令和5年度全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会(インターハイ2023)は8月10日(木)、男子3回戦と準々決勝が道北アークス大雪アリーナ(北海道旭川市)ほか全2会場で行われた。全国三冠を目指す駿台学園高(東京)は、3回戦で北信越大会王者松本国際(長野)、準々決勝で東北大会王者の東北(宮城)を下し、四強入り。ともにジュースを取りきり、精神面でもよりたくましさが出てきた
負けたくない。その思いを前面に出し、サウスポー三宅雄大が力強く左腕を振り抜いた。スパイクが決まると、緊張感から解放された選手たちはようやく笑顔に。東北との準々決勝は、第2セット中盤以降サイドアウトを取り合う大接戦。アリーナに空調設備がなく、室温が上昇するなかでストレート勝ちを収めた。梅川大介監督は「この環境で試合をすることは酷だと思うんですけど、シーソーゲームを取りきれたのはよかったんじゃないかな、頑張ったんじゃないかなと思います。ほんとうに 3セット目にいかなくてよかったです」とたたえた。
昨年は準々決勝で松本国際高(長野)に敗れた大会3日目。3回戦は第2セットに今大会初のジュースにもつれ込みながらもその北信越大会王者にリベンジ。だが、鬼門のダブルヘッダーで、難敵が待ち受けていた。大会屈指の高さはもちろん、高い攻撃力を誇る東北高。予選グループ戦で対戦したとはいえ、手の内は隠されていた。第1セットを25-20で奪うと、相手は戦い方を変えてきた。
「データがあまりないなかでのゲーム展開でした。メンバー構成はこれだろう、というなんとなくのイメージはありましたが、中に入ってくる時間差攻撃も情報にはなかったので。2セット目はそういったところを対処するのに時間がかかったと思います」(梅川監督)
それでも、亀岡キャプテンを中心とした鉄壁の守りで我慢の時間を耐え抜く。選手間でコミュニケーションを取りながら微調整すると、亀岡キャプテン、そして梅川監督が「最後はガス欠の一歩手前くらいまでいっていましたが、なんとかやりきってくれた」と言った荒井貴穂のスパイクで相手に主導権を握らせない。22-22から相手エース坂本アンディ世凪をブロックして一歩前に出ると、その後もブレイクを許さなかった。
昨年度の春高を制したメンバーが残り、優勝候補として他校から警戒され続けてきた今シーズン。中央大、明治大と対戦し、連勝した7月の「東京エキシビションマッチ」を除くと、常に挑まれる構図だった。そんななかで、この日は「負けたくないという気持ちがプレーに出ていた」と指揮官。今大会屈指の激戦区を突破し、精神面でもよりたくましさが出てきた。
準決勝の相手は、3月の全国私立高等学校男女選手権大会(さくらVOLLEY)決勝でフルセットの末に敗れた昇陽高(大阪)。だが、当時はユース合宿で亀岡キャプテン、ミドルブロッカー秋本悠月を欠いていた。「メンバーがいないなかでも1セットを取れている相手でもあるので。自信を持ってやってくれたらと思います」と背中を押す。堅守が持ち味のチームどうしの対決だが、修羅場をくぐり抜けた経験は大きい。目標の全国三冠の一つ目のタイトルへ、いよいよあと2勝だ。
文・写真/田中風太(編集部)
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