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「相手はドイツとスペイン」 JOC杯徳島県選抜女子が強敵たちにぶつけたサーブとチームワーク

  • コラム
  • 2023.01.18

 

 

半年間の活動で培ったチームワークをぶつけた

 

“とにかく明るい”。登山で育んだチームワーク

 

 ただ、ブレイクが続いた場面で岡山県選抜がタイムアウトを取ると、緊張感が顔を出し、橘本のサーブが外れてゲームセット。試合後、大野監督は「(相手の)柘植信秀監督が『あのタイムアウトでやられたでしょ?』って言うてきて。悔しかった~」と笑い飛ばした。

 

 それでも、しっかりと本番で力を発揮した橘本は、サーブがもたらす影響をこのように語った。

 「自分はセッターなので、得点を取れるわけではないだけに、チームのためにサーブで点を奪えたのはうれしかったです。それに、やっぱり場が盛り上がるので、みんながさらに気持ちよくスパイクが打てるようになったと感じました」

 

 ここに、徳島県選抜のもう一つの武器があった。とにかく、明るいのだ。

「小さいから、元気よく勢いに乗らなあかんねん」という大野監督の言葉どおり、第1試合で岡山県選抜に敗れたあと、第2試合の兵庫県選抜戦ではムードよく戦って勝利する。「まるで別人でした」と佐藤美咲キャプテン(津田中3年)が照れるのもうなずけた。

 

 

予選グループ戦を僅差で2位通過

 

 しかし、そうした雰囲気は最初から身についていたわけではなく、活動が始まった7月当初は「ばらばらで、話し合うこともなかなかできなかった」と佐藤キャプテンは振り返る。そこで力を入れたのは、バレーボール以外のこと。その一つが登山で、徳島を代表する眉山がチームビルディングの舞台に選ばれた。

 「2時間くらいかけて登るのですが、これがけっこうきついんです。そこでお互いに励まし合って、『みんなで乗り越えよう』と気持ちが一つになるのを実感しました」(佐藤キャプテン)

 トレーニングも兼ねたこのイベントはチームワークを磨くに最適で、大野監督は「バレーボールから離れるのは大事やなと思ったよ」としみじみと語った。

 

 

岡山県選抜の柘植監督(写真右)と試合後に談笑する大野監督

 

雰囲気と比例して、強くなっていくチームだった

 

 そうしてチームは一体感と好ムードをまとい、JOC杯を駆け抜けた。「波に乗ったら、ほんとうにみんなが“馬鹿”になるので、試合がだんだん楽しくなるんです(笑) そうなることで、どんどん強くなるのも実感しましたし、それがこのチームのよさだと感じました」とは佐藤キャプテンの感想だ。

 

 決勝トーナメント1回戦はこれまた、今大会で最多11度目の優勝に輝くことになる東京都選抜と対戦し、敗れる結果に。相手セッターの髙伊芽吹(駿台学園中3年)は150㎝であり、まるでサッカーの“小さな巨人”ことルカ・モドリッチのごとく。その点も、クロアチア代表に決勝トーナメント初戦で敗れたサッカー日本代表と重なって見えた。

 

 最後は力及ばなかったが、その成長ぶりと選手たちが健闘した姿に、大野監督は温かい言葉を送る。

「子どもたちがいちばん楽しんでくれたし、やっぱり日本一楽しんだチームが勝つんやろうからね」

 結果は予選グループ戦2位通過に、決勝トーナメント1回戦敗退。それでも、彼女たちが半年間に及ぶ活動の集大成で、思いきり楽しんでいたことは確かである。

 

 

楽しんだもん勝ち。徳島県選抜女子、胸を張っていい

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

 

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