バレーボールの「パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」男子大会は10月4日、第4日目を迎える。すでに1敗を喫している日本にとって、これ以上は負けらない戦いが続く。その第4戦の相手はトルコ。世界屈指の大砲が日本に襲いかかってくる。
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セリエAで得点王に輝いたラグムジア
トルコの背番号12番、アディス・ラグムジア。身長211㎝、最高到達点360㎝の高さを生かした豪快なアタックで得点を重ねるオポジットだ。2020/21シーズンからイタリア・セリエAでプレーし、名門モデナでプレーした昨季はレギュラーシーズン22試合で計419得点をマーク。一試合平均20得点近くの数字を残した。
代表でもチームの主砲を担い、今年のチャレンジャーカップ(ネーションズリーグの下位大会)では優勝の立役者に。その後のヨーロッパ選手権でも、プール戦(対ポルトガル)で33得点をたたき出している。
「世界最高のアタッカーの一人」と対戦相手は表現
3日の第3戦では強固なブロックシステムを備えるアメリカに対して20得点をあげた。敗れはしたものの、開幕から2戦連続でストレート勝ちを収めていたアメリカから初めてセットを奪っている。
その試合後、アメリカ代表のミドルブロッカー、マックスウェル・ホルトを直撃してみた。第3戦では直接のブロックポイントこそなかったものの、トリー・デファルコとの2枚ブロックで仕留めている。なお、ホルトとラグムジアは、21/22シーズンにセリエAのピアチェンツァでチームメートだった仲だ。
「彼は世界最高のアタッカーの一人で、トルコ代表においても違いを生み出せる存在です。できるだけ彼の動きを鈍らせようとしましたが…、それは決して簡単なことではありませんでした」
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身長205㎝のホルトが語る、ラグンジアの止めかた
ホルト自身、アメリカの代名詞である組織的なブロックのなかで長年、ブロッカーとしてその地位を確たるものにしてきた名手だ。どうすればラグムジアを止められるのだろうか?
「ミドルブロッカーからすれば、まずもってラグムジアのあの打点の高さが非常に難しいものです。ほかのオポジットとは異なり、並大抵のものではありません。彼の攻撃の傾向をつかむことから始め、その要素を取り除くことをしなければ。いちばんいい方法は…、できることならとにかく近い距離で、フィジカルをもってして対峙すること。そのうえで周りのディフェンスをしっかりと敷くことでしょうか」
ホルトの身長は205㎝。決して筋骨隆々とした印象はないが、近くで見ると、上半身からはがっしりとした軸が感じられる。フィジカルで勝負しているというわけだ。
高さとパワーだけでなく、冷静さも修正力も光る
ラグムジアは今大会ここまで当然のように2桁得点をマーク。アタックは豪快そのものだが、セルビアとの初戦では相手のミドルブロッカー、マルコ・ポドラスチャニンにブロックシャットを浴びた直後、巧みにアタックに変化をつけ、以降はアンストッパブルな活躍を披露した。
「ポドラスチャニンはセリエAでも最高のブロッカーだし、何度も対戦してきたからね。彼のことはよく知っているし、その分、こちらも同じことをしていてはダメなんだ。試合の状況や展開に適応し続けなければ」とラグンジア。その言葉どおり、冷静さと修正力も備えている。
その大砲を擁するトルコ戦を前に、日本のフィリップ・ブラン監督は「ブロックとフロアディフェンスの関係性が重要になってくる」と鍵を語った。例えフィジカルではかなわずとも、いかに決定打を与えずに我慢できるか。ラグンジアの強襲をはね返さずして、やはり勝利はないだろう。
(取材・文/坂口功将〔編集部〕 写真/石塚康隆〔NBP〕)
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