第71回黒鷲旗全日本男女選抜大会が5月1日(月)から丸善インテックアリーナ大阪(大阪府大阪市)にて開催されている。女子ではVリーグと大学生チームに加えて、高校生からは2チームが出場。金蘭会高(大阪)のエース上村杏菜は、前回大会で強烈なインパクトを残した
わずか7文字。その短い言葉が、試合直後の上村杏菜を再び興奮状態に戻した。控え室へ向かう通路で、聞きなじみのある声が鼓膜を揺らした。
「ナイススパイク」。
言葉の主は、清水邦広(パナソニック)だった。
「男子でいちばん最初に知った選手が清水さん。日本代表の試合を見て、めっちゃかっこいい、って思っていました。昨日(大会初日の5月1日)も会場で見かけたときに、『やばい! 清水さんふつうにおる!』って思っていて(笑) まさかそんなこと言われると思っていなかったから…」
男女ともに、Vリーグから高校生までのチームが一堂に会する黒鷲旗。雲の上の存在から思わぬ言葉を受け、「ほんまにやばい!」とトーンが上がった。
日本を代表するサウスポーの目に止まったのは、そのパワフルなスパイクだ。岡山シーガルズ戦では0-1で迎えた第2セット。24-24から上村の鈍い打球音がコートに響く。「『下がれ!』って自分に言い聞かせていました(笑)」とエンドライン付近まで下がる助走からボールに力を乗せ、連続得点。フルセットで敗れたものの、翌日のトヨタ車体クインシーズ戦でも連日のセット奪取に貢献した。
初舞台で鮮烈な印象を残し、「そこら中にすごい人もおるし、試合もめっちゃ楽しかったです!」と笑顔を見せつつも、決意も忘れなかった。「いい経験を積めたけど、高校生は2チーム(金蘭会高と就実高〔岡山〕)しか来られていないので。これをいい経験として、インターハイでは優勝したいです」。そしてその3ヵ月後、有言実行で頂点に立った。
黒鷲旗から始まった昨年度は、チーム最年少で出場した7月の第21回アジアU20(ジュニア)女子選手権大会でアジア一に。最優秀選手賞とベストアウトサイドヒッター賞に輝いた。しかし、インターハイ後は「日本一を取って、勝ち続けるのが強いチームやと思うんですけど、気持ちが緩んでしまって」と国体3位、春高ベスト4と日本一が遠かった。
1年生時からレギュラーを務め、いよいよラストイヤーを迎える。「今までは先輩に頼ることもありましたが、これからは頼られる側なので。1年生もコートに入ったら緊張もすると思うので、支えになってあげられたら」と頼もしい。会場中の視線を集め、再びシーズンの好スタートを切る大会にする。
【競技スケジュール】
会場:丸善インテックアリーナ大阪(大阪)
5月1日(月) グループ戦
5月2日(火) グループ戦
5月3日(水・祝) グループ戦
5月4日(木・祝) 準々決勝
5月5日(金・祝) 準決勝
5月6日(土) 決勝
文/田中風太
写真/山岡邦彦(NBP)、編集部
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