「V2優勝、V1挑戦が目標です」。V2男子、ヴィアティン三重のキャプテン落合一輝は短い言葉に力を込める。昨季、V2男子を3位という成績で終え、迎えた今季。チームが目指すものは一つだけだ。
柔軟に対応できるかがカギ
ヴィアティンは、2017/18シーズンにV・チャレンジリーグⅡ(当時)へ参入。V2所属に必要なS2ライセンス取得を機に、2019-20シーズンからV2の舞台に参戦した。今季は1月29日(日)終了時点で9勝5敗 の3位。1位のヴォレアス北海道(11勝 1敗)、2位のサフィルヴァ北海道(9勝5敗)を追っている(2位と3位はセット率による)。
「まだまだ優勝を狙える位置。まったくあきらめていない」と落合主将。 2レグも折り返したリーグ(全3レグ)の戦い方について倉田真監督は、「長いリーグ戦、まだ半分終わったところ。調子のよしあしもありますし、さまざまなアクシデントが起こります。V2優勝のためには、何が起きても柔軟に対応できるよう、ベンチの選手も新入団の選手も、全員で戦うことが理想」と語る。
「柔軟な対応」はシーズン前から始まっていた。昨季、サーブレシーブ成功率71.5%でランキング3位だったリベロの外崎航平が今季はヴォレアス北海道に移籍し、この穴を埋めているのは「リベロはキャリアの中でも初めて」と言う鳥原大地だ。アウトサイドヒッターからコンバートされ、開幕から全試合にリベロとして出場している。
「出来はまだまだ。レシーブも二段トスの精度も低い。特に攻撃の起点を作るという意味でサーブレシーブを重視しているが、まだ成功率は59%くらい。65~66%程度まで上げたいし、できれば70%まで目指したい」と、鳥原は初めてのポジションに貪欲に挑戦している。
「誰をリベロに…、と考えたときに、鳥原だと思いました」と言う倉田監督は、能力やポジション適性だけでなく、「コートで雰囲気を盛り上げてくれており、チームにとってかなりプラス。プレーの安定性はもう少しだが、ディグはよく上げてくれており、任せてよかったと思っている」と、リベロに尽力する鳥原を評価している。
チームの稼ぎ頭はオポジットの春藤洸介。しかし、1月28日(土)の大同特殊鋼レッドスター戦では、内定選手(国士舘大在学中)の金澤滉也が第2セット途中から春藤に代わり、第3セットはスタートからコートイン。得点もあげて勝利に貢献した。リーグ後半を戦い抜くために、新戦力も不可欠と考える倉田監督は、「どのようにゲームにフィットしてくれるか確認しました。いい働きをしてくれました」と口角を上げた。キャプテンの落合も、「ベンチでもスタメンでも途中出場でも、やれることはすべてやる」と備えは万全。V2優勝に向け、メンバー全員「何が起きても柔軟に対応する」準備はできている。
「すべての試合が重要ですが、V2優勝、V1参戦という目標に向けて特にヴォレアス、サフィルヴァという上位 2チームには絶対に負けられない。ヴォレアスには1敗してあと 2戦、サフィルヴァとは 1勝1敗であと 1戦残っています」。落合の目に炎が宿る。「落としていいゲームも点数もない。1試合、1セット、1点にこだわって戦います」。
各チームが折り返しを迎えつつあるV2男子。し烈な優勝争いの続く後半戦へと突入する。
取材/淺井恭子
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