豪華な顔ぶれなのに勝てなかったピアチェンツァ。ボッティ監督がコッパイタリア制覇後に語った優勝の鍵とは
- コラム
- 2023.03.25
イタリア・セリエAの2022/23シーズンはプレーオフに突入し、石川祐希のミラノを含め、レギュラーシーズンの上位8チームがスクデット(リーグタイトル)を懸けて、敗退すれば終わりのトーナメントを争っている。中でも今年2月にコッパイタリア(カップ戦)で初優勝を遂げたピアチェンツァは、今季2冠を目指す。
<チーム発足5季目でコッパイタリアを制したピアチェンツァ>
〔写真50点〕ピアチェンツァ、歓喜の初タイトル!! 月バレ編集部が現地で近接激写
ケガ人続出や指揮官の交代も
英語の「healthy」(ヘルシー)。肉体的に健康で、精神的に健全な、といった具合に“良好”であることを指す単語だ。アスリートにとって、心身ともにヘルシーであることは、パフォーマンスを発揮するうえで必要不可欠といえるだろう。もちろん、それはチームとしても同じだ。
振り返れば、今季のピアチェンツァは十分な戦力がそろったにも関わらず、「unhealthy」(アンヘルシー)だった。始まりは昨年8月の世界選手権だったか。今季チームに加わったアウトサイドヒッター、リカルド・ソウザ(ルカレリ/ブラジル)がそこで負傷し、リーグ開幕に間に合わず。チームは連敗でシーズンをスタートさせている。また、2022年内のレギュラーシーズンを終えた時点で7勝6敗と勝ち越したものの、ロレンツォ・ベルナルディ監督が退任。リリースでは「両者合意のもと」と表記されたものの、シーズン中に監督が交代する事実は健全とは言えまい。
拍車をかけたのが選手たちのケガで、12月中旬にはルカレリが右手中指を負傷。対角のイオアンディ・レアル(ブラジル)も肩の状態が芳しくなく、年末から1月中旬にかけては欠場を余儀なくされた。スクデット獲得の重要ピースでもあった、ブラジル代表の両エースが離脱したことは痛手だった。
<(左から)レアル、ルカレリ、ロベルランディ・シモン(キューバ)、ユーリ・ロマノ(イタリア)ら今季チームに加わった面々>
チーム発足時から携わる“新”指揮官
そんなチームの采配を年明けから託されたのが、マッシモ・ボッティ氏だ。ピアチェンツァが発足した18/19シーズン初年度に監督を務め、その年にセリエA2(2部)のコッパイタリア制覇。チームに初タイトルをもたらすと同時に、プレーオフを制してスーペルリーガ(1部)昇格に導く。以降も、アシスタントコーチとしてチームを支え、ベルナルディ監督退任に伴い、今回お鉢が回ってきた。監督として初采配を振った第14節(後半第3節)ではトレンティーノに勝利し、「困難な状況でも力を出しきってみせた、この並外れたメンバーたちのおかげです」と喜んでいる。
言うならば、ボッティ監督はピアチェンツァの浮き沈みをコートサイドという最も近い場所から見つめてきた人間だ。だからこそ、栄冠の祝杯は格別だったことだろう。
今年2月25日と26日にローマで行われたコッパイタリアのファイナル4。古代円形闘技場コロッセオさながらのアリーナ「パラロットマティカ」で、ピアチェンツァは完璧な戦いを演じてみせた。準決勝では、それまで無敗だったペルージャをストレートで撃破。続くトレンティーノとの決勝は圧巻だった。
<ピアチェンツァを長年ベンチで支えてきたボッティ監督>
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