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大会2日前にビーチで奮闘! インドアで全国大会初出場の藤枝リアンが過ごす“二刀流”の夏

藤枝リアンin湘南藤沢カップ

 中学生世代における4人制ビーチバレーボールの全国大会に位置づけられる「湘南藤沢カップ全国中学生ビーチバレー大会」。その第14回大会が8月17日~18日に鵠沼海岸常設ビーチバレーコート(神奈川)で行われた。そのなかには、同20日に愛媛で開幕するインドアの全国大会「全日本中学校選手権大会」(以下、全中)に出場するチームの姿も。静岡を拠点に活動する男子の藤枝リアンもその一つだ。

<今年の湘南藤沢カップに出場した藤枝リアンの選手たち>

 

【ギャラリー】江ノ島をバックに全力プレー! 湘南藤沢カップを戦った藤枝リアン

 

強烈な風を受けながらプレーした湘南藤沢カップの初日

 

 本州を縦断し、交通網に多大な影響を与えた台風が過ぎて迎えた今年の湘南藤沢カップ。大会初日は強烈な海風にさらされ、高く上がったボールがコートの上空で思わぬ方向へと飛んでいく。そんな状況下でも初日のグループ戦を無傷で突破した藤枝リアンの松永颯助キャプテン(3年)は、「風の影響を受けるので、レシーブもトスもなるべく低く上げることを心がけていました」と振り返った。と同時に、翌日の決勝トーナメントにむけては「その風の強さに対応しきれなかったのが課題です。明日につなげたい」と修正を口にする。目の前の状況にどう対応するか、と向き合っていた。

 

 藤枝リアンは静岡で発足し、今季で11年目を迎えるクラブチーム。鈴木拓史監督は、自身の高校時代にエース対角を組んでいたのが、ビーチバレーボール東京2020日本代表の石井美樹/村上めぐみ組の専任コーチである望月剛氏だったつながりもあり、クラブでもビーチバレーボールを取り入れた。その理由について「考える力を養えるので、それはインドアにも通じる」と話す。

 

「ビーチバレーボールでは選手個々が主体性を持って仲間とコミュニケーションをとることが鍵になります。実際にビーチバレーボールに取り組んでから、チームは(インドアの)全国大会に出場できるようにもなりました。

 

 それに純粋に、楽しいから、ですよね。インドアは戦術的な要素がどうしても強くなってくるので、そこにはおもしろさや難しさも別にあるのですが。こうしてプレーするなかで、『将来はビーチバレーボールでオリンピック選手を目指す』という思いを持ってくれてもいいわけです」

 

<仲間とコミュニケーションをとりながら、勝利を目指す>

 

例年よりもハードなシーズンだが「それも経験」と鈴木監督

 

 やがて湘南藤沢カップでも常連となった。一方で今年から、公益財団法人日本中学校体育連盟(以下、中体連)の主催大会に地域クラブの参加が認められ、藤枝リアンはそちらでも結果を残した。中体連の県大会は準優勝、続く東海大会は3位に入り、全中の切符を手にした。今シーズンは、これまで以上に多忙なスケジュールを送っている。

 

 「5月以降は、クラブチームの全国大会の県予選に始まり、中体連の地区大会、湘南藤沢カップの県予選と続いて、そこから中体連の県大会とブロック大会を経て、今に至ります」(鈴木監督)

 

 結果的に、湘南藤沢カップから中1日を置いて、全中を迎えることに(幸いにも20日は代表者会議のみ)。移動も伴い、チームそして選手にとってハードな日程であることは想像にたやすいが、鈴木監督の考えはこうだ。

 

 「例えば、勝利だけを求めるのであれば、競技もカテゴリーも出場する大会も、どれかに絞ればいい。そこで結果を求めたらいいでしょう。ですが、どれもが“経験”だと思っているので。ビーチバレーボールも中体連も経験することで、今後の人生で得られるものがある。切り替えは難しいでしょうが、そこも“対応力”です」

 

<バレーボールを通した人間形成をモットーに、チームを指揮する鈴木監督(写真中央)>

 

全中が「楽しみです!!」と松永キャプテンは笑顔

 

 当の選手たち自身はどう感じているのか? 松永キャプテンはあっけらかんと話す。

 

 「参加が認められてから全中には出たいと思っていたので、どんなスケジュールでも平気と言いますか…。湘南藤沢カップも全中も、チームとしては日本一を目指す舞台に変わりはないので。それに、初めてクラブが出場する全中だからこそ、そこで『藤枝リアン』の名前を残したいです」

 

 松永キャプテンは所属する学校にバレーボール部がなく、それが藤枝リアンに入団するきっかけとなった。校内では他競技の部活が学校を代表して各大会に出場する様子を見て、「悔しさはありました」と明かすが、そのチャンスをつかんでみせた今、目は輝いている。

 

 「リアンは“つなぎ”が代名詞なので、そこで勝負したい。全中、楽しみです!!」

 

 初めて挑む大舞台へ向けて、頼もしい言葉を口にする選手たち。その姿を見て、鈴木監督もほほえんだ。

 

 「真っ黒な顔で愛媛に行くのもいいでしょう? 全中でポーキーショットをするのもいいな、なんて言ってますから(笑) 私自身もすごく楽しみです」

 

<湘南藤沢カップでは決勝トーナメント2回戦で敗退したが、それも成長の糧とする>

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

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