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あのヘイネン氏がおとなしい!? 男子監督経験者がドイツ女子を率いるうえでの心得。「男子はきつく言えば…」

  • コラム
  • 2023.06.19

 

<日本戦でチーム最多24得点をマークした⑫ハナ・オルトマンなどポテンシャルの高いアタッカーがそろう(写真は名古屋大会ブルガリア戦)>

 

「学べることはたくさん」とヘイネン監督

 

「それがとても興味深かったです」とヘイネン監督。就任当初は「コミュニケーションがすべて。男子で取り組んできたことを女子でも実践したい」と語っていたが、それではうまく運ばないことを学んだのが、1年目の昨シーズンだった。

 

 今年度の女子ドイツ代表キャプテンを務めるアナ・ポガニーは、指揮官の変化をこう受け止めている。

「彼が素晴らしいコーチであることは明らかです。ただ、最初は男女の違いにぶつかっていました。ですが、コーチとしてのスキルをさらに高めようとする彼の姿勢を感じますし、それ自体が私はとても大事なことだと思います。

 彼から指導を受けられてうれしいですし、一緒に高め合っていけると願っています」

 

 男子であろうと、女子であろうと、ヘイネン監督は指導者としてのパッションをチームにぶつける。学びや気づきが、それをさらに助長するのだろう。

「男女とも、完璧ではありませんから。男性は女性から、女性は男性から学べることはたくさんあります。もちろん、私自身も。私はStupidですから、ははは(笑)」

 

 

<指導論も語学も、常に勉強を怠らない>

 

選手たちには「苦しいときこそ冷静に」と伝えるが…

 

 じょう舌に、時折ジョークを交えながら。と同時に、こんな思いを明かした。

「コーチ業にやりがいを感じています。私はこれまで、どの国でも男子だけを指導していきました。日本はありませんね、誰も私にアプローチしてこない。願わくば、1年だけでも経験してみたいです。日本には素晴らしい指導者の文化がありますから」

 それは指導者として、まだまだ成長したいという純粋な願いの表れだろう。今、ヘイネン監督がおとなしく見えるのも、女子チームを率いるにあたって、必要なアップデートを自らに施したからである。キャプテンのポガニーは指揮官から授かった教えをこのように語る。

「『苦しい状況こそ冷静に』と。彼もそう心がけていますし、落ち着いて、ベストを尽くそうと私たちに話しています」

 

 

<女子ドイツ代表のキャプテンを務めるリベロのポガニー>

 

 とはいえ、64日のブルガリア戦では、こんな一幕が。チャレンジの判定結果に納得いかず、その直後のプレーで長いラリーを制すると、ヘイネン監督は審判に向かってガッツポーズを繰り出した。もちろん、イエローカードが提示される。

 試合後、「チャレンジの判定基準が、あまりにも不明瞭だったからね。競技の発展を望むのであれば、こんな競技運営では到底だめだ!!」とぶちまけたヘイネン監督。ただし、当のリアクションについては、にんまりと笑って、こう口にした。

I will fight for my team

 チームのために戦うのだ、と。

 どれだけおとなしくなっても、そう見えても。その芯にある情熱は、クレイジーなまでにホットなままだ。

 

 

<今年のネーションズリーグ白星発進を喜ぶ女子ドイツ代表>

 

(取材・文/坂口功将〔編集部〕 写真/石塚康隆〔NBP〕)

 

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