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春高直前 金蘭会(大阪)の今年度の女子インターハイを振り返る【月バレ2022年9月号プレーバック】

 

 

 今年度最後の大会となる第75回全日本高等学校選手権大会(春高)が、2023年1月4日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開催される。

 

 今春のさくらバレー決勝で古川学園(宮城)に敗れ優勝を逃した金蘭会(大阪)。同じ対戦となったインターハイ決勝ではリベンジに成功、8年ぶりの優勝をつかみ取った。大会を前に月刊バレーボール2022年9月号のインターハイ報道号(女子)で金蘭会の戦いを振り返ってみよう。(月刊バレーボール2022年9月号掲載記事を再編集したもの。本文は当時の内容のまま)

 

------以下、月刊バレーボール2022年9月号より------

 

激しいベンチ入り争いが日本一を後押し

優勝 金蘭会(大阪)

 

 

決勝で古川学園にストレート勝ちし、歓喜の瞬間を迎える選手たち

 

 

大一番で

上村に頼らないバレーを展開

 

 8年ぶりの歓喜の瞬間に、コートに立つ選手たちは顔を覆った。それは、スタンドにいる選手たちも同じだった。3年生で唯一レギュラーを務める德本歩未香キャプテンは「支えてくれた3年生が『ありがとう』と言ってくれました。優勝してすごくうれしかったし、日本一っていいなと思いました」と笑顔で語った。

 

 決勝は3月のさくらバレー決勝で敗れた古川学園との再戦。同大会では止められなかった阿部明音、タピア・アロンドラに2枚ブロックでしつこくプレッシャーを与え、空いたコースはディグでしのいだ。すると、セッターの中川さつきが「信頼してトスを上げられました」と語るスパイカーが、多彩な攻撃を展開。ミドルブロッカーの井上未唯奈はエースの上村杏菜、その対角の西村美波に次ぐ14得点。これまで課題だったライト攻撃では、要所で佐藤彩音が得点を重ねた。チームのテーマだった上村に頼らないバレーを、大一番で形にした。

 

 準決勝、決勝は1試合を通して佐藤が出場したものの、サウスポーの後山七星との併用が続いた。今大会唯一のフルセットとなった準々決勝の進徳女(広島)戦では、セットを取られると、昨年度から今年のインターハイ府予選までレギュラーだった繁田香春を投入してピンチを脱出。柔軟な選手起用の背景には、日本一とも言える熾烈なベンチ入り争いがある。インターハイを1週間後に控えた近畿大会を終え、池条義則監督は胸の内を明かした。

 「試合の前日に、選手たちに言うんです。『俺ら(スタッフ)もほんとに悩むんや。みんなを出してあげたいねんけど、しゃあないねん』って。近畿大会は18人の登録から試合ごとに14人を選びましたが、インターハイは登録が12人。『これからも競争やで』と話しています」

 

 

近畿大会から本職のアウトサイドヒッターでプレーした1年生の西村。決勝はチーム2位の得点を決め、「えっ、うれしいです!」と満面の笑み

 

 全国トップの5人が名を連ねたU18(ユース)、U20(ジュニア)日本代表のほかにも、高いポテンシャルを秘めた選手たちがそろう。今大会はアジアU18選手権大会で活躍したオポジットの平野シアラや、昨年度のレギュラーである前川唯奈はベンチ外。だが、決勝で活躍した井上が「(活躍できたのは)サブのメンバーのデータのおかげです」と感謝するように、メンバーを外れても腐らなかった。インターハイ府予選決勝グループ戦では10年ぶりの敗戦を喫し、德本キャプテンが「今はバラバラ」と語っていたチームは、「一丸となって戦えた」と生まれ変わった。

 

 栄冠を手にしてもなお、競争は続く。優秀選手に輝いた井上は「優勝しても、そのメンバーで固定する先生ではないので。前川さんもいるし、西村がまたミドルブロッカーに戻るかもしれない。ポジションは確約されていないので、もう一度チーム内競争に勝って、日本一になりたいです」と足元を見つめる。佐藤も「これから頑張らないとすぐに抜かれてしまう」と危機感を募らせた。

 

 逸材たちが激しく火花を散らすレギュラー争い。その熱が高まるほど、金蘭会が女王の座に君臨し続けそうだ。

 

 

優勝し涙を流す3年生の前川(左)と優しくほほ笑む1年生の平野

 

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 以上、月刊バレーボール2022年9月号を振り返った。高校三冠(インターハイ、国体、春高)を目標にしていた金蘭会。インターハイの後に行われた国体に大阪府代表として金蘭会中心のチームで出場するも3位に終わった。その国体で優勝したのは宮城県代表として単独チームで出場した古川学園だった。両チームは二冠目を目指し春高に挑む。トーナメントの組み合わせ上、両チームが対戦するのは決勝しかない。今年度最後の大舞台ではどのような結末が待っているのだろうか。

 

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