1月の春高で誠英高(山口)を準優勝に導いた3年生のスタメン5人による高校ラストインタビューをお届け。全2回の前編は、その春高について。大会前にはアクシデントがありながら、初戦から実力を発揮した【後編はこちら】
(1列目左から)岩城、平家、北窓(2列目左から)田川、吉村
――誠英高での3年間を終え、どんな思いが強いですか?
北窓 練習が結構つらくて、やっと終わるのか、という開放感はあります(笑) でも、誠英の練習はやらされるのではなくて、選手同士の協力的競争で高めていくので、充実感のほうが勝っています。
岩城 今、北窓が言ったように「やっと終わった」という思いも、「終わっちゃうのか」という思いもあります。
吉村 2人も言ったように、ほんとうに3年間きつかったです。でも、最後に春高で準優勝という結果で終わることができてよかったです。
平家 1年生のころは大会がなかったことが多くて、ほんとうに練習ばかりしていました。これから大会はあるのかなという気持ちが大きかったですが、最後に有観客開催で試合ができたし、やってきてよかったと思いました。
田川 みんなが言ったように、つらかったことは多かったけど、それ以上にやりがいもあり、メンバーもよくて、3年間やってよかったと思います。
――春高では結果を残しましたが、大会に臨む前の自信はいかがでしたか?
北窓 大会前の練習試合ではずっと勝っていて、チームとして自信はありました。でも、昨年末にほぼ全員がインフルエンザにかかってしまって。隔離になり、回復してからも個人練習をしていたので、顔を合わせる機会もありませんでした。全員がそろっての練習は(大会前日の)1月3日にしました。
岩城 12月に入ってからの合宿ではチームワークがよく、いいかたちで春高までいけていました。でも、大会まであと少しのところでインフルエンザにかかってしまって、不安は大きかったし、ほんとうに大丈夫かなと思いました。
平家 食事をまともに取れていない子もいたので、その部分でも心配が大きかったです。ほんとうに春高でプレーできるのかな、という思いはありました。
吉村 全然跳べていなかったり、少し動いただけで息切れする子もいたので、トスを上げていて大丈夫かなと思いました。
北窓 でも試合になると、きついよりは、楽しさが勝っていました。鼻づまりなどはあっても、体力面でのきつさはあまり感じなかったです。
平家 春高の舞台でやっとみんながそろうことができたのと、どんどん勝つことができて、両方でうれしい気持ちがありました。
田川 試合を重ねるたびに、だんだんいつものチームワークを取り戻していけてよかったと思います。
――決勝に至るまで、波に乗れたと感じる試合はありましたか?
北窓 練習したブロックがはまったり、サーブも決められたり。インフルエンザにかかる前の攻撃力もあまり落ちていなくて、初戦(対首里〔沖縄〕)で波に乗ることができたと思います。
岩城 初戦は緊張したり、崩れることが多いです。でも、自分たちは春高を経験した人が多かったこともあり、いつもどおりというか、インフルエンザ前のいい状態のまま迎えられたのは大きかったです。
勢いに乗った初戦の首里戦
【次ページ】準決勝、決勝について
――その後失セット0で勝ち上がり、準決勝の金蘭会高(大阪)戦へ。センターコートの緊張はありませんでしたか?
北窓 1セット目は緊張して、簡単に落としてしまって(笑) 自分も含めて初戦のような柔らかさが全然なかったので、ちょっとやばいかなと思いました。でも、2セット目以降は慣れてきたり、タイムアウトで目を合わせて話すことを意識したこともあり、勝てたと思います。
岩城 1セット目は「やっぱり(金蘭会高は)強い」という思いがありましたが、2、3セット目で相手に対応することができたので、自信につながったと思います。
吉村 みんなほんとうに集中していて、なかなかボールも落ちなかったし、自分たちらしい“泥んこバレー”ができたと思います。
これはいつもどおりですが、その試合でもしっかり決めてくれたので、とても安心してトスを上げることができました。
――皆さん緊張があったようですが、いちばん緊張していたのはどなたでしたか?
5人 (2年生の上村)日菜?(笑)
岩城 いつも決まっているコースに全然決まらないこともあったけど、日菜らしさもあったので、みんなでほぐしつつ、笑わせながらプレーしていました。
田川 自分の対角で、日菜のスパイクはほんとうにパワーがすごい。でも、試合ではちょっとカチカチだったから、それにのまれないようにしました(笑)
北窓 スパイクを吹かしたミスにはみんなで笑っていて。試合中なのに、そこもよかったと思います。
緊張がありながらも、楽しんだ準決勝
――決勝は古川学園高(宮城)にフルセットで惜しくも敗れ、準優勝。ただ、スパイク決定率、サーブレシーブ成功率ともに北窓選手の活躍が光りました
北窓 自分でも調子がよかったと思います。練習試合では日菜のほうがよくスパイクを決めていて、どちらかと言うと、そんなに決まるほうではなかったんです。でも、(昨年の第14回アジアU18〔ユース〕女子選手権大会で)海外遠征を経験したからか、結構冷静にプレーすることができました。
平家 自分が決まらなくても、北窓にトスが上がったら決めてくれるという思いがありました。サーブレシーブを免除されることが多かったのは、北窓の守備範囲の広さがあったからなので。もう、ありがとうって感じです(笑)
田川 レシーブにしても、スパイクにしても、全体的にチームを引っ張ってくれて。すごく安心感があって、頼りがいがありました。
吉村 みんなも言っていたけど、レシーブもできるし、しっかり決めてくれるので、中心選手としてさすがだな、と思っていました。
北窓 ふだんはあんまりほめてくれないのに(笑)
4人 はははは!
北窓 照れますね。結構自分が周りをほめちゃうタイプなので(笑) 調子に乗らせるのが上手というか。
4人 いや、ほめてもらったことはないけど…。
北窓 ほめていますよ! 日菜はこう言ったら乗ってくれるな、とかわかります。田川も結構わかりやすくて。
平家 両レフト、単純(笑)
北窓 田川はとにかくオーバー気味にほめると、調子に乗ってくれる選手です。春高ではいいスパイクというより、「たまたま決まっちゃった!」というスパイクに対しても「ナイススパイク!」と言うと、「やっぱり?」みたいな反応をしていました(笑)
田川 乗っちゃいますね(笑)
――では、北窓選手はほめ上手なんですね
田川 いや…。
北窓 なんでやねん!
岩城 自分で言っちゃうタイプだからね(笑)
北窓 誰もほめてくれないので、自分で「ナイススパイク!」って盛り上げたり。もっとほめてほしかった(笑)
4人 すごい、頑張った!(全員で拍手)
決勝はチームトップの26得点、サーブレシーブ成功率67%(56本受)とチームを引っ張った北窓
田川楓夏
たがわ・ふうか/3年/身長170㎝/最高到達点287㎝/麻里布中(山口)出身/アウトサイドヒッター
吉村美乃里
よしむら・みのり/3年/身長171㎝/最高到達点290㎝/厚狭中(山口)出身/セッター
平家愛梨
へいけ・えな/3年/身長173㎝/最高到達点290㎝/伊方中(愛媛)出身/オポジット
北窓絢音
きたまど・あやね/3年/身長182㎝/最高到達点300㎝/松江三中(島根)出身/ミドルブロッカー、オポジット/久光スプリングス内定
岩城遥南
いわき・はるな/3年/身長172㎝/最高到達点290㎝/博多女中(福岡)出身/ミドルブロッカー
取材/田中風太
写真/石塚康隆(NBP)、魚住貴弘
後編はこちら
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