バレーボールのイタリア・セリエA、2022/23シーズンは現地2月12日にレギュラーシーズンの第19節(後半第8節)が実施される。石川祐希が所属するミラノは、ピアチェンツァと対戦する。
(Photo:legavolley.it)
<充実した顔ぶれが並ぶ。なお、08/09シーズンにリーグ優勝を果たしたピアチェンツァは別チーム(17/18シーズンかぎりで消滅)>
フランス代表のセッターがブラジル代表の両エースを操る、だと…!?
「エディットモード」。スポーツのテレビゲームをプレーしたことがあるかたは、ピンとくるかもしれない。チームを好きな選手で固めて“編成(=エディット)”して戦う、といった具合のものだ。いわばオールスター、ドリームチームに意味合いは近いだろうか。
ここ数年のピアチェンツァは、まさにそんな選手補強を行っている。例えば、今季獲得したのは、ルカレリことリカルド・ソウザとイオアンディ・レアル(ともにブラジル)の両エースに加え、身長208㎝を誇る“カリブ海の巨人”ロベルランディ・シモン(キューバ)、昨年の世界選手権優勝のユーリ・ロマノ(イタリア)といった顔ぶれだ。ルカレリとレアルはブラジル代表でもエース対角を組むものどうし。またレアルとシモンはかつてキューバ代表として戦い、2010年世界選手権で準優勝に輝いた当時の主力である。
その面々を操るのが在籍2季目のセッター、アントワーヌ・ブリザール(フランス)で、ご存知、東京2020オリンピック金メダリスト。想像してほしい。フランス代表とブラジル代表が合体し、前衛では世界屈指のミドルブロッカーがそびえ立つチームを。そんなエディットモードでしか実現しえないようなチームが、ここに誕生したわけだ。
<ブリザール(左端)からシモン(中央)へのクイック。このステージだからこそ実現する光景だ>
スーペルリーガ参戦の歴史は浅い新興チームが目指す頂点
それは本気度の表れにほかならない。ピアチェンツァはインフラ会社の「Gas Sales Energia」や「Bluenergy Group」などをメインスポンサーとし、18/19シーズンからリーグに参戦。初年度はセリエA2(2部リーグ)、翌シーズンから最上位のスーペルリーガを戦う。レギュラーシーズンでは10位(19/20)、6位(20/21、21/22)と順位を上げ、今や当然のごとく、世界最高峰リーグでの覇権を狙っている。
今季の戦いぶりを振り返ると“トップ4”には敗れているものの、取りこぼしは少ない印象。しかし、世界選手権の負傷でそもそも出遅れたルカレリが第12節(後半第1節/現地22年12月17日)のヴェローナ戦で右手中指を負傷し、手術のため戦線離脱。またレアルも右肩の状態が芳しくなく、年末からはコートを離れた。その間は黒星が先行し、とりわけ第15節(後半第4節/現地1月15日)では当時最下位のシエナに1-3で敗北。これにはマッシモ・ボッティ監督も「順位を上げるチャンスをものにできなかった」と悔やんだ。
<レアル(中央)とルカレリ(右隣)が並ぶ。タイトル獲得へ欠かせないピースだ>
とはいえ、勝負はこれからだ。1月下旬からはレアルが戻ってきた。加えてシモンはシーズンが進むにつれて、ギアをぐんぐん上げていくタイプ。昨季まで所属したルーベではプレーオフに突入してから鬼神のような活躍を見せた。今季も第17節(後半第6節/現地1月29日)では7本のブロックポイントに5本のサービスエースを含む27得点をマークするなど、すでにその気配はある。レアルとシモンはルーベ在籍時にリーグ優勝を経験しており、それに主力選手たちは代表でも大きなタイトルを手にした面々ばかり、と勝つために何が必要かを肌身で知っている。
駒をそろえたからといって勝てるほど甘くはない。けれども、補強リストにつけたチェックは十分過ぎるほど。本気のバックアップを受けたピアチェンツァにとっては、ここからが正念場といえるだろう。
<先週の第18節(後半第7節/現地2月5日)、ペルージャ戦から戦列に復帰したルカレリ>
<文/坂口功将(編集部)>
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