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春高2025

オポジットのザイツェフがサーブレシーブ。スター選手の献身が窮地の昨季王者ルーベを救うか

  • コラム
  • 2023.04.06

<キャリアも晩年に差し掛かり、⑨ザイツェフのプレーには円熟味が増している>

 

「もっとできるし、もっとやらなければ」とザイツェフ

 

 世界で指折りのオポジットであり、抜群のアタック力を備えるザイツェフ。だが、純粋な大砲としてだけではない姿が今、コート上で見られる。自身も、その役割にしっかりと向き合っている。

 

「レシーバーの役割を託され、それは難しいものでしたが、やりがいがありました。私自身はもっとできますし、もっとやらなければと考えています」

 

 プレーオフに入ってから、ましてや崖っぷちの状態から繰り出す“奥の手”になるとは、チームも想定していなかっただろうし、それがジャンロレンツォ・ブレンジーニ監督の頭にあったかは聞いてみないことにはわからない。

 

 けれども振り返れば、今季の開幕当初、ザイツェフはアウトサイドヒッターとして起用されていた。そこでのサーブレシーブ返球率も、第1戦は50%(18本中)、第2戦は58%(33本中)とまずまずだったが、あくまでもチームの台所事情を踏まえた応急措置的な意味合いが大きかった。以降は本来のオポジットに戻り、ガビ・ガルシア(アメリカ)と併用される中、試合でもサーブレシーブの受け数は一桁だった。

 

<イタリア代表の新時代エース、アレッサンドロ・ミキエレット(コート奥/トレンティーノ所属)らの台頭も見られるが、ザイツェフの存在感は揺るがない>

 

 それが、今ではチームを救う“神の手”になっているのだ。イタリア代表でも正リベロを務めるバラーゾは第3戦を終えて、このように語った。

 

「ニコロフの負担を減らすことで、相手の意表をつくことができました。ザイツェフは経験とテクニックを備えており、チームに安定感をもたらします。ファンダメンタル(基礎)に秀でているのはもちろんのこと、お手本のようなアスリートです」

 

 今季のルーベは、19歳のニコロフや21歳のマーロン・ヤント(キューバ)、23歳のマッティア・ボットロ(イタリア)を積極的に起用するなど世代交代に踏み切った。そこには痛みが伴い、レギュラーシーズンでは最大4連敗と苦しい時期もあった。それでもプレーオフを戦う以上は、ここで負けるわけにはいかない。なぜなら、「私たちはルーベだから」(スーペルコッパ決勝で敗れたあとのボットロのコメント)だ。

 

 そんな若獅子たちに、百獣の王が未来を託す。ザイツェフのサーブレシーブに、そんな絵が浮かぶのである。

<世代を超えて、チームを“あるべき場所”へと押し上げるザイツェフとニコロフ>

 

(文/坂口功将〔編集部〕)

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