時速130キロ超! 男子日本代表 大塚達宣と富田将馬が体感した世界最速サーバーの弾道「あれが捕れたら…」
- コラム
- 2023.09.11
バレーボールの男子ヨーロッパ選手権で驚愕の数字が記録された。現地9月5日、プールCのデンマーク戦でポーランドのウィルフレド・レオンが時速138キロのサーブを放ったのだ。世界記録を上回る球速。その世界トップレベルのサーブと、男子日本代表の面々は国際舞台で対峙している。
トップ・オブ・ザ・トップ。レオンのサーブは時速138キロに到達(写真:CEV)
「気づいたときにはボールが目の前に」
地上最強。そう呼ばれて久しい男が新しい称号を得た。今度は、世界最速である。
キューバをルーツに持ち、圧倒的なジャンプ力から繰り出されるアタックで世界のバレーボールシーンを席巻するレオン。代名詞は強烈な弾丸サーブで、21年のネーションズリーグでは一試合13本のサービスエースをマークし、そのうちの1本は時速135.6キロをたたき出した。そして今回、その自己最速を更新、さらには男子オランダ代表のニミル・アブデルアジズが世界記録となる時速137キロを放った4日後に、それを1キロ上回った。
男子日本代表のビッグサーバー、西田有志(パナソニックパンサーズ)や宮浦健人(パリ〔フランス〕)はときに120キロ台をマークする。では、時速130キロにも到達するサーブとは。
「ボールをセッターに返すどうこうではなくて、気づいたときには目の前にきている感覚です。来た、と思ったらボールが手に当たっている」
そう語ったのは男子日本代表のリベロ山本智大(パナソニック)だ。「それが今後は世界のスタンダードになってくるのではないかと思います」という山本の予言は現実のものになりつつある。
「速さへの慣れ、と、反応できるような体の使い方が大事になってくる」と山本は語る
今年のネーションズリーグ、ポーランド戦にて
そのレオンのサーブを、日本の若武者たちは肌で味わった。今年7月9日、ネーションズリーグ予選ラウンド第3週、ポーランド戦。第3セット4-6の場面で、日本の大塚達宣(パナソニック)はレオンのサーブを手に当てたものの上げることはできず、サービスエースを奪われている。このときの打球が時速130キロだった。
「あのサーブはいかつかったです。うわ、とらえきれねぇ!! って思いました。何て言うんですかね、レシーブしようと反応した手も、もっていかれました」
聞けば試合前から大塚自身はワクワクしていたそうで…。
「あのクラスの選手のサーブを受ける機会がこれまでなかなかありませんでしたから。なので、相手はレオン、このサーブを捕りたいな、と。
そこへ飛んできたのですが…、速さはもちろん、あのときのサーブはコースもすごかった。自分にとって“ここまでならセッターに返せる”という範囲の、ボール一個分、外だったんです」
同じ場面で、大塚と並んでコートに立っていた富田将馬(東レアローズ)も、このときのレオンのサーブはコースが“想定の範疇外”だったと説明する。
「クロスではなくて、ストレートに近い弾道でしたから、より速く感じましたね」
ネーションズリーグ予選ラウンドのポーランド戦(写真)では先発出場を果たし、チーム最多20本のサーブレシーブを受けた大塚(写真:FIVB)