第18回世界U19女子世界選手権大会に出場した大森咲愛、西川凜（ともに金蘭会高〔大阪〕）が、8月27日（日）の国体近畿ブロック大会に出場。大阪府代表として本戦切符獲得に貢献した後、世界選手権大会での戦いを振り返った。後編では、世界の舞台での学びを語った
————U19日本代表として世界の舞台を戦い、感じたことは何ですか？
西川 いちばんはディグの楽しさです。ユースはブロックとレシーブの関係をめちゃくちゃ大事にしていて。日本は身長が低い分、ブロックとレシーブの関係性で世界一にならないといけない、という話をずっとされていました。
金蘭では高いブロッカーがそろっている分、そこを頼りすぎていた部分もあったと、ユースで明確にわかって。ミスをしていたのは、自分だけではなく、ブロックとの兼ね合いも原因だったと思いました。技術の面ではほんとうにディグの意識が変わりました。
それ以外ではチームでの共通認識というか。全員がやり遂げたい一つの目標に向かってどうやって一致団結するのかを学んだので、金蘭でも共有したいと思います。ユースに参加する前はコートであまり話すことがなくて、集まったときは3年生に任せることが多かったけど、ユースでは「コートで学年は関係ない」と言われていました。「こうしたい」と思ったことはすぐに自分から発信できるようになったと思います。
大森 確かに、ずっとしゃべっているな、と思う。
自分は一本で試合のリズムが変わるというくらい、サーブの大切さを学びました。日本はサーブにも力を入れていて、打つコースを「ここに打つから、セッターがここに上げて、スパイカーがこう打ってくる」というところまで考えるようになりました。日本に帰ってきてからはそれを実践しています。
例えば、凜が「ショート（サーブ）打って」と言ったら、それに合わせてブロックの位置を変えるとか。高校生でそういうことをしているチームは少ないと思うので、強化していきたいです。
西川 （大森）咲愛には指示を出しやすい。ほかにもユースを経験している人が多い分、サーブを狙うゾーンについてもみんなと共有しやすいよな。
大森 「この状況は（ゾーン）4やな」とかな（笑）
西川 咲愛とお互いに「4」のサインを出して、相手を崩してブロックできたときは、二人で「よっしゃ！」って。日本に帰ってきてから、そういうことができてめっちゃうれしい。
大森 一つ高いレベルでバレーボールについて考えられるようになったな。
西川 プレーはまだまだやけど、頭の部分が日本一に近づいている自信はある。そこはめっちゃ楽しい。
大森 また、目標を達成するための行動をしなさいとよく言われていました。スマートフォンを触る時間も決まっていたし、食事では油物は食べないようにしたり。毎日をほんとうに大切にして、世界一を取るための行動をするようにしていました。目標を立てたら、そのためにできることをやっていきたいと思いました。
西川 ほんまに学んだよな。この１ヵ月でマインドが変わった。
大森 いちばんはそこやな。
———アジア、そして世界の舞台を経験し、シニア日本代表への思いはいかがでしょうか？
西川 今回、世界選手権大会を経験して、ベストリベロ賞も獲らせていただきました。これまであまり夢はありませんでしたが、表彰式に出て「日本代表のリベロになる」という夢ができました。まだまだですが、夢を持つことは大事だと思うので、高校でも、これから先ももっと成長していけるようにしたいです。
大森 （西川）凜がベストリベロ賞に選ばれたときは、自分のことのようにうれしくて！ みんな大好きなので、表彰式に出てきたときはみんなで名前を呼んでいました（笑） いちばん近くで見ている分、めっちゃ変わったと思います。ずっと言っていますが、凜と一緒でよかったです。
自分たちの代ではジュニアでも世界と戦えると知って。今回のチームは同い年の選手が多かったので、美桜（北川／松山東雲高2年〔愛媛〕）や美空（秋本／共栄学園高2年〔東京〕）たちと絶対にもう一回やろうと決めました。今回4位で終わってしまって、季璃さん（笠井／旭川実高3年〔北海道〕）や仁依奈さん（熊谷／筑波大1年）たちと世界一を取れなかったのは悔しいけど、終わった後に季璃さんたちは「次は絶対にジュニアで世界一を取ってな」と言ってくれて。「絶対に取ります！」と言ったので、そこは目標にしたいです。
————国内での戦いがまた始まります。次の目標は何でしょうか？
大森 国体優勝！
西川 国体、春高で優勝して、自分たちの代では絶対に三冠を取ることです。（インターハイで優勝した）成徳（下北沢成徳高〔東京〕）は来年も強いと思いますが、成徳の選手たちが自分たちと対戦したいと言っているように、自分たちもライバルとして見ている存在なので。そこは圧倒したいです。インターハイで負けた悔しさとは違う悔しさを自分たちは持っているので。そこだけはずっと忘れずに日本一だけに向かって頑張りたいです。
大森 全部言っちゃうやん！（笑）
世界では相手の高さにビビったり、勝負せずに終わってしまったところがあったので、まずは勝負したい。国体で勝つことも簡単ではないと思うけど、ユースで目標に向かって努力することを学んだので。凜をはじめ、みんなと協力しながら頑張りたいです。
——合流して、改めて金蘭会高はどんなチームですか？
西川 めちゃくちゃ楽しい！
大森 やりやすいな。
西川 ユースと金蘭でそれぞれやりやすい部分があって、ユースのやりやすい部分を金蘭に持ち帰ったら、金蘭がもっとよくなるだろうな、と2人で話しています。そこは今、共有しつつあるところです。ほんまに頑張りたいな。
大森 メンバーはめっちゃそろっているから。
西川 あとはチーム力。コートの7人が集まったときに、どこにも負けないチームをつくりたいです。
取材／田中風太（編集部）
写真／田中風太、FIVB
大森咲愛
おおもり・さえ／身長173㎝／最高到達点295㎝／小野中（愛媛）／アウトサイドヒッター
昨年は第14回アジアU18（ユース）女子選手権大会でアジア一に導き、大会NVPとベストアウトサイドヒッター賞を受賞。金蘭会高では1年生時からコートに立ち、シャープなスイングから得点につなげる
西川 凜
にしかわ・りん／身長158㎝／最高到達点265㎝／金蘭会中（大阪）／リベロ
昨年は大森とともに第14回アジアU18選手権大会に出場し、ベストリベロ賞に輝く。そして、今年の世界U19女子選手権大会でも同賞を受賞。金蘭会高では1年生時はリリーフサーバーとして出場し、2年生時からレギュラー
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