インターハイ男子決勝は梅川大介監督(駿台学園)と松永理生監督(東山)の同級生対決「ほんとうに楽しい時間でした」
- 学生
- 2023.10.08
北海道旭川市を舞台に、8月8日(火)〜11日(金・祝)に行われ、駿台学園高(東京)の7年ぶり2回目の優勝で幕を閉じたバレーボール男子インターハイ。決勝では、駿台学園高の梅川大介監督と東山高(京都)の松永理生監督の同級生対決が実現した。監督としては公式戦で初めての戦いを終えた、両指揮官の思いとは
梅川大介監督(左)、松永理生監督
緊張感のある決勝のセンターコートで、梅川監督の表情が思わずゆるんだ。相手のサイドラインを見ると、松永監督も笑っている。梅川監督にとっては今年1月の春高に続く2大会連続のセンターコート。その大舞台で、至福の対決が実現した。
「ほんとうに楽しい時間でした。同級生どうしでゲームができて、幸せだなと思いました」(梅川監督)
これまで練習試合は行ってきたが、松永監督が東山高の指揮を執る2022年以降、公式戦での対戦は初めて。第1セットは21-22と接戦を繰り広げながら、最後は駿台学園高が4連続得点で先取した。優勝に王手をかけた第3セットも終盤の競り合いを制し、ストレート勝ちで完全優勝。松永監督は「正直歯がゆいです」と悔しさをにじませながらも、「うれしかったですよ。僕も楽しかったです。ウメ(梅川監督)の顔を見ながら『クソー!』と思いながらね」と笑顔でライバルを認めた。
試合を終え、言葉を交わす2人
ともに1981年生まれの世代。梅川監督はNECレッドロケッツでコーチとアナリストを経験し、2013年に駿台学園高の指揮官に就任。16年の全国三冠、そして今年の春高優勝など、高い分析力で率いるなかで、全国トップレベルのチームに押し上げた。
一方の松永監督はパナソニック、豊田合成(現・WD名古屋)でプレーした後、12年に中央大の監督に就任。14年からは全日本インカレ3連覇に導いた。その後、東山高のコーチを経て、22年に同校の監督に就任。昨年は同校初のインターハイの頂点に輝いた。中央大監督時代は石川祐希(ミラノ〔イタリア〕)や関田誠大(ジェイテクト)、東山高コーチ時代は髙橋藍(日本体大4年、モンツァ〔イタリア〕)らを指導するなど、多くの日本代表選手の成長を後押しした。
同世代の指導者を代表する2人は、リスペクトし合っている。
「石川祐希選手をはじめ、名だたる選手を育てている。彼には彼なりの理論がありますし、学ぶところもいっぱいあります。もともと仲もいいので、やっていておもしろいですよね」(梅川監督)
「ウメから学ぶものはすごく多いです。トーナメントでも可能性のある戦い方をするし、子どもたちを試合に出してあげたいという願望も詰まっている。いろんなことを緻密につくっているから、そういうこともできますよね。でも、それよりアップデートさせたい。一矢報いたい。だから頑張れるんです」(松永監督)
松永監督が「いいなと思った」と挙げたのが、駿台学園高の試合に向かう準備。多くのチームがスパイクなど、個々のプレーの確認に時間を割く中、今年の春高決勝でも、試合前のアップにミニゲームのようなかたちを取り入れた。
「春高でもそうですが、決勝の舞台で6人(練習)のようなかたちを取って。あっちのほうが選手にとってもいいと思う。高校生は教育カテゴリーなので、きっちりつくることも大事ですが、ああいうこともできるようになったら、日本のバレーはより強くなっていくのではないですか? いいものを勉強させてもらいました」
決勝の舞台でも試合前に実践練習を行った駿台学園高
両監督だけでなく、同世代の指導者にとっても大きな刺激を与えただろう。「同級生どうしでやっていることが、いろんな人に影響を与えて、頑張ろうってなってくれたり、応援してくれるのもおもしろいですね」(梅川監督)。試合後は早速、梅川監督のもとに指導者仲間からの連絡がきたそうだ。
監督どうしも高め合う。そして、その指導を受けた選手たちが次のカテゴリーに羽ばたく。そうやって、日本のバレーボールはさらに強くなっていくのだ。
文/田中風太(編集部)
写真/山岡邦彦(NBP)、田中風太
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