昨年末、中学生の全国大会「JOCジュニアオリンピックカップ第36回全国都道府県対抗中学大会」(JOC杯)が行われた。各都道府県の“金の卵”たちが集った大会で、彼らが見せた姿をクローズアップする
【第3回】静岡県選抜男子 前島巽の兄・前嶋悠仁ミニインタビュー
相手のチャンピオンシップポイントからサーブミスでゲームセット
【画像】JOC杯静岡県選抜男子 第36回JOC杯ギャラリー【15点】
2022年12月28日、第36回JOC杯はまもなく終わりに近づこうとしていた。丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)に敷かれたセンターコートでは男子決勝が行われ、東京都選抜と静岡県選抜が一進一退の攻防を繰り広げていた。
フルセットの試合は最終第3セット、東京都選抜が堅いブロックで静岡県選抜の攻撃をはね返し、チャンピオンシップポイントに到達する。それでも食らいつく静岡県選抜は20-24から前嶋巽にサーブ順が回ってきた。
その緊張感漂う場面でエンドラインに立つ弟を見つめる、兄の姿が応援席にあった。前嶋悠仁(明治大1年)である。
自身もかつてはこの舞台で静岡県の名を背負ってプレーし、優秀選手に選ばれた。そうして全日本中学生選抜入りを果たすと、やがて日本航空高(山梨)3年生時には春高優勝を経験している。
大会を終えて、少しばかり話を聞いてみた。
――チャンピオンシップポイントで弟の巽選手にサーブ順が回ってきました。どんな心境で見ていましたか?
前嶋 絶対にミスするなよ、って思って見ていました。最後は、はずれてしまって、あぁー!! と。でも、難しいですよね。攻めるとミスもしやすくなるし、守りに入って打ち込んでも相手に得点されやすくなるだけなので。
――自分がプレーするのと、観戦するのではどっちのほうが…
前嶋 やっているほうが楽です。しかも今回、弟はミドルブロッカーでプレーしていたので。クラブチームでは自分と同じアウトサイドヒッターですが、サイドの姿よりもこっちのほうが楽に見られた気がします(笑)
――サイドでのプレー姿を見ると、兄弟そろってスパイクフォームがほんとうに似ている印象です
前嶋 そうですか!?(笑) 自分たちではわからないので。ただ、常に高い打点でボールをとらえることができている点は似ていると感じます。
――逆に、ここは負けないぞ、という部分は?
前嶋 そこはやっぱり、器用さやキレの部分は負けていないかと。(ドヤ顔)
――振り返っていただくと、自身にとって、このJOC杯はどんな舞台でしたか?
前嶋 楽しかったです。それまでに県内で1シーズン、新人大会から夏の選手権(総体)までは、いわば敵どうしで戦ってきた選手たちと、静岡県選抜で楽しみながらプレーする。それがいい思い出として残っています。
――JOC杯そして、次の高校バレーの経験者として、弟の巽選手へエールを送るならば?
前嶋 最後はミスして終わりましたが、あの1点を忘れないようにしてほしいです。高校に進学したら、だらけてしまうときも出てくるかもしれません。ですが、今日の、あの場面を思い出したら、だらけてなんていられないはずなので。いい経験になったのではないかと思いますね。
前嶋巽はクラブチーム、掛川スペランツァの一員として、2022年秋の全国ヤングクラブ男女優勝大会に出場し、準優勝に輝いた。その際には、兄から「楽しんでこい!!」とエールをもらったという。その弟が明かすに、春高の舞台で戦う兄の姿は「家でふざけてばかりいる姿とは全然違って、とても楽しそうでした」。
中学生最後の舞台は再び銀メダルを手にする結果となったが、次のステージでは兄同様にコート上で楽しむ姿を見せてくれるに違いない。
(文/坂口功将〔編集部〕 写真/岩本勝暁、編集部)
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