高校生で日本代表に選出。アテネ、北京オリンピックではエースとしてチームに貢献し、2019年までVリーグ選手として長く活躍をされたデサントアドバイザリースタッフの栗原恵さん。華々しい現役生活の中では、女性アスリート特有のことで悩んだ経験も。今回は、そんな女性プレーヤーの悩みを解消してくれるアイテム「2in1 VOLLEYBALL  PANTS」について、開発に携わったデサントジャパン(株)デサントマーケティング２部チームスポーツマーケティング課の三好さくらさんと対談していただいた。

機能性はもちろん、女子アスリートにとってはシルエットも重要

――バレーボールのウェア、パンツについて、栗原さんは現役時代、どのようなものを着用されてきましたか？

栗原　中学生のころ、練習時はブルマをはいていました。体育の授業はショートパンツで、バレーボール部のユニフォームもショートパンツでしたが、練習中はブルマでなければ「気合いが入っていない」と言われる世代でしたので。練習着やショーツが下から出てしまうこともあるので、かなり気を遣っていました。高校に入るころは、ショートパンツが主流になりましたが、床に滑ると太ももが摩擦でこすれてしまうので、私は左側だけウールサポーターを履いていました。今は丈や素材も選ぶことができるので、うらやましいですね。

三好　練習用でご提供しているものにも、さまざまな丈の長さがあります。摩擦軽減に着目する点は盲点だったので、今後商品を開発するうえで参考になりますね。ありがとうございます。

栗原　機能性はもちろんですが、女子アスリートにとってはデザインも重要で、私は黒のウールサポーターを着用していたのですが、それには白よりも黒のほうが、脚がきれいに見えるからという理由もありました。他競技を見ても、サッカー選手はとてもスタイリッシュでカッコよく見えます。子どもたちがその姿やウェアを見て「私もああいうウェアでやってみたい」と思うきっかけになりますよね。バレーボールのウェアも、よりスタイリッシュになれば「バレー選手ってこんなにカッコいいんだ」と思って、競技を選ぶきっかけにもなるのではないでしょうか。

インナー付きバレーボールパンツ ”2in1 VOLLEYBALL PANTS ”

女性特有の問題でストレスを感じ、プレーに集中できないことも

――バレーボールのウェアは他競技と比べて、身体のラインに沿ったタイトなデザインが多いですね。現役時代に悩んでいたことはありますか？

栗原　動きやすいという利点がある一方、インナーショーツのラインが出てしまうこともありますし、女性の場合は月経もあります。選手はどんな状況でも一生懸命プレーするだけなのですが、悪質な撮影をされることもあって、レシーブで大きく脚を開く時に変な写真を撮られてしまったらどうしよう、と考えてしまうこと自体もストレスでした。

三好　私もスポーツの経験があるのですが、栗原さんがおっしゃる通り、女性特有の問題でプレーに集中できないというのがいちばんよくありません。大好きな競技が、余分なストレスによって妨げられてしまうのならば、不安材料は取り除きたいですし、その上で、できるだけ競技を続けて欲しいと思います。課題解決のきっかけになれば、というのは商品開発の際も大きなテーマでした。下着のラインが気になる競技者が非常に多いという現状をかんがみて、バレーボールパンツ２in1 VOLLEYBALL PANTS にはパンツ自体にインナーがついています。下着を見せないように、パンツもインナーもとなれば費用面の負担はかかりますが、２つを一緒にしてしまえば軽減できます。肌当たりの面でも改良を重ね、女性アスリートが抱えるストレスを少しでも軽減できればと考えて、開発に至りました。

インナー付きバレーボールパンツ ”2in1 VOLLEYBALL PANTS ”

女性選手に対して優しいポイントが多いアイテム

――今回発売された「2in1 VOLLEYBALL PANTS」について

栗原　ありそうでなかった、選手の立場としてはとてもありがたい商品です。何より選手たちが純粋にバレーボールを楽しんでほしいという思いが伝わりますので、素晴らしいですよね。

三好　ありがとうございます。インナーの肌触りもポイントと考えて、縫い目が肌に当たらないよう、外に出しています。また、股部分の負担をかかりづらくするため、切替も採用しています。

栗原　女性に対して優しいポイントが多いですよね。秋冬モデルに関しては、女性にとっての課題を解決するため、さらに機能をプラスしたアイテムも展開予定と伺っています。何よりウェアをつくってくださる方がここまで選手のことを考えてくれているんだよ、というのがうれしいです。

三好　最近は特にショートソックスとショートパンツの組み合わせが多いので、肌の露出が増えています。メーカーとして何かできないかと考えるなか、栗原さんと女性どうしの視点でお話できるのもとてもありがたいです。

栗原　広い世代に響いてほしいですね。三好さんの思いをタグにして縫い付けてもいいかもしれません（笑）　パッと見るだけでは普通のパンツなのに、実はインナーもついていて、優しい心配りもある。選手の身体や心も守られる商品で、プレーもどんどん攻めに転ずることができるはずです。

三好　ゆったりしているけれどインナーがついているので、ボディーラインも気にせずプレーしていただきたいです。大好きなスポーツ、バレーボールに一生懸命取り組んで楽しんでプレーをしてほしいというのが何よりの願いですので、少しでも不安要素を取り除いて選手の方々の力になれたらうれしいです。これからも栗原さんにさまざまな面でアドバイスをいただきながら、よりよい商品をご提供できればと思います。

栗原　とても素敵なお言葉をありがとうございます。好きでやっているバレーボールなのに、試合で勝たないといけない、練習もしんどい、と選手にはたくさんのストレスがかかっています。実際、私も学生時代はそんな経験をしてきたので、これからの世代に同じ思いは味わってほしくないですし、余計なことを考えずプレーに集中して、没頭してほしい。私の経験が少しでもプラスになるならいくらでも還元したいですし、選手だけでなく指導者の方々にも選手の身体を理解していただきたい。この商品を通して、子どもたちの未来が少しだけ変わるようなきっかけになれればと思うので、微力ですが一緒に魅力を伝えていきたいですね。

インナー付きバレーボールパンツ ”2in1 VOLLEYBALL PANTS ”

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