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春高2025

ネットやボールが違う! 地域クラブが初の東京都中学校大会で直面した現実と今後の決断

  • コラム
  • 2023.07.29

クラブチームの大会を戦う本来のレギュラーメンバーとは異なった

 

都大会への参加を決めた理由とは

 

 いざ試合が始まり、いつもと違う状況下でプレーをすることになったわけだが、「そこで対応する力がなかった、と選手たちもわかったことでしょう」と杣木監督。もちろん大会に出る以上は一つでも多く勝ち上がりたかったが、今回は“経験”の場としてとらえていたのも事実。というのも、大会の登録メンバー自体、本来のレギュラーメンバーとは異なっていた。DropJYVCは選手たちがそれぞれの学校でバレーボール部に所属しているケースもあり、その面々は今回、チームにはいなかったというわけだ。

 

 中体連主催大会への参加が正式に発表されたのが今年の春。説明会を経て、クラブチームは参加ないし不参加を判断した。杣木監督は悩んだというが…。

 

「チームには、学校でほかの部活に所属している選手もいます。その子たちは、同年代の中学生たちがどんなバレーボールをして、中学校のチームがどう戦っているのか、を知りません。特に、近年はコロナ禍で試合を見られること自体が少なかったので。知らないまま高校に進むよりも、せっかくのいい機会になると思ったんです」

 

 その最たる例が浅見で、DropJYVCでキャプテンを務める彼は学校にバレーボール部がなく、ふだんは陸上部で走り幅跳びに励んでいる。今回、中体連の大会に参加した印象は。

 

「部活で一緒に取り組んでいる周りのチームのほうが自分たちよりも、連係や声のかけ合いができていると感じました。雰囲気がいいな、って」

 

 

小学生時代から在籍する④浅見キャプテンは「DropJYVCは練習から楽しそうで入団を決めた」という

 

クラブチームの存在意義とDropJYVCのケース

 

 そもそも試合のメンバーはイレギュラーであり、またルールが異なるため求められるプレーも戦い方も異なった。かといって、“中体連仕様”をつくりあげる時間があったか、そして、あるかと言われれば、そうはいかない。杣木監督はチームの現状を語る。

 

「決まった練習場所はなく、毎回、みんな一生懸命に道具を一式持って体育館へ足を運んでくれます。チームとしては基本的に強制参加ではありません。練習に来れるようならおいで、休むなら休んでいいよ、という具合です。

 

それに、学校でバレーボール部に所属していても、クラブに入団してもらうことは可能です。今のところは『部活動をやめてまでクラブにこないで』と伝えています。ですが、いずれはどちらかを選択してもらう必要が出てくるかもしれません。『部活動と並行してクラブは難しいから』と、私は言いたくないですが…」

 

 元々、DropJYVCは練馬区や板橋区を拠点に社会人たちが集まって結成したチームだ。やがて、その地域の学校に部活がない子供たちのために中学生カテゴリーを設け、クラブチーム化した背景がある。部活の減少がささやかれる中、競技に励むことができる環境としてクラブチームの存在意義は大きいが、同時に、別の見方が当事者としてもある。

 

「例えば、生活面に関しては見ることができませんから。学校生活がしっかりできていないのにバレーボールだけ、では本末転倒ですよね」

 

ほかの試合で記録係を務める選手たちをサポートする杣木監督(右端)

 

【次ページ】変化する中学バレー界において、変わらぬ思い

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