第19回アジア競技大会(2022/杭州)のバレーボール競技で、男子日本代表が銅メダルをつかんだ。オポジットの高橋慶帆(法政大2年)は、7試合中5試合でチーム最多得点をマーク。大会中はプレーだけでなく、そのルックスでもSNSで大きな話題を集めた
Xの投稿で13万件越えの「いいね」を記録
不思議な感覚だった。アジア競技大会の連戦中、X(旧:Twitter)で自身の動画が瞬く間に拡散された。「名だたるイケメンに似てて話題になってる男子バレーの高橋慶帆選手」と書かれた投稿は、3日経った9月28日時点で、13.4万いいね、1764万回表示をマークしている。これには「めっちゃびっくりしました」と苦笑い。「ほかの選手からもすごいことになっているよ、と言われました」とチームでも話題になった。
反響の大きさに驚きつつも、高橋は「自分はスポーツ選手なので。きっかけが何であっても、バレーにつながって、盛り上がってくれるのであれば、それはうれしいことです」とポジティブにとらえる。一方で、「でも、『顔だけ』とは言われたくないので。競技力もそうですし、心も成長していかないと」と背筋を伸ばした。
シニア日本代表として初の国際大会で実力をアピール
その言葉どおり、シニア日本代表として初の国際大会となったアジア競技大会で、実力をアピールした。最高到達点350㎝の高さとパワーを兼ね備えた威力のあるスパイクを武器に、今大会では7試合中5試合でチーム最多得点をマーク。8日間で7試合という厳しいスケジュールでも、「日本代表なので。泣き言を言える立場ではない」フル出場を続けた。悔し涙を流したセミファイナル(対中国)に続き、勝利した3位決定戦(対カタール)後には再び目を赤くした。
「最後は思うようなプレーができなかったんですけど、チームの皆さんのおかげでコートに立つことができて、勝てたと思うので。申し訳なさと、悔しさと、最後に勝ちきることができたといううれしさがこみ上げてきました」
中学2年生時にバレーボールを始め、習志野高(千葉)ではミドルブロッカーとアウトサイドヒッター、そして日本代表ではオポジットとしてプレー。今シーズンは初の日本代表に選出され、メキメキと力をつける。オポジットのポジションは、A代表では西田有志、宮浦健人の両サウスポーが切磋琢磨。右利きでタイプの違う高橋の台頭は、日本代表にとっても大きな意味を持つ。
「2人のようなプレーができるかと言われたら、正直まだそれは難しいと思います。でも、自分はミドルブロッカーを経験していて、武器であるブロック力で、また違ったアプローチができると思うので。そこでアピールして、上にいけるように頑張っていきたいと思います」
端正な顔立ちだけでなく、プレーでも注目を集める選手へ。「どちらでも憧れられる存在になれたら、と思います」。自らの手で、その名をさらに世界に響かせる。
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3位決定戦はちょんまげスタイルで
ところで、それまでの6試合とは違い、最終日のカタール戦は前髪を束ねた髪型に。「よく同部屋になって、仲がいい」という高梨健太と同じスタイルでプレーした。ともにアタックでチーム2位の19得点をマークし、銅メダル獲得に大きく貢献した。
高橋慶帆
たかはし・けいはん/身長193㎝/最高到達点350㎝/習志野高(千葉)→法政大2年
イラン人の父と日本人の母の間に生まれる。小学2年生時からサッカーをしていたが、中学2年生時にバレーボールの道へ。習志野高では1、2年生時にミドルブロッカーとして春高に出場。3年生時にはアウトサイドヒッターに転向し、インターハイ、春高でベスト8に導いた。法政大1年生時の第21回アジアU20(ジュニア)男子選手権大会で国際大会デビュー。2年生時に自身初の日本代表に選ばれた
文・写真/田中風太
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