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「起爆剤になる」荒木彩花が日本代表デビュー戦で突き上げたこぶしに込めたチームプレーの精神

  • コラム
  • 2023.06.16

 

<久光でもコート上では目いっぱいにガッツポーズを繰り出す>

 

日本代表で「存在感をアピールしたい」

 

 ふだんから感情表現は激しめで、それ自体は所属する久光でも見られる姿だ。ただ、このときはいつも以上の爆発っぷりに映った。

「私も思いました(笑) 久光でも出していないようなガッツポーズだったな、という実感はあります」

 

 それほどまでに快心の一撃だったのだろう。荒木は明かす。

「(ガッツポーズは)自然と出ました。このチームで私が生き残るためには、とにかく自分の存在感をアピールしなければいけない、という気持ちでいます。そこでミドルブロッカーとして求められるのは、やはりブロックだと思うので。止めることができて、無意識に!! ああなっていました」

 

 憧れの日本代表でプレーするために。コートに立った以上は、そこに立ち続けたい。「選ばれたからには、試合に出て、少しでも世界の高さなどを実際の試合で味わって、経験値を稼げたらいいなと思っていました」が胸の内だ。

 一方で、ドミニカ共和国戦の第1セットのように、チームのためにできることを模索し続けながら、自身の強みを発揮している。アタックにブロック、そしてガッツポーズも。

 

 

<ドミニカ共和国戦の第1セット、天へこぶしを突き上げる荒木(コート手前左から2番目)>

 

仲間にも伝播した“いつもどおり”の姿

 

「私がああすることでチームの士気が上がるかな、と思い始めたのは22-23シーズンのVリーグからです。劣勢の場面で、こちらが得点してもいつもよりみんなの喜びが少ないなというときに起爆剤になるんだ、と。私のガッツポーズでみんなが乗りやすくなればいいなと考えるようになりました。なので、押されているときこそオーバーに、リアクションすることを心がけています」

 

 それは荒木なりのチームプレーでもあるのだ。実際、久光のチームメートであり、ドミニカ共和国戦で一緒に代表デビューを飾ったリベロの西村弥菜美も荒木の姿を見て、「いつもどおりのガッツポーズが出ていましたし、それで私もなんとなく“いつもどおり”になれたというか。落ち着けた部分はあったと思います」と語った。

 

 

<東九州龍谷高で2学年上の先輩だった西村(左)。後輩の成長を喜んだ>

 

 そもそも荒木は、いつも“ド”がつくほどに緊張するタイプだ。試合では真っ先にその強敵と戦うことになるが、それでも胸に留める思いは変わらない。

「まずは緊張しつつも、その日に自分ができるいちばんのプレーができたらいいなと思います。仮にプレーが相手にフィットできていなくても、ガッツポーズや声でチームに勢いをつけられるように。少しでも、みんなを笑顔にできたらいいなと思います」

 

 デビュー戦を振り返り、そう意気込んだ荒木。強く、頼もしく、そして同時に、コートインタビューで「楽しかった」と口にしたときのような笑顔を浮かべた。

 

 

<気持ちを前面に押し出してプレーする>

 

(文/坂口功将〔編集部〕 写真/石塚康隆〔NBP〕)

 

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