御徒町台東中が最後に放った熱 “先輩越え”ならずも「ベストゲーム」と山﨑壱貴監督
- コラム
- 2023.07.19
要所でサービスエースを奪った鈴木
最後の夏、感情を爆発させる姿が見られた
とはいえ、劣等感からか元々の性分もあってか、「内気な子たちばかりで、盛り上がるタイプではありませんでした」と山﨑監督。試合では気持ちを出せずにいた。
そんな様子が変わったのは、いよいよ最後の夏を迎えたとき。野村キャプテンは振り返る。
「徐々に、みんなのなかで『勝ちたい』『全国を目指すんだ』という思いが固まって。ほんとうに今年の夏、都のブロック大会から変わりました」
いざ試合が始まる。一点が決まるごとに、全員が感情を爆発させる。全力でガッツポーズし、全力で喜ぶ。「チームが一つになっていく、団結していくのを感じられて、楽しかったです」と鈴木。それはまさに先輩たちに倣い、そして先輩たちに近づいた姿だった。
コート上では全員が喜びを表現した
その戦いぶりを見て、山﨑監督は「負けたけれど、部員たちには『ベストゲームだったよ』と伝えたいです」とたたえた。目標とする“先輩越え”はできなかった。けれども、部員たちは胸を張る。
「応援してくれた人たちに自分たちのバレーを見せることはできました」と野村キャプテン。感情表現しかり、「やれることはやれたので」という思いがあるからだ。
敗れた大森二中戦、劣勢の場面でもサービスエースを奪った鈴木も、「まだまだ終わりじゃない、という気持ちでサーブを打っていました。御徒町台東中のバレーは、『攻めて、攻めて、攻める』なんです」と熱っぽく語った。
先輩たちの背中を追いかけた、自分たちの戦いは終わった。と同時に、その姿を見ている後輩たちの戦いがここから始まる。
「去年の先輩たちが見せてくれたものを結果で示して受け継ぐことはできませんでしたが、後輩たちに見せられたものは少なからずあると思うので。自分たちを越えていってほしいです」(野村キャプテン)
思いはこうして、つながれていく。
横断幕には「夢への挑戦」の文字。彼らのチャレンジはこれからも続く
(文・写真/坂口功将〔編集部〕)
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