過去には全米1位に輝いた実績があるアメリカ・サンディエゴの女子クラブチームCoast VolleyballのU17、U18チームが4月上旬から中旬にかけて来日。駿台学園高、文京学院大女高、藤村女高(以上、東京)、千里金蘭大と練習や練習試合を行った。12日(水)にはU17チームが駿台学園高と対戦し、8日間の旅を締めくくった
日本ならではの練習にも積極的に参加
コロナ禍以前は行われていたアメリカチームと日本の高校生、大学生の交流が、3年ぶりに実現した。今回、初来日したCoastのトリプレット・マディソンキャプテンは「全体を通してすごく楽しい時間でした。最終日にほんとうに素晴らしいチームと対戦することができて、いちばん楽しい経験になりました」と晴れやかに語った。
Coastからのリクエストで、最終日は駿台学園高と同じ練習に参加。同高の選手たちは身振り手振りを交えながらメニューを共有した。エースの山内志織(2年)は「ジェスチャーで伝えるのがすごく難しかった」と言いながらも、「フレンドリーで話しかけやすかったです」とすぐに打ち解けた様子。マディソンキャプテンも「歓迎ムードを感じ、それが心地よくてプレーがしやすかった」と言うように、互いに声を掛け合い、和やかなムードで体を動かした。
特に熱気に包まれたのは、“スリーメン”など、日本ならではの守備練習。マディソンキャプテンは「アメリカのディフェンスとやり方が違って、とてもレベルが高かったです。ほんとうに動きが速く、全然ボールを落とさないと感じました」と驚きの表情。ボールがつながると全身で喜びを表現し、ハイタッチで感情を共有した。
3セットの練習試合で互いに収穫
そして、その締めくくりには練習試合が行われた。試合前のあいさつでは笑顔でネット越しに手を振り合ったが、笛が鳴るとガチンコモード。第1セットはCoastの高さに苦しんだ駿台学園高は、山内のサーブから中盤に5連続得点で追い上げる。そのエースのスパイクで終盤に逆転してセットを奪うと、競り合った第2セットもサーブから主導権を握り、都新人大会3位の実力を見せつけた。
同大会では、下北沢成徳高をはじめ、身長180㎝超えのブロッカーと対峙した山内は「(下北沢成徳高よりブロックが)全然高いと思います」と苦笑い。連続でワンタッチを取られるシーンもあったものの、「ネットにトスが近くなるときに、ブロックにスパイクを当てて、そこからもう一回攻めたり。後半になるにつれて修正することができたと思います」と手応えをつかんだ。
2セットを続けて落としたCoastだったが、第3セットに反撃。メンバーをガラリと入れ替えた駿台学園高に対し、パワフルなスパイクやブロックを連発するなど、持ち味の高さを生かしてセットを奪った。
チーム内では小柄なマディソンキャプテンは「自分は身長が高い方ではないので、日本のやり方が合っているんじゃないかと思いました。ブロックの間を通して点を取ったり、得点を取るスキルはもっと学ばないと」と収穫を得た。そして、プレーだけでなく「日本チームの楽しくプレーする姿が印象的でした」と笑顔を見せた。
試合後にはプレゼント交換を行い、選手たちは力強く抱擁を交わした。バレーボールだけではなく、東京や京都での観光も楽しんだ8日間を終え、マディソンキャプテンは感謝を口にした。
「日本に来て感じたのは、バレーボールに関係なく、日本の人はすごく優しくしてくれるということ。知らない人たちにも親切にする心はとても勉強になったので、今後できるようになっていきたいです。
バレーボールでは、日本の選手はすごくハードに練習していることを目の当たりにしたので、私たちもそれくらい練習できるように頑張りたいです」
「将来、もっと上のレベルで活躍したい。世界と戦うときにも生かせると思いますし、すごくいい経験になりました」と語る山内のように、これから高いステージを目指す選手もいる。マディソンキャプテンは「今回試合をしたチームの皆さんはほんとうに素晴らしかった。いつか帰ってきて、また試合をできたらと思います」と笑顔で語った。一度交った物語は、これからもきっと続いていく。
文・写真/田中風太
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