サイトアイコン 月バレ.com【月刊バレーボール】

「並大抵ではない」トルコの大砲ラグムジアを止めるには? アメリカの名ブロッカーの答え 今夜日本と対戦

 バレーボールの「パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」男子大会は104日、第4日目を迎える。すでに1敗を喫している日本にとって、これ以上は負けらない戦いが続く。その第4戦の相手はトルコ。世界屈指の大砲が日本に襲いかかってくる。

 

⑫アディス・ラグムジア(Adis Lagumdzija/1999年3月29日生まれ/身長211㎝/最高到達点360㎝/オポジット/トルコ)

 

【ギャラリー】ラグムジアだけでない! ヨーロッパの実力国、男子トルコ代表〔10点〕

 

セリエAで得点王に輝いたラグムジア

 

 トルコの背番号12番、アディス・ラグムジア。身長211㎝、最高到達点360㎝の高さを生かした豪快なアタックで得点を重ねるオポジットだ。2020/21シーズンからイタリア・セリエAでプレーし、名門モデナでプレーした昨季はレギュラーシーズン22試合で計419得点をマーク。一試合平均20得点近くの数字を残した。

 代表でもチームの主砲を担い、今年のチャレンジャーカップ(ネーションズリーグの下位大会)では優勝の立役者に。その後のヨーロッパ選手権でも、プール戦(対ポルトガル)で33得点をたたき出している。

 

 

今大会でもここまで好調をキープ

 

「世界最高のアタッカーの一人」と対戦相手は表現

 

 3日の第3戦では強固なブロックシステムを備えるアメリカに対して20得点をあげた。敗れはしたものの、開幕から2戦連続でストレート勝ちを収めていたアメリカから初めてセットを奪っている。

 

 その試合後、アメリカ代表のミドルブロッカー、マックスウェル・ホルトを直撃してみた。第3戦では直接のブロックポイントこそなかったものの、トリー・デファルコとの2枚ブロックで仕留めている。なお、ホルトとラグムジアは、21/22シーズンにセリエAのピアチェンツァでチームメートだった仲だ。

「彼は世界最高のアタッカーの一人で、トルコ代表においても違いを生み出せる存在です。できるだけ彼の動きを鈍らせようとしましたが…、それは決して簡単なことではありませんでした」

 

 

ラグムジア(手前⑫)とマッチアップしたホルト(奥⑫)

 

 

【次ページ】身長205㎝のホルトが語る、ラグンジアの止めかた

 

⑫マックスウェル・ホルト(Maxwell Holt/1987年3月12日生まれ/身長205㎝/最高到達点351㎝/ミドルブロッカー/アメリカ)

 

 

身長205㎝のホルトが語る、ラグンジアの止めかた

 

 ホルト自身、アメリカの代名詞である組織的なブロックのなかで長年、ブロッカーとしてその地位を確たるものにしてきた名手だ。どうすればラグムジアを止められるのだろうか?

「ミドルブロッカーからすれば、まずもってラグムジアのあの打点の高さが非常に難しいものです。ほかのオポジットとは異なり、並大抵のものではありません。彼の攻撃の傾向をつかむことから始め、その要素を取り除くことをしなければ。いちばんいい方法は…、できることならとにかく近い距離で、フィジカルをもってして対峙すること。そのうえで周りのディフェンスをしっかりと敷くことでしょうか」

 

 ホルトの身長は205㎝。決して筋骨隆々とした印象はないが、近くで見ると、上半身からはがっしりとした軸が感じられる。フィジカルで勝負しているというわけだ。

 

 

トルコのライト攻撃をデファルコ(奥⑧)と一緒に仕留めるホルト

 

 

高さとパワーだけでなく、冷静さも修正力も光る

 

 ラグムジアは今大会ここまで当然のように2桁得点をマーク。アタックは豪快そのものだが、セルビアとの初戦では相手のミドルブロッカー、マルコ・ポドラスチャニンにブロックシャットを浴びた直後、巧みにアタックに変化をつけ、以降はアンストッパブルな活躍を披露した。

「ポドラスチャニンはセリエAでも最高のブロッカーだし、何度も対戦してきたからね。彼のことはよく知っているし、その分、こちらも同じことをしていてはダメなんだ。試合の状況や展開に適応し続けなければ」とラグンジア。その言葉どおり、冷静さと修正力も備えている。

 

 その大砲を擁するトルコ戦を前に、日本のフィリップ・ブラン監督は「ブロックとフロアディフェンスの関係性が重要になってくる」と鍵を語った。例えフィジカルではかなわずとも、いかに決定打を与えずに我慢できるか。ラグンジアの強襲をはね返さずして、やはり勝利はないだろう。

 

「2ヵ月前の親善試合で日本に勝利したので今回も期待していますが、難しいゲームになるでしょう」とラグムジアは警戒を緩めない

  

 

(取材・文/坂口功将〔編集部〕 写真/石塚康隆〔NBP〕)

 

***********

パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023

総集編

『月刊バレーボール』11月号は予約受付中→【NBPオンラインショップ】まで

 

  

 

【関連記事】

今大会初のストレート勝ちに石川祐希「残り4試合を必ず勝ってオリンピックの切符を取る」【FIVBパリ五輪/ワールドカップバレー2023男子大会 チュニジア戦コメント】

■エジプト戦涙の関田誠大のトスが光りストレート勝ち 「自分らしさを出していこう」ミドルブロッカー陣が躍動

■日本戦でセットポイントから逆転したトルコ女子の強さ。 「いつも選手たちを信じている」指揮官が告白するあの場面の胸中 

■【独占告白】トルコ女子 サンタレッリ監督は日本バレーから「学びたい」 来日後に明かしたリスペクト 出場権を懸けて今夜対戦

【男子日本代表特設サイト】

 

【ギャラリー】ラグムジアだけでない! ヨーロッパの実力国、男子トルコ代表〔10点〕

 

 

  

モバイルバージョンを終了