スロベニア男子はなぜ強くなった? ウルナウト主将の答えと浮かぶ石川祐希との共通項
- コラム
- 2023.07.19
スロベニア男子バレーボール界を牽引するウルナウト
代表そしてウルナウトにとってのゴールとは
そうしたメンバーが代表で集い、国際大会で結果を重ねる。スロベニアはヨーロッパ選手権において19年大会に続き、21年大会でも銀メダルを獲得。もはや、れっきとした強豪国になっている。けれども、その野心が潰えることはない。
「自分たちがハイレベルなバレーボールをできていることはわかっています。ですが、1つの大会だけでいいプレーをするのは、どのチームにもできます。必要なのはどの大会、どの試合でもベストを尽くすために注力することです。
私たちには常に、倒すべき強敵が存在します。だからこそ、もう少し先の、上のレベルを目指すことが可能なわけです。自分たちがフォーカスするのは、日々レベルアップしていく私たち自身です。
そうであるからこそ今、私たちはこのような結果を手にしているのだと思います」
見定めているゴールとは。ウルナウトの答えはぶれない。
「すべての試合でベストを尽くすこと、それがゴールです。そして、オリンピックの切符をつかむこともゴールですね。そのためには秋の予選だけでなく、あらゆるゲームで最大限の力を発揮しなければ。
もちろん私にとってオリンピックは小さい頃からの夢であり、今は達成したいと願うゴールでもあります」
ミドルブロッカーの④ヤン・コザメルニクはミラノで石川とチームメートだった一人
日本の印象そしてチームメートだった石川祐希のこと
今年のネーションズリーグ予選ラウンド第1週名古屋大会。ウルナウトはVリーガーとしてではなく、代表キャプテンとして愛知に戻ってきた。日本代表の印象を聞くと、「いいチームであることは十分わかっています」と答え、こう続けた。
「(ネーションズリーグ初戦の)イラン戦も自信を持って戦っていると見受けられました。私も(Vリーグで)一緒にプレーし、日本代表の面々の資質がいかに高いかを知っています。イランに完勝を収めましたが、驚くことはありませんでした」
ジェイテクトでは西田有志や関田誠大らと共闘し、昨年には天皇杯を制したウルナウト。また、石川とも20/21シーズンにはミラノでチームメートになり、CEVチャレンジカップ優勝を味わっている。
「石川は素晴らしいプレーをしますし、常に成長し続けています。そしてチームを支え、よりよい結果をもたらしています。ミラノも年々、強くなっていますよね。彼の成長を感じますし、私個人としても彼のことは好きですよ」
石川祐希とティネ・ウルナウト。国を出て、海外リーグにチャレンジし、クラブそして代表とチームを押し上げてきたものどうしだ。そんなフロントランナーに導かれし両チームが激突する。
パリオリンピック予選日本大会の前哨戦ともいえる、今回の対戦。6年前とはまるで違う景色が、そこには広がっている。
国際大会でのメダル獲得も視野に収めるスロベニア男子。日本にとって好敵手となりそうな存在だ
(取材/坂口功将〔編集部〕 写真/石塚康隆〔NBP〕)
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