今年1月の春高を欠場し、大会3連覇を逃した就実高(岡山)が、3月12日(日)に金蘭会高(大阪)とエキシビションマッチを行う。このエキシビションマッチはグリーンアリーナ神戸(兵庫県神戸市)で開催されるV1女子・久光スプリングス対埼玉上尾メディックスの試合前に行われ、当日のチケットがあれば観戦可能。無念の欠場となり、その胸の内を明かした西畑美希監督による月刊バレーボール2023年2月号のインタビューをお届けする
----以下、月刊バレーボール2023年2月号より----
今回の春高は、全チームを対象に行われた抗原検査で陽性者が認められた静岡県富士見高(静岡女子)と就実高(岡山女子)、チーム内でインフルエンザが蔓延した都城工高(宮崎男子)と近江兄弟社高(滋賀女子)が欠場した。戦わずして3連覇を逃した就実高の西畑美希監督が、その思いを語った
前回大会で連覇を飾った就実高。今季は1、2年生中心のチームになった時期もあったが、最後の戦いに向け、#3岩本沙希ら3年生がチームを引っ張っていた
1月3日(火)に行われた全チーム対象の抗原検査で2名が再検査の対象となった。そして試合当日の再検査では、1名が「陽性」となったため、大会規定により棄権した。そのあと、同校が3時間以内に行ったPCR検査の結果では陰性だったという
3連覇が懸かっていたとかは、どうでもいいんです。選手に試合をさせてやりたかった。これまで練習してきたことを発揮する場所をつくってあげたかった。ただ、それだけです。大会に出る以上、もちろん抗原検査をルールとして受け入れています。ですが、(再検査時の)検査方法に違和感がありました。ほかのチームとは違うのでは? と思われるような状況が見受けられ、それで「陽性」だと言われて。きちっとしたかたちでやっていただいていたら納得しましたし、PCR検査を受けには行かなかったと思います。そのあとも検査しましたが、やはり陰性でしたし、みんな元気。検査をした人が悪い、とは言えませんが、もっと慎重にしてほしかった。やり方一つで、人生が変わるわけですから。
もう終わったことで、何を言ってもしかたがないことはわかっています。でも、もしかしたらまた同じような思いをするチームが出るかもしれません。今後バレーボール界の発展のために、この問題をきちっと議論してもらいたいです。バレーボール界は他競技よりも遅れている、という指摘があったことも聞きました。何かが変わるきっかけになってくれたら、報われる思いです。
3年生はこれまでさんざん「ダメだ」と言われてきた代でした。でも、最後の春高は今までのすべての思いをぶつけて、意地を出す大会になる。そう思ってたくさんコートに入れました。エースは1年生でしたが、そこに頼らず、3年生たち自身がボールを集めて、自分たちで点を決める練習もしてきました。日誌には「恩返しをしたかった」「自分たちのプレーを見てもらいたかった」と書いていて、ほんとうに無念。戻れるなら再検査の日に戻りたいです。
これでへこたれるチームではない
東京から帰って、広島(グリーンアリーナ)で久光とJTの試合があったので、みんなで見に行きました。久光には卒業生(石井優希、万代真奈美、深澤めぐみ)がいるので、その頑張りを見て、元気を取り戻そうという思いでした。深澤にそれを伝えたら、「今日は思いを込めて、一生懸命プレーします」と言ってくれて。その姿を見て、「元気を出さなきゃ」という気持ちになりました。 私たちはこんなことでへこたれて、ダメになるようなチームでも、人間でもありません。どこかにまだ悲しさはありますが、前を向かないといけません。
シード権もなくなって、来年度は0からのスタート。目の色を変えて、インターハイからガンガンいきます。どこのチームもできなかった経験を乗り越えるわけなので、強くなると信じて。2年分の思いをぶつけて、3年生の無念を晴らさないといけません。
ただ、今でもちょっと信じられません。次の春高まで、この1年間ずっとモヤモヤしているんだろうな、と思います。今年の春高は、終わっていないんですよ。
昨年の国体で、決勝進出を喜ぶ選手たち。インターハイは3回戦敗退に終わったが、シーズンを追うごとにチーム力はアップした
取材/田中風太
写真/中川和泉、山岡邦彦(NBP)
【エキシビションマッチ】
3月12日(日)10:15試合開始
就実高 vs. 金蘭会高
※同日13時から行われる久光スプリングス vs. 埼玉上尾メディックスの観戦チケットで観戦可。ファンクラブ会員優先入場9:30(ダイヤモンド会員より順次)、一般入場は9:45から
※プレミアム席以外の観客は2階指定されたエリアで観戦可能
※フジテレビNEXTで生放送
10:05〜 エキシビションマッチ 解説 :栗原恵
13:00〜 久光スプリングス vs. 埼玉上尾メディックス 解説 :新鍋理沙