【バレーボールU19女子日本代表対談(前編)】大森咲愛&西川凜(金蘭会高) インターハイに出場できず涙も「ほんまにユースに行ってよかった」
- 学生
- 2023.10.09
第18回世界U19女子選手権大会4位の大森咲愛、西川凜(ともに金蘭会高〔大阪〕)が、8月27日(日)の国体近畿ブロック大会に出場。大阪府代表として本戦切符獲得に貢献した後、世界U19選手権大会での戦いを振り返った。日程が重なっていた関係で、2人はインターハイに出場できず。涙を流したこともあったが、その先に待っていたものとは
大阪府代表の頭文字である「O」のポーズを見せる大森(左)と西川
————U19日本代表での活動でチームを離れていたこともあり、高校での公式戦は6月のインターハイ府予選以来でした
大森 久しぶりだったので初日は心配もありましたが、みんなとバレーをできるのが楽しくて。ひとまず国体の切符が取れてよかったです。
西川 自分も(大森)咲愛と一緒で。緊張感もあったけど、ずっとやってきたメンバーとバレーができてめっちゃ楽しかったです。チームはインターハイ(の2回戦)で負けた分、国体で日本一を取りたいという気持ちは自分たちのなかでずっとあって。ここから日本一のために練習を積み重ねていきたいと思います。
――それぞれ、ご自身のパフォーマンスを振り返っていかがでしたか?
大森 京都府代表(京都橘高単独チーム)は近畿大会の決勝で対戦した相手でしたが、そのときは自分や(西川)凜、(西村)美波もいませんでした。いい試合(25-22、25-13)をしていたので、その結果を超えたい、という思いがありました。
自分は高さがない分、セッターとコンビを合わせて動きながら決められたり、持っているものはまあまあ出せたかなと思います(笑) でも、課題であるブロックはみんなよりも劣っているので、しっかり修正していきたいです。
西川 ディグの範囲が狭かったし、今日はプレー面が全然ダメで。
でも、悪いときにいかに我慢できるかが大事だと池条(義則監督)先生からも言われていたので、踏ん張ろうと思っていました。
プレーがダメな場合に声でチームを引っ張ることは、ユースでも学んできたところ。どう声をかけたらスパイカーに強気でプレーしてもらえるかを考えていました。リードした場面でも、「ここ、抜かないよ!」とか、もっとチームを締める声かけができるような選手になりたいです。
大森 全然悪くないのに、凜は自分で悪いと思いすぎで。周りも「え? 何が悪かったん?」と言ったり(笑) 向上心があるな、と思います。
西川 みんなには「どこが悪いん? 自信を持っていこう!」と言われるけど、全然自信を持てなくて…。一つのミスにこだわりすぎて、うまく切り替えないとあかんな、と思っています。咲愛にはよく「何が悪いん? 咲愛、もっと悪いから!」と言われて、よく二人で笑っています(笑)
大森 いつもなんですよ(笑)
京都府代表を下し、本戦の出場権を獲得した
————お二人が海外にいた8月2日(水)、チームはインターハイ2回戦で進徳女高(広島)に敗れました。その結果はどう受け止めていましたか?
西川 試合の日、時差もあって、自分はちょうど3セット目に起きられました。その場にいなかった分、負けたときの実感はあまり湧きませんでしたが、みんなの泣く姿を見て苦しかった。早く戻ってみんなと笑いたいなと思いました。
咲愛とはずっと「2人がいないとダメ、というチームにしたい。そう言ってもらえるような選手になって日本に帰りたい」と話していました。
大森 自分は寝ていたんですけど…。メールで知ったときはさすがに驚いて。みんなとはお互いに優勝しようと言っていたので、正直気持ち的に難しかったです。でも、自分たちにはまだ試合が残っていたので、できることをして、何か変わって日本に帰ろうという気持ちになりました。
————世界U19選手権大会と同時期に行われたインターハイに出場したい気持ちも強かったと思います
大森 正直、(U19日本代表に)選ばれたときは死ぬほど泣いて(笑)
西川 「この二人が選ばれるやろうな」と薄々感じていましたが、いざ言われたときは「みんなでやりたい」「金蘭がいい」という気持ちになりました。祝ってくれるみんなには「ありがとう!」と言いながらも、2日間くらいは2人で大泣きしていました。
大森 お互いに、親に報告したら特にな。
西川 去年はリリーフサーバーで、インターハイは自分にとって初めての大きな舞台になるかもしれませんでした。家族は金蘭でプレーする姿を見たかったみたいで、いろんな話を聞きました。
大森 自分の親は、「二人が日本に必要やったから選ばれた」と言ってくれて。「こんな連絡がきたで」と凜に送ったら、それを読んで電車で泣いていたみたいで…(笑)
西川 文章を読んだら感動して(笑) みんながインターハイのプログラム用の写真を撮影しているときがいちばんきつかった!
大森 二人でその正面に立って、「ほんまはこのユニフォームを着ていたんやな」と言ってな(笑)
西川 代わりにリベロに入る(岡)日和も(德元)菜々美も1年生で。金蘭は層が厚い分、取り戻すのが大変なチームでもあるので。不安な気持ちもありました。
大森 二人で「きついけど、頑張ろか」って言って。懐かしいな(笑)
U19女子日本代表として活躍した西川(前列右から2番目)と大森(同列右端)©FIVB
————U19日本代表へ合流する際、仲間たちは号泣したと聞きました
西川 自分たちは泣いていないのに、みんなが泣き出して!
大森 3年生もずっと泣いてくれて。「行かんといて〜。二人がおらんと無理〜」って(笑)
西川 それに「いける!」って返して(笑) 自分たちが泣いたらみんなもしんどいと思うから、ユースで頑張ろうって言い合いました。
大森 去年、アジア(第14回アジアU18〔ユース〕女子選手権大会)を経験して、ユースがどれだけ恵まれた環境なのかを知っていたので。絶対に成長して帰ろう、と言っていました。
西川 こんなことを言ったらあかんけど、「いい意味で池条先生を後悔させてやろう」って。「『うちのチームには二人がいてもらわなあかん』とて言ってもらえるようにしよう」と話し合って、毎日頑張りました。
ユースにいながらも、どこかで金蘭で活躍できるように頑張るという気持ちが二人の中にあって。それを共有できたのはすごく頼もしかったし、1人だったら絶対に頑張れていなかった。ほんまにこの二人でよかったと思います。そういった(金蘭会高で戦いたい)気持ちを払ってくれたU19日本代表のスタッフの方にも、メンバーにも感謝やな。
大森 ほんまに行ってよかったな!
(後編へ続く)
取材/田中風太(編集部)
写真/田中風太、FIVB
大森咲愛
おおもり・さえ/身長173㎝/最高到達点295㎝/小野中(愛媛)/アウトサイドヒッター
昨年は第14回アジアU18(ユース)女子選手権大会でアジア一に導き、大会MVPとベストアウトサイドヒッター賞を受賞。金蘭会高では1年生時からコートに立つ。シャープなスイングが持ち味
西川 凜
にしかわ・りん/身長158㎝/最高到達点265㎝/金蘭会中(大阪)/リベロ
昨年は大森とともに第14回アジアU18選手権大会に出場し、ベストリベロ賞に輝く。そして、今年の世界U19女子選手権大会でも同賞を受賞。金蘭会高では1年生時はリリーフサーバーとして出場し、2年生時からレギュラー
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