現在開催中のバレーボールネーションズリーグ2023では、10勝2敗の2位で予選ラウンドを通過し、7月20日(木・日本時間21日)にスロベニアとのファイナルラウンド準々決勝に挑む男子日本代表。その活躍を見た高校生や監督は何を思うのか。女子は惜しくもインターハイ県予選準優勝に終わったが、男子は3年連続の本戦出場を決めた習志野高(千葉)の声をお届けする
鈴木明典男子監督が見習ってほしい姿
インターハイ予選で3年連続の優勝を飾りながらも、本戦に向けて「もう少し成長して臨みたいです」と神妙な面持ちで語っていた直後だ。ネーションズリーグの話題になると、鈴木明典監督の表情は、一気に明るくなった。
「超おもしろいですよね」
3枚ブロックが持ち味の習志野高の指揮官らしく、予選ラウンドのブラジル戦も「ブロックのシステムがおもしろいな」と冷静に戦況を見つめていた。だが、試合が進むにつれ、それらを度外視して、試合にのめり込む自分に気づいた。勝利の瞬間は、思わず立ち上がって喜んだ。
「もちろん戦術的な部分もありますが、選手のメンタルが大事なんだなと改めて思いました。言葉で言うと簡単ですが、一周回ってそれに気づかされるというか。『勝ちたいんだ』『打ちきるぞ』という気持ちの大切さを再確認しました。やっぱりスカしてやっていたら、頭でっかちになっていたらダメだな、って」
ここぞの場面で、気迫を前面に出してチームを引っ張る。本戦に向け「エースが育つことかな…」と課題を口にしていたが、石川祐希や髙橋藍が見せた姿こそが、指揮官の理想。「そういうスピリットを、日本代表たちの選手から学んでほしいですね」と期待を込めた。
男子セッター平野悠広 お手本は関田誠大
鈴木監督と同じく、習志野高のセッター平野悠広は、ブラジル戦の勝利の瞬間は気持ちが高ぶった。「夜だったので、うるさくはできないけど、勝ったときは家族みんなでテンションが上がって叫んでいました」と笑った。
高校からセッターを始めながら、昨年度の春高はベスト4入りに貢献。今年は全国高校選抜候補合宿にも参加した。注目するのはやはり、自身と同じポジションの選手だ。
「関田(誠大)さんのトスワークがとてもよくて。土壇場でミドルブロッカーを使えるのは、すごいことなので。あとはボールの下に入るのがすごく速い。関田さんのように相手ブロッカーの位置と、自分たちの攻撃が入っているかどうかを一瞬確認するのは、ボールの下に速く入ることによってできるので。自分もやらなきゃ、と思います」
ボールの下に素早く入る。そのために、平野が考えるポイントとは?
「返球を見極める力が大事。レシーブの面の向きによって、返ってくるボールは違います。関田さんはボールがどこに来るのかわかっているから、待てる時間が長いので。ちょっと難しいですけど、ああいう風になりたいです」
セッター歴は短く、伸びしろ十分。画面の向こうに、いちばんのお手本はいる。
女子エース結束美南が見習いたいテクニック
「おもしろそうだな」と何気なくテレビをつけた数時間後、結束(けっそく)美南は「家族全員で叫びました」と大興奮した。今年のネーションズリーグ男子では、ブラジル戦が初観戦。「身長は関係なくて、やり方によってはどんな相手にも勝てる」と刺激を受けた。
2年生ながら千葉県屈指のエース。関東大会準々決勝では、優勝した下北沢成徳高(東京)から唯一セットを奪う原動力となった。その20日後に行われたインターハイ県予選決勝ではクロスやストレートへ器用に打ちわけたものの、決勝で敬愛学園高にストレート負け。男子日本代表のプレーからも、これから伸ばすべき課題を見つけた。
「自分は相手ブロックの指先を見て打つことができませんが、(日本代表の選手たちは)しっかり見て打っているんだな、と思います。指先を狙って軽く(コートの)外に出したり。テクニックのあるプレーができるようになりたいです」
ブラジル撃破から2日後のこの日の夜は、アルゼンチン戦が予定されていた。「今日も試合があるんですか? 見たいです!」と虜になっていた。
取材・写真/田中風太(編集部)
【関連記事】
習志野高女子は東京勢を苦しめてのベスト4【第77回関東高等学校女子大会】
全国三冠を目指す駿台学園高が4年ぶりの優勝 日本学園が初の準優勝【第77回関東高等学校男子大会結果一覧】