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トップ選手は「勝って学びたい」!? 男子日本代表の躍進を生むプラスのマインドを福澤達哉に聞く

  • コラム
  • 2023.07.20

 

相手のメンバーは違えども、ネーションズリーグ予選ラウンド第1週名古屋大会では前回大会王者のフランスから勝利した

 

選手自身の中にある、勝敗とは異なる評価基準

 

 試合では勝敗がつきものだし、だからこそ、うれしいし、悔しい。だが、それとは違うベクトルがあるというのだ。

 

「やはりスポーツは結果が明確に出るものなので、『勝ったらオッケー、負けたらダメ』という感覚は当然だし、大事な部分でもあると思います。ですが、そこの客観的な評価基準とは別に、選手本人の中で基準をどれだけ持っているか、が重要で。それによって、成長度合いが変わってくるものなんです。

 

 おそらく石川選手は、自分の目指すべきプレーヤー像があり、『これをやらなければいけない』『こうしていきたい』と常に明確な目標設定をしているはず。勝利したうえで、『もっとこうすればさらによくなる』というプラスの要素に目を向けられるからこそ、それが“勝って学びたい”という言葉につながったのだ、と私は感じました」

 

 まぎれもなく、福澤氏もトップ選手の一人だった。一方で、自身のキャリアを「世界を相手に勝つことの難しさを身をもって痛感してきた。負けから学ぶことのほうが多かったかもしれない」と振り返ったが…。

 

「負けた試合だと、どうしても課題ばかりに目が向いてしまうので、それを修正するために時間が取られてしまいます。

 勝った試合は、すでにできていることがあって、そこにプラスの要素を上乗せして次に進むことができるので、その点ではやはり勝ったほうがいいし、“勝って学べる”ことがありますよね。

 もちろん、勝つことが前提なので簡単な話ではないですが…」

 

男子バレーのフロントランナーとして日本代表をリードする⑭石川

 

「あとは勝つだけ」と口にしていた男子日本代表の選手たち

 

 福澤氏は言う。「勝ち続けることで、また新たな世界が見えてくる」のだと。

 

 まさに、今の男子日本代表がそうだ。ネーションズリーグでは連勝街道を突き進むなか、もちろんコンディションの難しさや対戦相手の状態のよしあしはあるものの、それでも試合を重ねるごとに、選手たちの姿はたくましく映る。

 

 思えば、昨年の世界選手権で東京2020オリンピック金メダルのフランスからの勝利にあと一歩まで迫った。その経験を糧に、今年の代表シーズンを前にした選手たちの口からは「あとは勝つだけ」という言葉がたびたび聞かれたものだ。

 

 代表活動とクラブで事情は異なるが、ブレイクスルーを果たした石川の姿を振り返り、福澤氏はこう語った。

 

「格上相手に勝利しかり結果を出すことで、自分の中に漠然としてあったイメージがリアルに近づいていく。その感覚は確かに私の現役中も何度かあった気はしますね」

 

 パリオリンピックでのメダル獲得、その前に立ちはだかる予選突破という大きな壁に挑み続ける男子日本代表。そのために必要な、世界の強敵たちを倒すこと。そのイメージは確実に、今回のネーションズリーグを経て選手たちの中で現実的に見えているに違いない。

 

 だからこそ、彼らは勝ちたい。勝つことで今、学んでいるのである。

 

今年最大のターゲットであるパリオリンピック出場権獲得を目指し、男子日本代表は歩みを止めない

 

(取材/坂口功将〔編集部〕 写真/山岡邦彦、石塚康隆)

 

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