最高到達点340㎝の草野叶嶺(洛南) お手本はイタリアのスター選手「小さいザイツェフ選手になりたい」【バレーボール京都府インターハイ予選】
- 学生
- 2023.07.22
令和5年度全国高等学校総合体育大会兼国民体育大会バレーボール競技少年男女の部兼近畿高等学校優勝大会京都府予選会は、6月11日(日)に福知山三段池公園体育館(福知山市)で大会最終日が行われた。洛南高は決勝で東山高に敗れ、インターハイ出場を逃したが、最高到達点340㎝の草野叶嶺の活躍が春高府予選への光となった
バックアタックでも存在感を発揮した草野
ケガに泣き公式戦出場はほとんどなし
全国トップクラスのポテンシャルを秘めた逸材が、ライバル対決でベールを脱いだ。
決勝の東山戦。15-20とリードされた第1セット終盤、草野はコートに入った。「サイドではちょっと力んでしまった」と唇をかんだものの、スタメン出場した第2セットから本領発揮。相手のブロックの上から強烈なスパイクを打ち込み、武器であるバックタックも光った。身長190㎝の2年生エース中上烈とともに、終盤まで接戦を演出した。
昨年8月に行われた高校ブロック長身選手発掘育成合宿では、全国2位の最高到達点340㎝をマークした。だが、その出力の高さゆえか、3年間で5度の疲労骨折。これまで出場機会はほとんどなかったが、細田哲也監督は「3年間で半分も練習していませんが、ポテンシャルはすごいので。きちっとはまれば、えげつないプレーをしてくれる」と期待を寄せる。
そのポテンシャルの高さに、細田監督(右)も期待
一つの動画からバレーボールに熱中
バレーボールの道に導いてくれたのは、日本ではなく、イタリアのスターだった。小学1年生時に野球を始めたが、「おもしろくないな」と競技を離れた2年生時。何気なくバレーボールの動画を目にした。モヒカン頭の選手が、時速130㎞を超えるサーブで次々とエースを決める。その選手こそが、イタリア代表のイバン・ザイツェフだった。
「サーブがえげつなくて、衝撃だったんです。喜びかたもカッコよくて、周りとは違うというか。オリンピックに出たいとかではなくて、この人みたいになりたいと思ってバレーボールを始めました。出会えてよかったな、と思います」
助走やフォームをまねするほど心酔。情熱は衰えず、「試合が大好きです。オフはいらなくて、ずっとバレーボール漬けでやりたい」というほど競技にのめり込む。洛南高入学時に宣言した「高校で最高到達点350㎝」という目標は、憧れの存在に近づくためだ。「ザイツェフ選手はもっと高い(最高到達点370㎝)ですけどね。でも、身長も高い(204㎝)ので、その分僕は跳ぼうかな、と。小さいザイツェフ選手になりたい」と白い歯をのぞかせる。
東山高戦は最後、草野のクロスへのスパイクが外れて敗れた。胴上げを目に焼き付け、「この悔しさを忘れずに、近畿大会と春高予選は絶対に勝つ気持ちで練習していきたいと思います」と誓った。全国大会デビューは逃したが、春高府予選でライバルを破り、本戦では頂点へ。そして、その先のシナリオも描いている。
「もちろん勝ち負けは大切なんですけど、その前にどれだけザイツェフ選手に近づけるか。その気持ちで、楽しむことも忘れずに頑張っていきたいです」
日本人離れしたスケールの大きな選手へ。草野のピークはこれからだ。
仲間を鼓舞する草野。試合経験を積み、さらなる高みへ
草野叶嶺
くさの・かなれ/3年/身長188㎝/最高到達点340㎝/浅井中(滋賀)/アウトサイドヒッター
中学2年生時に全国中学選抜、そして3年生になった今年はU16日本代表に選ばれた草野烈は弟。兄弟そろって最高到達点340㎝を超えるが、「特にトレーニングはしていません。一般人の生活をしていますよ」と笑顔を見せた
文・写真/田中風太(編集部)
◆洛南高の試合情報
大会名:令和5年度近畿高等学校バレーボール優勝大会兼第76回近畿6人制バレーボール高等学校男女選手権大会
日程:7月23日(日)〜25日(火)
会場:和歌山ビッグホエール、和歌山ビッグウエーブ(和歌山)
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