中央大男子 “世界最高峰”に触れて/連載①藤原直也「ブロックのプレッシャーが最初は衝撃的だった」
- 大学生
- 2023.03.14
関東大学1部の中央大男子バレーボール部は今年1月下旬から4名の部員の海外派遣を実施。バレーボール部後援会によるプロジェクト「THE FUTURES」の支援によって、3年生の藤原直也を筆頭に、2年生の柿崎晃、澤田晶、山﨑真裕も“世界最高峰リーグ”イタリア・セリエAの各チームに練習生として参加した。選手登録はされず試合に出場することはないが、チームの活動に加わり、リーグのレギュラーシーズンが終了する3月中旬までを過ごす。およそ1ヵ月半にわたる活動の中で、彼らはどんなことを味わったのか。月バレ編集部取材記者が、現地で話を聞いた。《全4回》※学年は取材当時
藤原直也(ふじわら・なおや/中央大3年/身長190㎝/北嵯峨高〔京都〕出身/アウトサイドヒッター)
《インタビュー連載①》ヴェローナ:藤原直也
イタリア北部の中心都市ミラノから電車でおよそ1時間。ヴェローナ駅から2㎞ほどの場所に、セリエAを戦う「WithU Verona」(ヴェローナ)のホームアリーナ「Pala Agsm AIM」がある。アリーナ内の至るところには、チームが展開しているSDGs活動の一環「バレーボールシューズ リサイクルボックス」が置かれている。
取材に足を運んだ平日の午前中はチームが練習を行っていた。その中に藤原直也がいた。チームメートのマキシム・サポズコフ(ロシア)、今季リーグ最長身220㎝の巨人がときおり身長差30㎝近くの藤原の頭をポンポンと“いじる”。藤原の顔から笑みがこぼれた。
ホームアリーナ「Pala Agsm AIM」でのヴェローナの練習風景
――さすがに、かなりの身長差がありますね
藤原 身長差を使って、けっこう遊ばれるというか(笑) それもあって、サポズコフとは仲がよくなりました。
――チームに合流して、誰から仲よくなったのですか?
藤原 ミドルブロッカーのレアンドロ・モスカ(イタリア)は、ミラノで石川祐希選手と、また以前に都築仁さん(中央大卒/現・ジェイテクトSTINGS)が派遣された際も同じチームだったようで、一緒にごはんに連れていってもらったり、車を出してもらったりしました。
――チームの印象はいかがでしたか?
藤原 ヴェローナは若い選手が多くて、特にアウトサイドヒッター陣、ノーモリ―・ケイタ(マリ)、ロク・モジッチ(スロベニア)、ジュリオ・マガリーニ(イタリア)は同年代です。いい意味で、“大学生のバレーボール”のような印象ですが、彼らがトップのレベルでプレーしていることは刺激になります。
――若いチームならではのよさとは?
藤原 先週(2月19日)にホームでモデナに勝利した(3-2)のですが、その試合では一体感がすごくありました。試合中もみんなでしゃべりながら、自分たちで盛り上げて、戦っていく。中には淡々と戦うトップチームもいると思うのですが、1点を全員で喜ぶのがヴェローナの持ち味だと感じましたし、そうした学生バレーのような雰囲気が、自分にとってもやりやすいです。
隣は若きエース、モジッチ。将来が有望視される逸材だ
――あらためて今回、海外派遣メンバーに選ばれた際の気持ちを聞かせてください
藤原 いちばん初めは、楽しみでした。世界トップレベルの環境でバレーボールができるのは自分にとって大きな経験になるので。今の自分がトッププレーヤーに対して、どれほどできるのか、を試したいと考えていました。
――実際に来てみて
藤原 合流した当初はチームのオポジットがケガをしていたようで、練習で自分はそのポジションに入ることがありました。その選手が復帰してからは、練習時の6対6にそれほど多く入れてはいません。ですが、何よりも初めはブロックのプレッシャーに衝撃を覚えました。
――コート内でのコミュニケーションは?
藤原 英語です。バレーボールの単語自体は英語でニュアンスは伝わるので。何とか伝わっているし、聞き取れています。
異国の地で、ハイレベルなバレーボールを味わう。刺激にあふれた
――今回、セリエAを肌で感じてみて
藤原 まず試合や会場の雰囲気がまるで日本と違いました。純粋にここでプレーしている同年代の選手がうらやましいと思いましたし、ここに自分が立ったらどうなるんだるう、とも。イタリアに来てから、あらためて“トップレベルでプレーしたい”という思いを認識しましたし、それが日本なのか海外なのかはわからないですが、しっかりと上のレベルを目指してやっていきたい。それにモジッチといった同年代の選手がこれだけ戦っているので、負けていられない思いはあります。
――帰国すれば、この4月からは大学生活最後の1年が始まります。意気込みを
藤原 自分が目にしたトップ選手の姿勢や、ここで経験したことを、しっかりとチームに還元したいです。自分のチームでは、昨年の全日本インカレで悔しい結果に終わったので、勝ちきれるチームをつくっていきたい。自分はどちらかといえば、発言するタイプではないので、プレーでチームを盛り上げられる選手になりたいと思います。
同年代が世界トップレベルの舞台で戦っている。次は自分の番だ
(取材・写真/坂口功将〔編集部〕)
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