早稲田大の入学式が4月1日(土)に行われ、男子バレーボール部に日本代表の麻野堅斗が入部した。4年間の目標、そして日の丸への思いに迫る
決め手はレベルの高い環境
コロナ禍の規制が緩和され、キャンパスには活気が戻っていた。入学式、そしてサークルの勧誘で人がごった返すなか、身長207㎝の大きな体はひときわ存在感を放つ。真新しいネイビーのスーツ姿に身を包んだ麻野は「式典の大きさに驚きました。ただ、ちょっと(キャンパス内の)人が多くて無理ですね」と笑った。
東山高時代は松永理生監督のもとでプレーの引き出しを増やし、3年生時には高校生で唯一の日本代表入り。次の挑戦への決め手となったのは、自分を高められる環境だった。
「練習の雰囲気がすごく自分に合っていると思いました。また、レベルの高い選手がたくさんいるので、そういうところでもまれたほうが成長できると思って選びました」
水町泰杜や山田大貴、荒尾怜音と2月下旬の男子日本代表候補若手有望選手合宿でともにプレーした4年生が在籍。実力者がそろう上級生はもちろん、高校時代にしのぎを削ったライバルたちも、麻野を刺激する。
「佐藤(遥斗)は僕と同じくコートに入っていて、すごくうまいと思います。高校(駿台学園高〔東京〕)のときはやっかいな選手でしたが、同じチームに入って心強いです。安食(浩士)も高校(東北高〔宮城〕)時代は嫌な相手だったので、そういう選手たちが同じチームになったと思うと、すごくうれしいです」
3月18日にチームに合流すると、22日からはいきなり遠征へ。そこでの練習試合で早速コートに立った。セッターの前田凌吾とトスを合わせる時間はほとんどなく、「練習ができていなかったので、まだまだトスが合っていません。高校のときのように自分も攻撃に絡んで、得点を取っていけるようにしたいです」と課題を口にした。
それでも、「荒尾さんや山田さんがコートにいるので、すごくやりやすいです。まったく緊張せずにゲームに入れました」と語っており、すぐにチームにフィットしていきそうだ。
日本代表への思いが変化した1年
人生が大きく動いた春から、間もなく1年が経つ。
「リオさん(東山高・松永理生監督)に『日本代表に入っているぞ』と言われて。『え、そうなんですか!?』って。アンダーエイジカテゴリーなのかな、と思ったというか、ほんとうなのかなって思いました」
当時は現実味がなかったが、心構えは大きく変わった。この1年間で「いちばん大きな経験になった」と語るのが、今年2月にフランスで行われた男子日本代表候補若手有望選手合宿。フランス代表のミドルブロッカー、ニコラ・ルゴフと対峙し、世界最高峰の選手のプレーを目の当たりにしたことで、日の丸への思いはより強くなった。
「大学2年生のときにパリオリンピックがありますが、まずは今年のシニアのメンバーに選ばれたいです。今年は身構えているというか、しっかりと選ばれて、またレベルの高い環境でバレーしたいですね」
ただ、麻野のかなえたい目標はそれだけではない。4月8日(土)に開幕する春季リーグ戦から、早稲田大での戦いに挑む。
「まずは春季リーグで優勝すること。今年はチームとして全勝を掲げているので、それができるようにしたいです。そして、最後は全日本インカレにつなげられるようにしたいです」
胸いっぱいの希望とともに、4年間が幕を開けた。
文・写真/田中風太(編集部)
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