実は中学、高校とバレーボール部で汗を流した西堀亮さん(マシンガンズ)
バレーボールと縁のある方に「あなたにとってバレーボールとは」というテーマでお話を伺う月刊バレーボールの人気連載「わたしとバレーの話」。
今回はWeb版の特別編。本誌とはテーマを変えて「バレーボールで培った経験が今にどのように生かされているのか」を伺ったマシンガンズの西堀亮さんの後編です。
――バレーボールでの学びを生かしていることはありますか?
西堀 バレーボールは調子のいい選手にトスを集めるじゃないですか。それと一緒で、必ずしも自分が調子よくなくても、相棒もいることだし助け合う。僕がダメでも相方の滝沢(秀一)くんがいいときもあるし、2人という小さい中でも、チームワークを生かすというのはバレーボールが影響しているかもしれないですね。
今回「THE SECOND」でも相方の滝沢君、ずっと声の調子が悪かったんですよ。カバーするというのとはちょっと違うけど、僕らの仕事では、調子悪い人がいたら“調子悪いね”と言えるのはいいと思うんですよね。そこも武器になったりする。「今日、何言っているかわからないですよね」(笑) とか。わりと、マイナスを生かせる仕事なのかもしれません。
もう一つ、バレーボールも同様だと思うのですが、経験値という点は芸人も一緒だと思います。慣れていくと、いろんなパターンを経験するじゃないですか。20年以上やっていると新規の会場へ行っても「似たような会場でやったことあるな」と、落ち着いて対応できる。
バレーボールも、ベテランのほうが対応力がある、というのは経験値の差かもしれません。いろんなものを見て経験してきているので、“若いだけが最高なんじゃないぞ”って、本当にそう思います。
例えば、「THE SECOND」でも漫才を終えた直後に、ダウンタウンの松本人志さん(大会アンバサダー)に名前を間違えられたんですけど、それも最後までネタにしました。これ、僕らが年を取っているからですよね。若いときはできなかったですもん、ガチガチに緊張しちゃって。そういう意味では、経験値がちょっとだけ上がったのかもしれないですよね。
バレーボールでの学びが生かされていることも
――「THE SECOND」での準優勝以降、テレビやラジオなど引っ張りだこですが…。それまでなかなかうまくいかなかったときも、発明にチャレンジしたりしながらもお笑いをあきらめなかったことが今回の活躍につながっているのではないでしょうか?
西堀 そうですね。ちょっとずるく聞こえるかもしれませんが、やっぱりよかったときは全部紐づけてしまいますね。あれをしておいたからよかった、あきらめないでよかった…、と。
これもバレーボールから学んだことなのですが、点差が離れた状態で1セット目、取られて終わりそうなときってあるじゃないですか。そんなときでも次のセット取り返すために、選手を交代してみたり、多少実験的なことでも何かアクションを起こしますよね。
人生でも“負けそうなターンで、次のためのトライをしておく”ってすごく大事じゃないでしょうか。仕事がなかったときも、僕は発明したり、滝沢君はゴミ収集会社で働いたり、何か他のことをやっておけば、いずれいいときに一つになる。バレーボールもそうで、点数が離れているからそのセットは負けるかもしれない。でも次のセットがある、さらにいうとそのシーズンもある。だから、やっぱり何かタネをまいて、いろんな可能性を作っておいた方がいいなと思うんです。それがいつハマるかはわからないし。あきらめないことって大事ですね。
もう一つ、今回思ったのが、何ごともやってみないとわからない、ということです。これ本当にすごく重要なことですよ。
今回の「THE SECOND」も自分たちは出場するつもりはなくて、マネージャーが勝手に応募したんです。でも結果、フィットしていた。もちろん準優勝すると思って出してないし、みんな予選で負けると思っているから、気楽なもんでしたよ。それが、うまく回り始める。
本当にトライしてみることの大切さを身にしみて感じました。
――西堀さんにとって「THE SECOND」決勝があった5月は大きな1ヵ月になりましたよね
西堀 都合よく解釈すると、まいてきたタネがやっと芽を出し始めて一斉に開花したから、余計注目してもらっているのかもしれない。全部この1ヵ月に集約されていましたからね。本当に驚きました(笑)
サンドリも「THE SECOND」があったからアシスタントに入っていたわけじゃないんです(※編注:アシスタントは月替わり)。たまたま5月は僕と宮下(宮下草薙)が呼ばれて、そうしたらそこに、「THE SECOND」の決勝がきて、僕の発明グッズも発売が決定し…。これからどうなるかわからないけど、バレーボールでいうと、小さいチームでの活躍が認められて、初めて合宿に招集されたみたいな感じです(笑) 周りには日本代表クラスのメンバーがいっぱいいますから、頑張らないと。
【次ページ】頑張っていてもなかなかうまくいかない中高生にアドバイス
あきらめない、とにかく続ける。その姿勢でお笑いの道を突き進む
――今年9月には、FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023もあります
西堀 はい。期待しています。ロンドンオリンピックのころの眞鍋(政義)監督は、MB1とか、スコーピオンなど、次から次に新しいのも生み出して発明していて…、そういうときにはいい成績を残しているんですよね。
でも、これだけ新しいものを生み出すのは本当に難しい。漫才にしても、新しいイコール前例がない。モチーフがないんですよね。
お笑いって、長い歴史の中で、ひな型となるものが多数存在しているんですよ。だからここから先、純粋な新発明は難しいかもしれません。
僕らの漫才に関しても、一人が怒って、相方がなだめるバージョンは昔からあるぼやき漫才だったのですが、それを二人で怒るということは、僕らが見つけたスタイルなのかなと。それを変えずに20年以上やり続けてきたのは、これが一番の成功体験でもありますし、やっぱり単純に受けるんですよね。だからほかのことは変えても、そこの軸は変えない。バレーボールで言うところの、チームの芯は決まっている。受け継がれている。チームカラーは決まっているという感じです(笑)
――今、バレーボールを頑張っていてもなかなかうまくいかない、そんな中高生の皆さんにアドバイスがあればお願いします
西堀 いつどこで結果が出るかわからないから、努力って大変ですよね。でも必ずそのときは来ます。だからいつか報われる日のために、つまらないレシーブ練習をいっぱいしてください(笑) いつそのレシーブがさく裂するかわからないわけですし、いつ自分のターンがくるかなんてわからないので。
今、我々も初めての経験で、いろいろなメディアで自分のアピールをガンガンしなければいけない時期。ここが正念場なのかもしれません。遅咲きのルーキーが今、猛アピールしているところです。
長い人生、きっとどこかにジャンプ台があるんですよね。それにうまく乗って飛べるか。それがいつかはわからない…、努力はムダじゃなかったって、そう思わなきゃやっていられないですよね(笑) だから、とにかく続けるって大事。今は一つ一つ何かやってきたことが花咲いた、と思うようにしています。
西堀 亮(ニシホリ・リョウ)
お笑い芸人。1974年10月4日生まれ、北海道出身。滝沢秀一と共に1998年にお笑いコンビ・マシンガンズを結成。バラエティ番組のほか、俳優としても活躍。今年5月に行われた漫才の大会「THE SECOND」で準優勝となり注目を集める。芸人だけでなく、一般社団法人発明学会に所属し、発明品を開発。商品化された「靴丸洗い洗濯ネット」が発売中
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