしょう。失敗を肯定できるように、切り替えて次に臨みたい」と一歩を踏み出した。

 

取材・文/坂口功将、田中風太(編集部)

写真/山岡邦彦、編集部

 

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 以上、月刊バレーボール2022年10月号を振り返った。今秋に行われた国体では県代表として単独チームで出場した両チーム。鎮西は優勝、松本国際は4位と、ともに好成績を収めている。努力を重ねてきた両チームはその成果を春高の舞台でどのように表現するのだろうか。

 

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