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驚異の9万人動員 米大学女子のプロ意識はどこから? 日本代表 宮部藍梨が以前に明かした現実

  • コラム
  • 2023.09.05

 バレーボールの観客動員数としては、驚愕ともいえる数字だ。アメリカは現地830日、「バレーボール・デー・イン・ネブラスカ」にて行われた大学女子バレーボールのゲームに集った観客数は9万を超えた。発表された数字は92003人。女子スポーツとしては世界記録だという。

 

アメリカでプレーしていた宮部藍梨(みやべ・あいり/1998年7月29日生まれ/身長181㎝/最高到達点309㎝/金蘭会高〔大阪〕→サウスアイダホ大〔アメリカ〕→ミネソタ大〔アメリカ〕/ミドルブロッカー)

 

常にアリーナが満員になるアメリカのカレッジスポーツ

 

 会場となったのはネブラスカ州の州都リンカーンに構える「メモリアルスタジアム」。ちなみにオーナーはネブラスカ大、つまり大学の施設である。普段は主にアメリカンフットボールで使用されているスタジアムではこの日、バレーボールのイベントが催され、膨大な熱で満たされた。

 

92003人を動員したバレーボール・デー・イン・ネブラスカ

 

 このイベントでは別のバレーボールの試合や音楽コンサートも実施されたそうだが、それにしても9万人とは。代表戦ではなく、大学生の試合である。アメリカのカレッジスポーツ、恐るべし。

 

 その世界をつい2年前まで、当事者として味わっていた、女子日本代表の宮部藍梨(ヴィクトリーナ姫路)は自身の学生時代を、このように振り返っていたものだ。

 

「毎回、コートに立つときは鳥肌が立つんです。これだけの人が自分たちの試合を見にきてくれているんや、って」

 

 宮部は高校を卒業後に渡米し、短大を経てミネソタ大に編入。ミネソタ大はネブラスカ大と同じBIG10カンファレンスに属しており、そこでプレーしていた。

 

 ミネソタ大も自前のアリーナを有しており、そちらは5000人近くが収容できる。さすがに「バレーボール・デー・イン・ネブラスカ」を比較対象にはできないが、そこで行われるホームゲームはいつもチケットが完売し、満席だったという。加えて、町中の熱が選手たちに注がれていた。

 

「ミネソタの町のみんなが応援してくれるんです。『試合頑張って!!』という声はもちろん、その思いがひしひしと伝わってくる。すごくいい環境でバレーボールをさせてもらっているな、といつも感じていました」

 

国際大会で常に上位の成績を残す女子アメリカ代表(写真:FIVB)

 

国内プロリーグはなくても、代表チームは強いアメリカ

 

 そんな環境下で行われるアメリカのカレッジバレーボールだが、そこで浮かび上がる疑問は、その後の進路のことだ。アメリカにはアメリカンフットボール、野球、バスケットボール、アイスホッケーの“4大スポーツ”に代表されるように、それぞれ世界最高峰のプロリーグが存在する。だが、バレーボールにはれっきとしたリーグがない(小規模のものは存在する)。

 

 2021年に女子バレーのプロリーグと銘打たれ「Athletes Unlimited Volleyball」がアメリカで始まったが、こちらはリーグ戦形式の中で個々のスタッツに応じたスコアを争う“個人競技”の側面が大きかった。国内規模のリーグはなく、アメリカの大学トップ選手は卒業後、バレーボールのプロリーグが各国にあるヨーロッパへと渡り、そこでプロ選手としてキャリアをスタートさせるのが大半だ。

 

 そうして代表に選出されると、そこでも力を発揮し、それが融合することで、あの強力なアメリカナショナルチームをつくりだす。自国開催の1984年ロサンゼルスオリンピックで銀メダルを手にして以降、常に国際大会の上位を争い、ついには東京2020オリンピックで金メダルを手にした。

 

東京2020オリンピックで悲願の金メダルを獲得した女子アメリカ代表(写真/FIVB)

 

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