バレーボールの東京エキシビションマッチ2023が、7月8日（土）に墨田区総合体育館サブアリーナ（東京）で行われた。今年創設されたイベントで、東京を拠点とする中央大、明治大、駿台学園高の3チームが、カテゴリーの垣根を越えて激突。唯一連勝したのが、今年の春高王者である駿台学園高だった

明治大に勝利し、#3亀岡キャプテンを中心に、笑顔の選手たち

【写真】中央大、明治大、駿台学園高が激突！東京エキシビションマッチ2023フォトギャラリー（30枚）

挑戦者として臨みきめ細かなバレーを展開

　駿台学園高の選手たちが、心から勝利を喜ぶのはいつ以来だろうか。

　スパイクを打ちきり、亀岡聖成キャプテンが拳を握ると、仲間たちが一斉にベンチを飛び出した。初戦の中央大戦に続き、明治大戦もフルセットで勝利。「楽しいんですけど、プレッシャーというか。自分がしっかりしないといけないと」とふだんは表情を崩さないキャプテンが、くしゃっと笑った。1年生時からレギュラーの秋本悠月も「どっちも接戦で、フルセットだったので。（優勝した今年の）春高決勝の次くらいにうれしかったです」と喜んだ。

　春高の頂点を知るメンバーが多く残る新チーム。全国三冠を目標に掲げ、練習試合ではライバルたちを圧倒した。東京都予選を制しても、関東大会で頂点に立っても、充実感は得られず。「今年の駿台は強い」と常に狙われてきただけに、今回は今季初めてと言ってもいい“挑戦者”として臨める試合だった。

 「気持ちの面で全然違って。格上のチームには自分たちが挑戦しないと通用しないので。試合前から受け身にならないように意識しました」（亀岡キャプテン）

　主力が数名いなかったとはいえ、ともに関東1部のチーム。高校生とは違う強烈な打球に対しても、ブロックを起点とした堅いディフェンスが光る。昨年はアジアU18選手権大会でベストリベロ賞に輝いたアウトサイドヒッター亀岡キャプテン、その対角を組む荒井貴穂、そしてリベロの谷本悦司が好レシーブを連発。梅川大介監督が「うちの生命線」と信頼を寄せる3人は、サーブレシーブでも安定感を示した。

　今季からレギュラーの谷本は「中央大戦は個人として全体的にディグがうまくいかなくて、悔しい面が多かったです。でも、明治大戦の2セット目から上がるようになったので。自信になったというか、インターハイに向けていい経験ができたと思います」と手応えをつかんだ。

抜群の反応で何度もボールをつないだ谷本

　ボールがつながると、当然攻撃の選択肢は増える。セッターは2年生の三宅綜大、1年生の堀内晴翔をメインに、4選手が代わる代わるコートへ。オポジットとして得点源を担いながら、後衛ではトスを上げる三宅雄大、途中出場で仕事を果たした大坪泰介を含めて適材適所で起用。常に前衛3枚のスパイカーが攻撃を仕掛けた。

　その攻撃陣は高いブロックにも勝負を焦らず、難しい体勢でも落ち着いてリバウンドから攻撃を展開。サイド陣に偏らず、多彩な攻撃で相手をほんろうした。中央大の野沢憲治監督に「イメージ的には、（大学生と）遜色がないくらいの相手です」と言わしめる精度の高いバレーで、大学生を上回った。

大崩れする展開さえもこれからの糧に

　充実感を漂わせる一方で、宿題も得た。中央大戦の第2セットは8連続、明治大戦の第1セットは4連続失点でセットを落とした。高校生相手に大崩れすることはあまりなかっただけに、苦しい展開さえも糧になる。

 「ミスしたら一方的にやられるゲームがなかなかなかったので。これをするとやられてしまう、ということがわかっただけでも、収穫かなと思います。

　結果よりも、緊張感があるなか、いい舞台で大学生とゲームができた。そのうえで自分たちの力を発揮できたのは、少し成長できたのかなと思います」（梅川監督）

　6月は「競争」をテーマに、個々のレベルアップに集中。7月6日（木）まではテスト期間でふだんよりも練習時間が短かったこともあり、チームの完成度はここからさらに上がる。梅川監督は「当然、この試合のデータは（他校に）漏れているなかで、同じことをしても勝てないことはわかっているので。ここから上げて、もっとパターンをつくっていければと思います」と言った。北海道で8月7日（月）から始まるインターハイ本戦へ、1ヵ月後の姿が楽しみでしかたがない。

中央大を下し、喜ぶ選手たち。およそ1ヵ月後、歓喜の瞬間を迎えられるか

試合結果　※第3セットは15点制

駿台学園高 2（25-23、17-25、15-13）1 中央大

明治大 2（25-15、25-21）0 中央大

駿台学園高 2（21-25、25-18、15-12）1 明治大

文・写真／田中風太（編集部）

【関連記事】

全国三冠を目指す駿台学園高が4年ぶりの優勝 日本学園が初の準優勝【第77回関東高等学校男子大会結果一覧】

駿台学園高が失セット0で3連覇【第9回ウルフドッグス名古屋CUP】

東日本インカレ優勝は男子が早稲田大、女子は日本体大　男女最終日の試合結果と個人賞

【次ページ】中央大、明治大、駿台学園高が激突！東京エキシビションマッチ2023フォトギャラリー（30枚）