初の決勝進出なるか。石川祐希のミラノの快進撃を後押しする“地の利”
- コラム
- 2023.04.21
<トータルディフェンスでルーベをはね返すミラノ(手前)。実力は拮抗している>
ホームで行われた、ここまで3試合すべてフルセット勝ち
レギュラーシーズン8位のミラノにとって、プレーオフで戦う相手はいずれも順位を見れば格上の相手ばかり。それは準決勝ラウンドでも同じ。ここでの相手は昨季王者のルーベだ。第1戦(4月13日)は、準々決勝ラウンド最終戦から日も浅いこともあってか、ミラノの選手たちの動きもどこか鈍く。ストレート負けに終わっている。それでもSパオロ・ポッロ(イタリア)は「次はホーム。すぐに立ち直れるだろうから、そうしたい」と語った。プレーオフでペルージャから奪ったホームでの2つの勝ち星は、選手たちにとって心理的にも大きく働いていたのは確かである。
そして第2戦(同4月16日)、ミラノは準々決勝ラウンドをなぞるかのように、ここでもフルセットの勝利を収める。試合後、ピアッツァ監督は「5296人の観客(注:リーグ公式記録は5446人)がチームを応援し続けたことに感動しました」と語り、パトリも「満員の観客からのエネルギーも後押ししてくれた」と感謝した。
<ミラノの大黒柱、⑭石川はルーベとの第2戦でMVPに選ばれた>
初の決勝ラウンド進出へ王手。ホームアリーナでの第4戦へ
今やミラノは、プレーオフに進出した8チームにおけるアンダードッグ(最も力のないことのたとえ)ではない。「我々はルーベと同じレベルにある」(ピアッツァ監督)という言葉どおり、第3戦(同4月19日)ではアウェーのムードの中、ストレート勝ちを収めてみせた。そうして決勝進出に王手をかけた状況で第4戦(同4月22日)、ホームアリーナのコートに立つのである。
もっとも、「ホームアドバンテージがあるとは思わず、これまでやってきたことを胸に留めなければ」と指揮官は気を緩めない。ルーベとて、ヴェローナとの準々決勝ラウンドでは1勝2敗の崖っぷちから臨んだ敵地での第4戦でストレート勝ちを収め、やがて最終第5戦を制した経緯があるからだ。
とはいえ、今シーズンのミラノが「自分たちはこのクラブの歴史を刻んでいる」(準々決勝ラウンド最終戦を終えた石川のコメント〔原文はイタリア語〕)のはまぎれもない事実。第4戦で新たな歴史の1ページが刻まれたとき、アリアンツ・クラウドは“ディライツ・クラウド(delights cloud=歓喜の雲)”で満たされているに違いない。
<熱気うずまくアリアンツ・クラウド。新しい歴史は刻まれるか(写真は第2戦)>
(文/坂口功将〔編集部〕)
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