令和4(2022)年度第27回冬季都立大会高等学校男子選手権大会決勝が2月19日(日)に府中西高(東京)で行われた。昨年8月の夏季大会に続き、3年ぶりの開催となった今大会。参加95校のうち5校が棄権となったが、3日間に渡り熱戦が繰り広げられた
Bクイックを軸に決勝は足立新田高がストレート勝ち
足立新田高の連覇か、深沢高の雪辱か。決勝は6大会連続で同じカードとなった。
第1セット、深沢高は山木真吾の連続得点や足立新田高のエース齊藤樹を止めるなどで3点をリードする幸先のよいスタート。しかし、足立新田高は近野日々希のBクイックを機に、5連続得点で試合を一気にひっくり返す。
その後、深沢高は随所でブロックを決めるもなかなか攻撃が決まらず。ミスなども出て徐々に差を広げられると、再び近野に連続でBクイックを決められるなど、防戦一方に。終盤には新井達也が気を吐いたが、岩野竜也にブロックされると、続くスパイクを吹かしてしまい、万事休す。最後まで足立新田高のアタッカー陣にほんろうされてしまった。
第2セットは深沢高が岩野のBクイックに対応し、修正したかに見えた。しかし、そこで足立新田高のセッター秋山諒が強気のトス回し。岩野にもう一度Bクイックを打たせてポイントを奪うと、その後は相手に的を絞らせず、この試合では初めて見せた野島涼太郎の時間差攻撃で10点目を奪った。中盤以降、齊藤がスパイク、ジャンプサーブで得点を重ね、このセットだけで9得点の活躍。最後はリリーフサーバーの金海凛之介がジャンプサーブを決め、足立新田が夏・冬合わせて13回目の頂点に立った。
上野高と田無高がベスト4に
3年生も出場することができた夏季大会から代替わりし、ベスト8が3校入れ替わる中、ベスト4には夏は棄権を余儀なくされた上野高と、同好会から部に昇格して6年目を迎える田無高が入った。
上野高は夏、冬を合わせて過去に11大会連続で足立新田高と決勝を争ったこともあり、お互いを意識するライバル関係。そんな両者が準決勝で相まみえることとなり、注目が集まった。
準々決勝で小石川中等教育を圧倒した上野高は、原口翼、鈴木幸成、草薙羅文らアタッカー陣が自分たちの持ち味を存分に発揮し、第1セットを奪取した。だが、勝利が懸かった第2セット終盤、大事な場面でそのアタッカー陣が弱気になりセットを落とすと、第3セットは力負け。しかし、1年生が多いチームだけに、今後の成長が楽しみだ。
準決勝で深沢高に対峙したのは、今大会のシンデレラチームである田無高。一度は廃部となったが、9年前に同好会から新たに立ち上げたチームだ。再結成後、初めて大会3日目に駒を進めると、勢いそのままに準決勝まで駆け上がった。それまでは田﨑康太朗と大城太一がレフトからたたき込んで勝利を手にしてきたが、深沢高の守備には通じず、あえなく敗退した。
今回、ベスト4に駒を進めたなかで足立新田高、深沢高、上野高は都新人大会(決勝大会)でベスト16の結果を残しており、関東大会出場は射程圏内。この3校だけでなく、今大会を通じて切磋琢磨したチームが1校でも多く関東大会という檜舞台に立つことを願ってやまない。頑張れ、都立高校生‼
選手・監督コメント
最優秀選手賞
足立新田高
野島涼太郎(のじま・りょうたろう)
「(昨年の)夏季大会で優勝し、連覇が懸かった大会でした。新チームで練習できない時期や3年生が引退した不安もありましたが、優勝することができてよかったです。勝因は、サーブレシーブがしっかり返って自分たちの強みであるBクイックでサイドアウトが取れたことだと思います。今後は、関東大会出場を目標に、試合内容にこだわりながら、当たり前のことができるチームを目指して頑張りたいです」
優勝監督賞
足立新田高校
益永泰裕(ますなが・やすひろ)
「まずは、コロナ禍での開催に際し、会場校をはじめ役員の先生方に感謝申し上げます。修学旅行明けだったり、インフルエンザにかかってしまったり、コンディションが万全ではない中でも優勝することができてうれしく思います。
オフェンス面はだいぶ力がついてきましたが、1本目、2本目のプレーに課題があるので、関東大会都予選までに修正していきたいです。今後も都立高校の目標とされるよう精進してまいります。ありがとうございました」
優秀選手
深沢高
新井達也(あらい・たつや)
「足立新田高に決勝で負けてしまったので、次の夏はリベンジできるように頑張ります。準優勝できたのはエースを中心に盛り上げることができたからだと思います。今後は関東大会出場を目指して、ふだんの学校生活から応援してもらえるプレーヤーに成長し、バレーボールにも全力で励んでいきたいと思います」
田無高
田﨑康太朗(たさき・こうたろう)
「自分たちのプレーが高いレベルで通用することを知れたので、これを機にもっと成長したいです。次の大会でも2日目まで進み、そこでもまた勝ちたいです。次の代も頑張ってほしいです」
上野高
原口 翼(はらぐち・つばさ)
「1、2セット目は自分たちのバレーボールができていて、ものすごくいい流れでした。ただ、2セット目の終盤で僕たちの集中力が切れてしまって、流れが悪くなってしまいました。力不足が確認できた試合だったと思います。今後は2年連続の関東大会出場を目指し、頑張りたいです」
文・写真提供/都立高等学校選手権大会事務局
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